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第48戦 VS球技大会「校長宣誓」

小学校の運動会の日、校長先生が「今日はみんなの元気で雲を吹き飛ばしてしまったようです」とか言っていた。

小学生ながらに少しひねくれていた私は「何を馬鹿なことを・・・」と思ったものだ。

だが今日はその言葉が最も当てはまる気がする。

雲が逃げていったというのが正解なのだが。

そんな元気が・・・もとい殺気があふれ出ている我らが2年〆組。

グラウンドに並んだ他クラスは必要以上に距離をとっているように見える。


「それでは校長より一言お願いします」


「校長宣誓、諸君らはこの球技大会において正々堂々戦え!」


校長、何をしているのだ。

宣誓と先生をかけた駄洒落ならば、かなりきついぞ。

そもそも宣誓になってないだろ。


「今大会にはなんと余った予算があったので景品がある!」


変なものかしょぼいものかどちらかだな。

大半の生徒は「どうせ校長のブロマイドとかだろ」といった顔つきをしている。


「3位には学食のタダ券!」


大和高校には食堂はないのだが。


「2位、ノート一年分」


ああ・・・・リアクションが取りづらい。

中途半端だ。


「そして1位は・・・・」


ダラダラダラダラダラ~♪

どこからともなくBGMが聞こえてくる。

かと思いきや校長の口から出ていただけだった。

そして妙なポーズをつけて校長が叫ぶ。


「パジェロを贈呈する!!」


どんだけ予算余りすぎだ!

てか学生が車貰ってどうするのだ?!


「次、生徒代表」


「選手宣誓!」


坊主頭の3年生が前に出てきた。

松葉杖をしているが大丈夫なのか?


「優勝するのはこの俺だ!!」


違うだろ。

やってやったぜとでも言いたげな顔で壇を下りるな。

彼は自分の位置に戻るまで1mにつき、一回づつ殴られていた。




(中略)




「それでは2年〆組集合!」


「家人君、もう集まってるよ」


『その通りだ!!』


「やる気に満ち溢れているな・・・」


動機はともかくとしてだが。

私がやったとはいえ、クラスの熱気が恐ろしい。

編集さん、CGでオーラをつけるのはやめていただきたい。

いないけど。

そして欅が私から一言、といって皆の目線を集める。

  

「皆、優勝したら喫茶カフェで打ち上げよ!」


『おおおおおおおお!』


「家人のおごりで」


『リーダー最高!』


「って何言ってんじゃぁあああ!!」


喫茶カフェは打ち上げ対応可能だけども、けども!

胸倉を掴みながら激しく欅をゆする。


「士気は完全に崩壊するくらいまで上がったから良いじゃないの」


「私の生活が崩壊するわッ!」


「冗談よ。店長と蓮さんが奢ってくれるだって」


「・・・大丈夫なのか?」


「代わりにパジェロをあげちゃえば良いじゃない。誰も文句つけるような人はいないでしょ?」


「まあいいか」


皆の士気は確かに上がったしな。

どれ、ついでにもうひとつ。


「では私からも」


さっきまで暴徒と化す勢いだった全員がシンと静まり話を聞く体制に入る。

団結力もここまで来ると恐怖を覚えるな。

今日一日限りのファシズムクラスだ。

後ろで腕を組みながら皆の前を歩く。


「諸君に問おう。私達は何のために戦う?」


「イケメンに地獄を見せるためだ!」


「この世の理不尽を打ち砕くためであります!」


「ケーキを食べるため!」


「焼肉のため!」


手を天に上げ、拳を握り締める。

そしてクラスに向って叫ぶ。


「ああ、私達の目的はバラバラだ・・・しかし求めるものはたった一つ、同じものだ!それは何だ?!」


『優勝ッ!!!』


「その通りだ。我らは僅かに一クラス、40人に満たぬただの高校生に過ぎない。だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している。ならば我らは諸君と私で総兵力3万と1人の軍集団となる」


『YES!YES!YES!』


「第60次球技大会。状況を開始せよ!」


『YAAAAAAAAAAAAAAA!!!』


大袈裟すぎるかもしれんが、今のこのクラスにはこれくらいが適しているだろう。

私の戦場はサッカーだったな。


「さて、地獄を作るとするか・・・」


「家人君。そういうキャラだっけ?」


丼モノは若干呆れ気味だ。

それに対し、むしろ私は笑みすら浮かべてかえしてやる。


「私はただ最強の証が欲しいだけだ・・・・やりすぎて後に引けなくなっただけとも言うが」


「言わないよ」


勿論、後者が本音だ。

ここで降りるのも・・・なぁ。


「ま、何でも良いさ。僕もあの数量限定生産ケーキ【エンジェル】は食べてみたかったしね」


乗り気ならば結構なことだ。

丼モノはサッカー部のエースだから、相当の戦力に値するだろう。


競技は男子がサッカーとドッジ、女子がバレーとバスケとなっている。

ちなみに人数は正規ルールと比べ少し変則的。

1学年6組程度、1年から3年までごっちゃの乱闘、一種目につき上位8位まで点数が入る。


「で、勝算はどうなの?」


「3年は部活を引退しているし、2年である私達は十分に優勝を狙えるはずだ」


女子にいたっては体力の差は皆無に等しい。

むしろ3年の方が少ないかもしれん。


「総員戦闘配備!」


『イェッサー!』


戦闘服ユニフォームを着ろ。グズグズするな、戦場では1分1秒が生死を分ける!」


『イェッサー!!』


「敵はまとめて・・・」


『ぶっ殺す!!!』


「なんだかなぁ・・・」







相手チーム

「降参します・・・」

宣誓してた坊主頭はこの間書いた短編「下へ下へと」の主人公です。

暇な方はどうぞ!(宣伝です)


登場人物が他の作品でひょっこり顔を出すのが大好きです。

だから伊坂幸太郎さんとか大好きです。

勿論それだけが理由ではありませんが。

興味のある方は是非読んでみてください。

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