第46戦 VS要塞「諸悪の根源」
「終わる気がしない・・・」
「お兄ちゃん、ちょっとは休んでも大丈夫だよ?」
「いや、大丈夫だ」
「ぬ〜ん」
夏休みの宿題をラスト一日で頑張っている気分だ。
日記とか難関だよな。
もっとも言うまでも無く、私はコツコツやって終わらせる派だが。
「ん?」
ゴミ山の中に妙なものを見つけた。
チェックの模様のノートに南京錠がくっついている。
少し小さめで厚いノートだ。
もしや魔導書・・・?
「ヌーん」
「そんなはず無いか」
「どうしたの?」
「鍵がつけられた珍しいノートがあったのだが、これが何かわかるか?」
「うわぁあああああああ!!」
カンナが大声を出したのでビクリ、と少し驚く。
いったい何だというのだ。
「お兄ちゃん・・・それ開いてないよね・・・?」
「ああ。鍵がついていて開けられんしな」
「それを床に置いたら、一歩下がって両手を挙げて」
「強盗か」
良く見ると「diary」の文字が。
つまり中身は日記帳というわけか。
見ないから安心しろ、との旨をカンナに伝え作業に戻る。
「これは・・・?」
「お母さん」という題名の作文があった。
書いたのは・・・私だ。
黄ばんだ紙に書かれた字を読む。
これだけ年月がたつと、自分ではない誰かが書いたように思える。
この頃から私はこの口調だったのだな、と思うと同時に母さんもこんな感じだったのか・・・と軽く嘆きたくなる内容だった。
勿論、自らの青臭さに目を覆いたくなったのは言うまでもない。
「で、何故この作文がこんなところに?」
ふむ、この作文に今回の事件のキーがあるきがする。
とか思ったけど何も思いつかないのでスルーしてゴミ箱にスロー。
もう一度床に視線をやると、似たような紙があった。
「『ボクの家族』3年2組橘カンナ ボクのお兄ちゃんは」
「やめてぇえええええええ!!!」
カンナ、そんな声で叫んでは近所迷惑だぞ?
フフッ。
微妙に加虐心がそそられるな。
「お兄ちゃん?お兄ちゃん?お兄ちゃん?」
「・・・すまん」
本来のカンナの声にドスの利いた地の底から響くような声が重なる錯覚を起こすくらい、ドアの向こう側から殺気を感じた。
怒らせると怖いんだ、ウチの妹は。
そんなこんなでしばらく後。
時を吹っ飛ばすこと、作業完了まで。
「そろそろ開けられそうだな」
大量にあったゴミの壁は崩れ去り、何んとかドアが開きそうなくらいにはなった。
「じゃあこっちからも押すよー」
「せぇのっ」
バキバキィ!
「・・・お兄ちゃん」
「これはあくまでカンナが助かった嬉し涙だ・・・ドアの崩壊など大したことない」
「どーみても嬉し泣きじゃないんだけど」
無理に開けなければ良かった。
宝蓮荘の老朽化は思った以上に深刻なようだ。
修理にかかるお金を考えると・・・ハァ・・・
そもそもこの原因は何だ?
麗香だ。
あのトラブルメイカー・・・ッ!
「あ、ただいま~。どうしたのこの惨状?」
「死ね」
「うわ!?」
とりあえず手短にあったビール瓶をぶん投げた。
スローモーションできれいに弧を描きながら、麗香の顔面へと吸い込まれるように飛んでいく。
が、空中キャッチされてしまう。
「いきなり何よ~」
「この惨状はお前の仕業だろう?そうに決まってる」
「え、違うわよ?」
「・・・カンナから状況報告頼む」
「えーっとね」
話を要約すると、カンナは真木と遊んでいて帰ってくると麗香とウチの母さんがいっしょに飲んでいた。
疲れていたので絡む2人を避けながら、飯と風呂を済ませ就寝。
休日のため遅くまで寝ていたらこの部屋に閉じ込められていた、ということだそうだ。
「私の予想としては・・・」
「家人の思うとおり、多分犯人は蓮よ~」
そういえば実家にいた頃に、母さんは酔ってモノをこれでもかと散らかすことがたびたびあったな。
ハハッ。
「麗香、今母さんは何処に?」
「暇な時期だそうから、大和家の邸宅にいると思うわ~」
すべき事は・・・成すべき事はたった一つ。
受話器を手に取る。
「お兄ちゃん、その怖い顔止めてよ」
顔の筋肉の感覚が怒りのせいで鈍って、イマイチ自分の顔がわからない。
フハ、フハハハハハハ!!
「それでは征ってくる」
「「い、いってらっしゃ~い」」
この後の親子喧嘩
「息子ぉおおお、アタシが倒せると思うたかぁあああ!足を踏ん張り腰をいれい!」
「渡部」
「ハッ、家人様」
「ちょ、渡部?!」
「今回は蓮様に非が御座いますゆえ」
「さて、やり放題だな・・・・」
※作文が宝蓮荘にあったのは、2人が酒の杯にしてたからです
久しぶりです、仙人掌です。
こうして更新できるのもインフル様様ですね。
ほんと時間に縛られないぐぅたら生活・・・最高!
大分前回と間が開いていて、久々に書いたら文字が打てないのなんの。
腕がなまった感が拭えません。
でも次の分は書き終えてるので少し間を空けて更新します。
来週もお楽しみに!
でも・・・更新遅れて本当にスイマセン。
気づいたら更新してやがるなーくらいに思っていてください。