30話 名前が酷いな!
ラストタウンに来たが、町中は中世のヨーロッパって感じだな。商店が沢山ある訳でもないから、街と言うより町だな。
「気のせいかな。何かこっちを見られてる気がするんだが」
「あぁ~それはもうしょうがないよね。他の人からしたら、ユウヒ君は女にしか見えないからね」
「そのせいか周りから、ヒソヒソっと聞こえてくるのだが?」
「別に気にしなくてもいいと思うよ」
「まぁそうだけど」
俺の容姿だけでここまで目立つか・・・。まぁ学校に行く時もこんな感じだったから、もう慣れてるけど。
「おい、見ろよあの姉妹」
「おぉ美人じゃねぇか、あれが絶世の美女って言うやつか」
「一度付き合ってみてぇなぁ~」
「まま~、あのひとたちきれないなひとだね~」
「そうね、あそこまで綺麗だとちょっと嫉妬しちゃうわね」
「わたしもきれいになれるかな~」
「えぇ、きっとなれるわ」
「ねぇ、さっきら何あの2人を見てるの?」
「いや、あの2人綺麗だなって思って」
「フンッ、どうせ私は綺麗じゃないですよ!」
「あ、何処に行くんだよ! 悪かった! オレが悪かった!」
この会話を2人は知ることはなかった・・・。
「噴水広場に来たが、前の奥に見える門は東門か?」
「そうだね、基本あっちから人が入って来るからね」
その言い方だと、まるで俺達は非常識な所から入って来た。みたいな言い方だな。
「さて、身分証がないままだと。町に入る時に入国税をいつまでも払うのは、ちょっと困るな・・・」
「こういう時は、冒険者ギルドか商人ギルドに加入するといいよ。そうすれば身分証が手に入るよ」
「なるほど。商人にはなる気はないな。売るようなもんがないし、俺はただの学生だから。そこまで凄い知識があるわけじゃない。ゲームとか小説などは別だが。なら冒険者ギルドだな」
俺は辺りを見て。左の道にそれらしき建物見つける。
「左の道にそれらしき建物があったからそこ―――」
「どけ貧乏人ども!」
最後まで言おうとしたが、後ろの方から大きな声が聞こえた。後ろを振り向いて、声の主を見る。
「フンッ、相変わらずここは貧乏人ども多すぎる!」
「えぇここマネー様がいてはいけない場所です、すぐに移動すべきです」
あれは貴族なのか? 周りの人の来ている服と比べて、少し豪華っぽいけど。貴族っと言っていいのか?
マネーってやつが現れた途端、本人に聞こえないようにざわめき始めた。
「おい、あいつザール商会のマネーじゃねぇか」
「あの違法売買してる噂の・・・」
「売り上げ報告とかも、代表に嘘の報告もしてるらしいぜ」
などなど、色んな話が飛んでくるが。全て悪い印象しかないな。
「アリアナはマネーってやつ知ってる?」
「いや全然知らないよ。そもそも人の事なんてどうでもいいじゃん」
「そっかー・・・」
なら、人に聞くしかないな。丁度目の前に人がいるし。
「すみません。あのマネーって人は誰なんですか?」
「おう嬢ちゃん、あのくそったれのマネーの事知らんのか?」
「知りません。今まで森で暮らしていたので、今の世間が分からないのです」
「森で暮らしていたならしょうがないな。マネーってやつはザール商会の幹部なんだが、そいつが色々と悪さしやがるんだ。例えば商品の値段を物凄く高くしたり、身分証や契約書の偽造もしてるんだ。それだけではなく、高額の利子を付けて金を貸したりもしている。返せなかったら違法の奴隷商人に売ったり、娼館に売ったりもしてるらしいぜ」
「それは恐ろしいですね、何故マネーは捕まらないのですか?」
「上手く隠し通しているからな、そう簡単に尻尾は出さないだろう。嬢ちゃん達も気をつけろよ、あいつは未婚だから強引なやり方で誘ってくるぜきっと」
「肝に念じておきます」
「おう、そうしておけ、俺は仕事があるから行かせてもらうぜ」
「えぇ、情報ありがとうございます」
「気にするなっ。じゃあな」
男性は去っていく。
「よくある悪い商人だな。流石にちょっとやり過ぎだと思うけど」
「どうする殺す?」
「いや何で殺すんだ? こっちが捕まるだろ」
「だって買い物する時、その店がマネーの息がかかっていたら、面倒になるよ?」
「殺さずに法的に、裁かれた方がいいだろ」
「ん~そうだけどさぁ」
何か、完全に殺す気満々だな。それにしても未だバレてないのか。それなりに運がいいだろう。ちょっと鑑定してみるか。
マネーのステイタスを見る。
〈名前〉 マネー・ダイスキ
〈種族〉 人族
〈年齢〉 33歳
〈性別〉 男性
〈状態〉 普通
〈レベル〉1
〈体力〉 25/25
〈魔力〉 5/5
〈攻撃力〉6
〈防御力〉3
〈魔攻〉 3
〈魔坊〉 4
〈俊敏〉 2
〈運〉 25(15)
〈スキル〉
交渉術5/10
〈特殊スキル〉
強運
〈固有スキル〉
なし
〈加護〉
なし
「ブフッ!?」
名前が酷いな! 一体どう言う神経で名前を付けたんだよ・・・。
「大丈夫ユウヒ君? 何か変なの見た?」
「大丈夫。ちょっとマネーの本名が酷くてな」
「そんなに酷いの?」
「鑑定してみれば分かる。アリアナも俺と同じになるよ」
「どれ―――!!」
アリアナは口を押さえて笑う事を我慢してる。
マネー・ダイスキっなんて誰が見ても笑うよな。さて、こいつのステイタスだが運が高い。しかも特殊スキルで『強運』なんて持ってやがる。果たしてこいつが持っていていいスキルだろうか。否、断じて否! 人を不幸にする奴が持っていいスキルじゃない。ならばやる事は1つ、やつのスキルを消してついでに運を貰う。
スキル削除とパラメータ吸収を同時に使う。先ずはマネーが持っている、強運を削除する。次にマネーの運を吸収する。マネーのステイタスを確認して、特殊スキルの強運を消えた事と、〈運〉を奪ったのを確認する。
これで良し。後は早く捕まることを祈ろう。
「ユウヒ君。パラメータ吸収ってズルくない?」
「全然ズルくないと思うぞ。吸い取られたやつが悪い」
うん、確実に悪い人だったら魔物以外に使うのはありだな。
「やる事は終わったし、ギルドに行こう」
左に曲がり、冒険者ギルドある場所に行く。
「歩いてすぐに着いたが、看板に堂々と『冒険者ギルド』って書いてあるな」
「そうじゃないと分からないからね」
俺達はギルドの中に入る。ギルドの中は、普通に賑わっている。右には酒とか飲んでるやつもいれば、打ち合わせしてるやつもいる。左は掲示板に依頼書が貼ってある、真ん中は受付所だろう。
「先ずは冒険者登録を・・・」
前から知らない人物がこっちに来た。すると俺達見てその人は止まる。
「―――お姉ちゃん?」
おっと、そう言われるのは流石に予想外だ。




