307話 魔王城
アリアナから縄を貰って、ボロロフを縛る。
「御者がいるから、馬車は動かせるな」
「じゃあ行こっか」
「変な事をしたら、問答無用で殺しますから」
「「「「わ、わかりました!」」」」
御者たちは馬を操り馬車を動かす。そのまま帝国の北門に着く。
「な、何だこれは!?」
「悪徳奴隷商人を捕まえました」
「悪徳奴隷商人? ・・・まさかボロロフか!」
「そうです。地面に寝ているコイツがそうです」
「お、女だな」
「えぇ、女性でしたよ。後でコイツは起こして詳しく調べてください」
「その人は引きずってきたのか?」
「はい」
「・・・・・・先ずは顔を拭いてからだな」
俺達は門番にボロロフを引き渡し、事情説明の為に詰所に行く。
「大体の事は分かった」
説明にはそんなに時間はかからなかった。
「失礼します」
他の門番が入ってきた。
「先程の人物はボロロフで間違いありません。彼女は違法奴隷以外にも、違法売買、誘拐、殺人などです」
根っこからの悪人かよ。
「なるほど・・・。ユウヒ殿、貴方に感謝を。彼女を捕まえることが出来た、少しだが帝都が安心して暮らせるようにはなったと思う」
「そうですか」
「で、あいつには賞金がかかっていてな」
他の門番が机に賞金を置く。
「金貨500枚だ」
「金貨500枚? 高くないですか?」
「そうでもない。ここ10年一度も捕まらなかったからな。最初こそは少なかったが、年数を重ねていくうちにここまで膨れ上がったんだ」
「そうですか」
このまま貰ってもいいが、たまには良心的な事をするか。
「すみませんが、そのお金で捕まっていた人達に渡してください」
「何だって!? あんたは正気か!?」
「正気ですよ。何処で誘拐されたか知りませんが、生活するにはお金が必要になるので。その足しになればいいと思って、言ってますが」
「と、とんでもない奴だな。だが、これだけの金だ。余るが」
「なら、孤児院にでも寄付してください」
「・・・・・・」
目の前の人が固まっている。
「可笑しいこと言ったか?」
「うん、言った。普通はそのまま受け取るもんだよ」
「貰っても使い道がな・・・。買い物は銅貨と銀貨で足りるし。それならいっそ誰かに渡した方が有意義に使ってくれるだろ」
「まぁユウヒさんがそう言うなら、構いませんよ。実際に本当の事ですし」
「そうだね」
「という事なので、そのお金は捕まっていた人に。余ったら孤児院に寄付してください」
「わ、分かった。・・・正直助かる。ここにいる門番は俺を含め孤児院にいたから、少しでも孤児院に金を入れようとしていたが。ありがとう!」
「「「「ありがとうございます!!」」」」
門番の人達に頭を下げて感謝される。
「あ、あの。頭をあげてください、偶然なので」
「そ、そうか。では、これで終わりにしよう」
俺達は立ち上がり詰所にから出る。北門から出て左側の森に入って、転移魔法で魔族側の森の方に転移する。
「よし、着いたな」
人目が付かない森に着く。
「じゃあ飛んで行こうか」
「そうですね」
アリアナとアリサは空に飛ぶ。俺は空間からヴェールを取り出して頭に着ける。風魔法で体に纏って空に飛ぶ。
「このまま真っ直ぐか?」
「そうだね。すぐに着くと思うから」
「そんなに近いのか?」
「遠いですよ。ただ、私たちは飛んで行くのですぐに着きますよ」
「あっそう」
俺達は飛んで、魔王が住む街に行く。
「そろそろ着くから、下りるよ」
俺達は下りる、俺はヴェールを外して空間にしまう。
「後は歩きか」
「そう言えば、街に行って何するんですか?」
「・・・・・・考えてなかった」
「ありゃりゃ、考えてなかったんだ」
「まぁ着いたときに考えるか」
歩きだし魔王がいる街に行く。
もう着いた・・・。
俺達はギルドカードを出して、門番に見せる。何か規制とかあると思ったが、そんなことはなくすんなりと入れた。
「おぉぉぉ、あれが魔王城か」
流石魔王城と言うべきが、圧倒的に存在感がある。まぁあたり前か。
「それにしても、何か見れてないか?」
周りからチラチラっと見られてる。
「人族だからじゃないの? あるいは後ろに誰かいるとか」
それを聞いた俺は後ろを向く。特に誰もいなかった。
「なら人族が珍しいのか」
「帝国にそんなにいないからね。いるのは獣人かエルフだからね」
「そんなに珍しいんだ」
「護衛依頼とかで他国に行く、くらいですからね」
「中々他国に行けないもんだ」
「行くのにお金がかかるし、危険があるからね」
あぁそっか、日本っと言うより。俺がいた所は金さえあれば、普通に海外に行けるからいいが。こっちは金があっても盗賊や魔物に襲われる、危険性があるからそう簡単に行けないのか。
「とりあえず、先ずは観光だな。この辺を回るか」
俺達は観光するために歩き出す。
―――少し時間を戻して。
「あの! 自分を助けてくれた人は?」
1人の元女性が門番に聞く。
「あぁ、さっきの人たちか? もう、どっか行っちまったよ」
「えっ・・・」
普通に入れ違いになりました。




