第6戦 VS危険な登校路
カーテンからすがすがしく、紫外線を含んだ日差しがさしこむ。
今日は月曜日。
昨日も言ったか。
「えーと、朝食は・・・」
昨日の夕飯を電子レンジに入れてスイッチを押す。
このレンジも中学生の時、宝蓮荘に住むようになってからずっと使っているな。
最近よくおかしくなるし、そろそろ買い替え時か。
しかし何年も使っていると家電とはいえ、愛着が沸いてくる。
ふぅむ、買い換えるか悩みどころだ。
あ、お金が無いから無理か・・・
少し憂鬱な気分になっているとレンジがチンと任務完了の知らせを告げ、それにあわせ自分の気持ちを切り替える。
「・・・あまり温まってないな」
どうせもう一度レンジを使ったところで大して変わらんだろうから、と妥協して箸を進める。
食べ終え、皿を洗う、歯を磨く、服を着る、身だしなみを整えるといった、何千回と人生の中で繰り返してきた動作をさっと行う。
バッグを手に取り外へ出て、「こんな金が無いところに入る泥棒もいないだろうに」と考えつつ鍵を閉めていると聞きなれた声が聞こえてきた。
「お、おはようございます、家人さん」
「ああ、おはようユカ」
「お、おはようございます!」
おはようは一回で十分だろうに。
まあ今日は雲ひとつ無い秋晴れだ。
そんなこともある。
ん、関係ないか?
「それでは行くとするか」
「はい!」
ユカは家庭科部で朝練習がないため、帰宅部の私と登校時間が一緒のことが多い。
とはいえ宝蓮荘から学校まで徒歩十分もかからないので、一緒に登校することは少ないが。
しかし立地条件の割りに空き部屋があるのが不満だな。
もっとも中々入居希望者がいない理由にいくつか心当たりはついている。
「そうそう、この前のシフォンケーキ、おいしかったです」
「うちの店長の新作だからな、本人に言ってやってくれ」
私のバイト先は喫茶店なので、あまりモノをたまにもらってくる。
店長は大分変わった人だが根は良い人だ といいなぁ。
「ん?」
目的地の学校の一室に窓から何かがキラリと光る。
それの正体に気づいた瞬間、銃撃音。
「チッ!」
とっさに飛びのくと、私がもといた場所には銃痕が。
大和高校美少女同好団体か?!
おそらく狙撃班か・・・
銃刀法違反という法律を知っているのか?
ついでに同好団体について追加説明。
非公認で、団員数四桁。
大和高校という名前いる癖に学外にもたくさん居る。
そして宝蓮荘に入居希望者が中々でない原因の一つ。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
いくら学校までの距離が、かなり短いとはいえ狙撃手はやっかいだ。
とりあえず、障害物に身を隠しつついくか。
「え?」
車?
不味い、こちらに突っ込んでくる!!
「危ない!」
「きゃっ?!」
く・・・事故か?
車から降りてきた男が、ユカに声をかける。
「大丈夫か、向陽!橘は・・・ちっ無事か」
今、舌打ちしただろ!
そうだ、大和高校美少女同好団体の団員は高校生とは限らない。
全身で俺は体育教師だと叫んでるような見た目の教師。
名前は・・・忘れた。
適当にベンとでも名づけておくか。
「ベン・ジョニー先生、運転気をつけてください」
「誰がベン・ジョニーだ!」
気にいらなかったか。
別に、気に入られる必要もないが。
「それじゃあな向陽、そしてカンガルーに蹴られて氏ね家人」
「お前はカンガルーの袋にねじ込まれて窒息死しろ」
しかし、生徒に暴言を吐くなんてひどくないか?
何もしてないのに。
してないけど、言ったが。
「ベン・ジョニー先生も授業で」
「ベン・ジョニーってつなげたら『便所に』だろ!」
あ、本当だ。
たった今気づいた。
しかし世界にベン・ジョニーって名前の人はいるだろうから謝っておくか。
こんなアホ教師と一緒にしてすまん。
「ベン先生、今更だけど車粉砕してますよ」
「俺のマイ・カーがぁぁああああ!橘〜!!」
いや、自分でやっただろ。
私のせいじゃない。
「それじゃあな・・・」
あ、落ち込んだようだぞ。
捨てられた子犬のごとく、哀愁が漂っている。
おそらく、財政状況がピンチだったのだろう。
様を見ろ。
「さて、行くか」
「は、はい!」
「「「待て〜い!」」」
もういい加減にしてほしい・・・
疲れたぞ・・・
登校路にてベン・ジョニー撃破
狙撃手は帰ったらしい
三人敵が出現
テストも終わって、やっと更新できました。
今回はギャグ控えめにしてほのぼのした幹事を出そうとしました。
が、無理ですよね。スナイパーなんかが出てますし(泣