98話 ナニコレ?
3日目。
「まさか、リゼット様が来るとは思いませんでしたよ」
「ワシもじゃ」
「そう? 私があの2人を推薦したんだがら、様子を見るのは当然でしょ」
そう、私はあの2人の様子を見るために来た。
「ユウヒ様とアリアナ様が来てから、5-Aは随分と変わりました。休み時間は図書室で本を読んだり、魔法実験室で魔法を開発したり」
「それって、何も変わってないじゃない」
「いいえ、変わりました。5-Aの皆様の目つきが変わったのです。まるで一度死を体験でもしたかのように」
「ユウヒの奴。一体何したのよ」
まさか、本当に殺したんじゃないでしょうね。
リゼット達は訓練場に入る。
「さて、ユウヒが驚く顔でも――――――ナニコレ?」
入った途端リゼット達は固まってしまう。固まってしまうのも仕方がない。何せ周りは血塗れになっており、あちらこちらに手や足が散乱している。まるでここだけが戦場になっているかのように。
「どうした! この程度で終わりか!!」
「まだだ! 行くぞお前ら!!」
「「「「「おおおおお!!!」」」」」
生徒達は雄叫びを上げながら、ユウヒに向かっていくが、次々と腕と足を切られ、体は蹴り飛ばさる。
「「いま!!」」
「暗殺するなら、声を出すな!」
ユウヒは2人の片腕づつ切り落とし、2人を左腕で殴る。
「っ!」
右脇腹が痛くなる。後ろを振り向くと、格闘少女がいた。
「今のは格闘少女か。今の攻撃なら普通の大人ぐらいなら、吹き飛ぶだろうな」
「ん」
「だが、相手が悪い!」
格闘少女の間合いを詰め、腹に左手で勢いよく殴る。
「っ!!」
格闘少女は防御をしたおかげで、そこまで後ろには飛ばなかった。
「「ファイヤーストーム!!」」
「何だって!?」
すると、俺の真下に魔法陣が現れ一気に火の嵐が出てくる。
「やりましたわ!」
「やったけどこれユウヒ先生、生きてますかね?」
「・・・あ」
ユウヒがいた所は、常に近づけない状態になっている。
「どどどど、どしましょう! ユウヒ先生が!」
「落ち着いてください! まだ死んだとは」
「そうだ落ち着け、俺はまだ死んでないぞ。そして隙ありだ」
2人の首筋を手刀で叩く。
「きゃ!」
「がっ!」
2人はその場で倒れる。
「あぶねー、服が少しボロボロになったじゃねぇか。もう修復しているが」
私は遠くで見てて思う。
「何がどうなっているのよこれ」
「わ、ワシにもサッパリじゃ」
「流石にこれは。・・・ユウヒ様は異常ですね」
生徒達は自分の足を捜して、靴や靴下を取って、腕と足を一か所に集め燃やす。その後ユウヒは生徒達を集め、話が終わるのを待つ。
「今日はここまで、解散」
「「「「ありがとうございました!!!!」」」」
「また、腕を切られた」
「私は足を切られた~」
「俺、斬撃耐性のレベルが上がってる」
「次こそ勝ってやる」
次こそ?
「お前達何か忘れてないか? 俺とアリアナは今日で終わりだぞ」
「「「「・・・・・あ!」」」」
「忘れてたのかよ」
生徒達は色々叫んでいる。まだ、1回も攻撃が当たってないのに、とか、次来る先生じゃあ鍛えられない気がする、とか、言っている。
「オホンっ。ユウヒくんアリアナくん。今日の所はお疲れ様じゃ」
校長先生と副校長先生。それにリゼットさんがくる。
「あ、はい」
「私はただ、ポーションをあげていただけだった・・・」
「一部見ておったが、やり過ぎじゃないかのぅ」
「そうか? 俺はリゼットさんに、殺さなければなにやってもいい、と、言われましたよ」
「っげ」
何かリゼットさんは、ばつが悪そうな顔になる。
「フムッ、確かに殺さなければと言えば、いいが。限度があると思うのじゃが」
「あ~、ちょっと外の厳しさを教えようとして」
「それでこの学校を去ったら、教える意味がないじゃろ」
「それならいいじゃないですか? そのまま騎士にでもなれば。少なくとも冒険者より、長くは生きられますよ」
「それもそうじゃが。まぁこの話はいいとして、違う場所で話をしようではないか?」
「そうだな」
校長は校長用の席に座る。
「先ずは報酬じゃ、アレクシス」
「はい」
アレクシスさんは報酬が置いてある板を持って、俺の方に来る。
「・・・これ、2枚多いですよ?」
「これはお詫びのお金だと思ってほしいのじゃ。5-Aの時間割表を見たら、午前も戦闘訓練があってのぅ。ワシの方が契約違反を犯してしまった、そのお詫びじゃ」
「やっぱり、契約違反か。次はないぞ」
「肝に免じるのじゃ。それとお願いがるのじゃが」
「何だ?」
「あと2日だけ、ここの先生をやってくれないかのう?」
「無理です」
「何でじゃ!?」
「家に帰りたいからです」
「たったそれだけの理由か!」
「そうだ!」
冗談じゃない。もう家に帰りたいんだ。帰って色々やりたいことあるんだよ!
「いいじゃない。どうせ暇でしょ」
「何勝手にリゼットさんが決めてるんですか! 私は家に帰りたいんです!」
「アンタ。校長には敬語使わないのに、私には使うんだ」
「そうですが、何か?」
「まぁいいや。ところでユウヒ、これからギルドに行って、ユウヒのランクア「後2日だけやります」
「ほ、本当か?」
「本当です。ただ、報酬は2倍にしてくれ」
「それくらいお安いもんじゃ。では、また書いてもらうぞ」
俺とアリアナは契約書にまたサインする。
「そうだアリアナ。リゼットさんを殺さないように、痛めつけてくれ」
「じゃあ窓から失礼するよ」
「―――ッちょ、待って!」
アリアナはリゼットさんを掴んで、窓から出て何処か行く。
「生きていたまた会いましょうね」
「ユウヒ様。結構酷い事をしますね」
「当然の報いだ」
一度痛い目に合ってくれないと、困るからな。
「ホホホ。何リゼット様なら大丈夫じゃろ」
「だと、いいが」
「ところでユウヒくん。もう1つ頼みがあるのじゃが」
「何ですか?」
「学校の怪談を調べてほしいのじゃ」
「・・・はい?」




