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第4戦 VS点鈍克呑

あのあと、結局小銭の方を徴収してきた。

苦労したのだからと小銭の方を選んだわけだ。

正直馬鹿なことをしたと思う。

普通に紙幣の方を、取ればよかった。

結構かさばるし、重い。


「ああ、疲れた・・・」


なぜ、私は年下に手玉に取られているのだ?

泣きたくなってきた。

我ながら情けないな・・・・・


「それよりも次だ」


105号室は二階だ。

カツン、カツンと疲れた体を引きずって、階段を上っていく。

ふと上に視線を向けると、ターゲットの内の一人の男の姿。


「え?」


「あ」


「しまった・・・!」


「逃がすか!家賃を出せ!!」


やはり逃げようとしていたな、ギリギリ間に合ってよかった。

と安堵できるわけでもなく、敵は逃避する気の様だ。


「右側ががら空き・・・!!」


「それはフェイクだ」


「ぅぎゃっっっうわぁあぁああぁあ?!」


足をかけ、引き倒す。

ちなみにここは階段。

ゴロゴロと落ちて逝くだろう。


「ぐ・・・病院行きかも・・・あれ?どこいった」


上だ、上。


「危ない、上から襲ってくるぅうううう!!・・・・おごっ!」


「手間をかけさておって、まったく」


「今日は見逃し・・・痛だだだだ!」


「あきらめろ、丼モノ」


「丼モノって言うなぁああ!」


見た目だけ見れば、かなり整ったほうの顔立ち。

が、実態はかなり重度のヲタクであり趣味が色々と不味い。

しかし学校では正体を知られていないし、趣味さえ抜かせば割といい奴なのでかなりモテる。

彼の名前は【点鈍てんどん 克呑かつどん

天丼カツ丼・・・・

丼モノと言うなという方が無理だ。

実家は蕎麦屋らしい。

丼モノ作れよ。


「離して〜」


105号室に丼モノを投げ込んだ。


「いだぁ!」


しかし相変わらず安易に人が呼べないような部屋だな。

清掃が行き届いているのか、小奇麗こぎれいではある。

が、壁には美少女キャラのポスター。

床から天井までそびえ立つ、大き目の本棚にはびしっと整理されたゲームやマンガ。

棚には所狭しと男女比は1:99くらいで、フィギュアが置いてある、。

パソコンの壁紙はどこかのアニメのキャラクター、しかもやたらと露出が多い。

ゴミ箱の中身は・・・触れないで置こう。

年頃の男児は皆そんな感じだろ。

量が多めだが、何がとは言わない。


「なんで今日はすごく暴力的なんだろ・・・・僕が何をしたんだ」


「こちらも疲れてイ゛ライ゛ラしているのだ、家賃出せ」


「だからって僕に当たらないでよ、家賃無理」


「それでも構わないが・・・」


「本当!?今日は欲しいものの発売日なんだ」


阿呆。

この私が、家賃滞納など許すと思うか?


「納めなければ、この部屋にあるゲームを片っ端から叩き割るが、それでもいいのなら」


「や・・やめろぉおおお!!」


おもむろに一つ、棚からゲームを取り出し、警棒を振り上げ・・・


―――華麗なまでの、豪快な破壊音が響き渡る。


「人の宝物を壊しちゃ駄目って親から教わらなかったのか!?」


宝物とかそんな綺麗なものじゃないだろ。

なんかこうもっとドロドロしたものだ。

今壊そうとしたのはカラフルな髪の少女が、パッケージのいかがわしいゲームだが。

ぶっちゃけかなりエロめの18禁ゲーム。

かなりマニアックそうなプレイのもある。

よくこれを部屋に置いて平然としていられるな・・・

誰かが入ってきたらどうするのか。


「大丈夫だ」


ぎりぎり外してある。

モノを壊すと後々の処理が面倒だしな。

・・・ゲームが置いてあった机は壊してしまったがまあいいか。

今度直しておこう。


「さて、次は本当にやるぞ」


「く・・・だけど僕は発売日を一日千秋の思いでずっと待っていたんだ!」


「ではこちらのいやらしいフィギュア達を」


「いやらしくなんか無い!むしろ萌えだ!!」


いや、萌えといやらしいって完全に別物なのか?

だとしても完全にいやらしいに分類されるフィギュアがちらほらと。


「ならば戦うしかないようだね、家人君」


「まあいいか、そちらのほうがわかりやすい」


私の言葉を聞くや否や、丼モノはライトセイバーを取り出す。

もちろん玩具。


「うらぁぁぁあああ!」


「どこいぞの馬鹿と比べるとやはり弱いな」


軽やかに跳んで回避する。

ライトセイバーは空ぶってフィギュアの棚へ。


・・・ゴシャア!


「ああああ、僕のメイドさんがぁああ!」


こんな狭いところで長いもの振り回したら、周囲の物を破壊するに決まっているだろう。


「僕のメイド僕のメイド僕のメイド僕のメイド僕のメイド僕のメイド僕のメイド・・・」


「自業自得だろ」


正直怖い。

その狂気に満ちた顔で連呼されると素で怖い。


「まあいいだろ、フィギュアの1つや2つ」


「よくない」


「・・・・急に真顔になるな、怖いぞ」


「スキあり!」


「ちぃ!」


ギリギリ避けて懐からスイッチを取り出す。

なるたけ使いたくないが・・・

いいや、限界だ!押すぞ!!


天井から金色のタライが大量に落ちてきて、盛大に音をかき鳴ならす。


「いだっ?!あだっ!いたたたた!」


前の管理人が作ったはた迷惑な仕掛けの一つだ。

この宝蓮荘は色々と改造が施されていたりする。

中には私も把握出来ていない物もあるのだろうな・・・


「タ・・・・タライ?・・・・バタリ」


バタリと口で言うのもどうかと。


「ほら、家賃」


「こ・・・これ・・」


「良し」


帰ろうとすると、丼モノが声をかけてきた。


「僕を倒しても第二、第さ・・・」


「おまえもか!しつこい!!」







点鈍克呑―割と楽勝

敵兵は残りあと一人




前のときよりパロねたは控えめにしようかと思います。

知らない人が見ても違和感ない程度に。


それと丼モノは今日だけやたらとテンションが高いですが、普段は割と常識人な突っ込み役だと思います。

趣味を除いて。

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