29話 初めて盗賊を見た
「へへっ、上物じゃねぇか」
「オ、オレ黒髪が好みなんだな」
「アニキこいつら、ヤってから奴隷商売に売っちまいましょうや」
歩いてまだ5分も経ってないのに、俺は今初めて盗賊を見た。ここで盗賊に会うとは、これは俺の運のせいだろうか?
「アニキ、先ずはこいつらを捕まえましょうや」
「おぉそうだな、おいロドリあの二人を捕まえろ」
「わ、分かっ―――」
太った男が最後まで言う事なく、首が勝手に取れた。いや違う。アリアナが目に見えない速さで、太った男の首を手刀で斬ったんだ。その証拠にアリアナの右手が血で汚れている。
「何気持ち悪い目でなにユウヒ君を見てるの? 殺すよ?」
アリアナさん、もう1人殺してます。
「て、てめぇー! よくもロドリを!」
「待てニコ!」
細い男が、アリアナに剣で斬りかかるが。避けてそのまま細い男の首を手刀で斬る。
「こ、こんな相手じゃ殺される!」
アニキと呼ばれていた男が逃げようとするが。
「逃がすか!」
俺は右手に氷魔法で斧を作り。逃げようとする男の右足に氷の斧を投げつける。
「うぎゃあぁぁ! お、俺様の右足が!」
右足に刺さった氷の斧を抜こうとしているが、凍り付いて抜くことが出来ない。
「お前には聞きたいことがあるんだ、素直に喋ってくれるか?」
俺は笑顔で男の方に近づく。
「わ、分かった喋る! 喋るから殺さないでくれ!」
大体必要な情報は分かった。こいつら3人はただの盗賊、今回みたいな事を何回か繰り返していたらし、他にも窃盗や殺人もやっていた。ついでにコイツから金を巻き上げた。
「お、俺様が知っている情報はこれだけだ」
「そうか。それだけか」
「しゃ、喋ったんだから殺さないでくれ!」
「あぁ殺さないよ、殺しはしないが」
盗賊の右足にある氷の斧を握ってそのまま右足を切断する。
「ぎゃあああああ!」
「殺しはしないけど、足を切断しないって言ってないだろ」
「ユウヒ君。死体からお金を奪ったよ。それと何か平然と盗賊の足を切断してるね」
「どうも。・・・確かに平然とやってるな。ここに来る前の俺だったら、絶対にこんな事をしない」
「こっちに来てから、何かしら変わったんじゃない? それと死体は地面に埋めたよ」
アリアナから金を貰う、アニキと呼ばれていた男から巻き上げた金を合わせると。銀貨5枚になった。意外と金を持っている。金は空間の中にしまう。
「じゃあ、俺達はここで失礼するよ」
「お、おい。俺様はどうなるんだ!?」
「さぁ? お前のことなんて知らないよ。運が良ければ助けてもらえるかもな。運が悪かったら失血死か、血の匂いに誘われて魔物に食われるだけだろ」
そう言って、俺達は先に進む。後ろから叫び声が聞こえたが、そんなの気にしない。
「あ、見えてきたよ」
「俺は全然見えないぞ・・・」
「まだ距離が有るからね」
多分アリアナは、目がいいんじゃなくって。スキルの効果で遠くまで見えるのだろ。
「そうだユウヒ君、町に着く前に。念話を覚えておこう」
「念話を覚えようってどうやって?」
「(こうやって)」
こいつ急に俺の脳内に喋りやがった! でもまぁ何となく理解は出来た。
「(こ、こうか?)」
「(そうそう。これが出来れば、離れていても会話が出来るからね)」
確かにこれで離れていても会話ができるな。
「後、町に着いてから私あまり喋らないし勝手に行動しないよ。基本的にユウヒ君がやりたいことをやればいいから」
基本俺の自由でいいのか。あ、町に着く前に攻撃力だけ、リミッター付けておこう。大体80%制御しておけばいいだろう。
「そろそろ着くよ」
歩いてると門が見えてきた。そのまま行くと門番に話しかけられる。
「そこの女性2人、止まってくれ」
おい門番、誰が女性だ俺は男性だ。
「すまんが、身分を証明できるものを見せてくれ」
そんもん持ってないぞ。
「すみません。私達今まで森で暮らしていたので、身分を証明できるもの持っていません」
「今まで森で暮らしていたと・・・」
あ、やっぱり疑うよね。だって、修羅の森に近いもんな。
「なら詰所に来てくれ」
門番に連れられて、門をくぐり右側にある詰所に入る。
「町に入るには、犯罪歴がないか調べてから、入国税を払ってもらう」
「先ずはこの水晶に触れてくれ」
門番に言われた通りに、俺は丸い水晶に触ったが特に変化が無かった。アリアナも触ってみるが、同じ結果だった。
「犯罪歴はなしっと」
光ったら犯罪歴ありっとなるのか。
「次は入国税だが。入国税は2人で銀貨4枚だが、払えるか?」
意外と高いな。でも銀貨4枚なら払えるな。丁度盗賊から奪った金があるからな。
ポケットから金を出すふりをして、空間から銀貨4枚を出す。
「確かに銀貨4枚受け取った」
門番は受け取った銀貨4枚を袋に入れる。詰所から出て、門番と少し話す。
「すまんな、こんなことをさせちまって」
「いえいえ。犯罪者を町に入れない為にやっている事なんですから、私達は気にしませんよ」
「そう言ってくれるとこちらも助かる。ようこそ、修羅の森最前線の町―――ラストタウンへ」
詰所を後にして先に進む。
ラストタウンねぇ、どういう意味だろうか? 修羅の森から溢れた魔物がここを、突破されたら終わり何か、あるいはここが最後の砦になのか? 考えても意味がないか。
「ねぇユウヒ君。次から敬語を止めない?」
「何で? どう考えてもあそこは敬語で喋るべきだろ」
「ユウヒ君がいた世界ではそうかもしれないけど、門番くらいなら敬語じゃなくてもいいと思うよ。それに隣で見てたけど、完全に女だよ?」
「声が低かったから大丈夫だろ。それで見分けがつくだろ」
「敬語使っている時、少し声高かったよ」
「・・・マジで?」
「うん」
嘘だろ。知らず知らずに声が高くなっていたのか?




