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第43戦 VSモンスタープラント

何故かいつもより長いです。


空は私の心とは正反対に気持ちよく晴れ渡っている。

熱血な太陽のせいか、それとも冷や汗かわからないが額に汗が一滴流れる。

何をしたらいいかがわからない。

何が起きているかもわからない。

パニック陥って、思考がぐるぐると回る。


「ここは何処?私は誰だ?」


「ここは宝蓮荘の花壇前で、お前は橘家人だろ。何言ってんだ。」


「ああ、健児か」


少しパニックになっていたようだな。

私としたことが・・・


「で、これは何なんだよ?」


「あまり近づきすぎるな。食われるぞ」


「お、おお」


私の真剣な顔を見て、健児はゴクリとつばを飲み1歩後ろに下がる。

そろそろ今の状況を説明しようか。







要約するとユカの花壇に触手を持つ、危ない植物が発生している。







「シャァアアアアアアア!」


バケモノ植物が奇声を上げ、のた打ち回る様は今日という晴れの日に全く似つかわしくない。

とりあえずモンスタープラントとでも命名しておこう。


「変な種植えてねーだろな?」


「ユカに聞いてくれ。あーでも種はうちの親戚が用意してモノだ」


「原因それじゃね?」


十分にありえるな。

むしろそれが原因としか思えないな。

あのひったくりババァ・・・!


「どうすんだ・・・?」


「貴様といるとエイリアンもどきが部屋に大量発生してたことをデジャヴする」


「返答になってねーよ」


互いに淡々と話しているが、健児も私も冷や汗がダラダラと流れている。

なんとかユカが帰ってくるまでにどうにかせねばならん。


「とりあえず真木から火炎放射器を借りてこよう」


「銃刀法ってちゃんと機能してんのか?」


泣きそうな顔をしている健児を見て、何も言う気が無くなった。

美しいバラには棘があるということだ。


「しかし真木は今留守だからな。勝手に触れたら爆発が起きるかもしれん」


合鍵はあるがそういうものは素人が扱うと不味いと教えられたからな。

この案は棄却だ。


「除草剤なんかはどーだ?」


「NON。かろうじて残った別の植物への悪影響が予想される」


「ライターとガソリンは?」


「NON。宝蓮荘が燃えてしまう危険性がある」


「じゃ、いっそ素手で」


「お前が言ってくれるなら歓迎だ」


「俺はウハウハモテモテハーレムな状態で死ぬって決めてんだ」


「そしたらお前はいつになっても死ねないな」


「どういう意味だそれ」


「そういう意味だこれ」


「表出ろ家人ぉ!」


「もう出ているだろうが」


ギャーギャーやかましい健児を無視して自分の思考に閉じこもる。

手詰まりか。

他に何か有効な手段は無いものか。


「ギシャァアアアアア!」


「成長して花が咲いてるんですけどぉ!!」


「先刻のはまだ蕾の状態だったのか」


どうやら人食い花だったらしいな。

モンスタープラントの花の中心は、口らしきものから消化液が垂れ流しになっている。

今日の晩御飯のおかずどうしようか?


「家人。現実逃避してもしゃーない・・・・・だ、ろ?」


「あ」


「うわああああああああああ!!」


間合いの外と油断していた。

成長したため触手(?)の攻撃範囲内に収まってしまったらしく、健児が捕まる。

「男の触手プレイなんておもしろくもなんともない」という丼モノの声が聞こえてきた感じがした。

気のせいだが。

宙吊りになった健児は私に助けを求めてくる。


「た、助けてくれ!」


「わかった!・・・・・うわあああああああ!」


私も間合いの中にいたようだ。

健児に並んで私も宙吊りになった。


「家人。お前実はすごいバカだろ」


「馬鹿に言われたくないな。大馬鹿者」


「バカバカ言ってるとバカになんぞ。バカ」


「お前も馬鹿って言ってるから馬鹿になってるだろう」


「今お前2回バカって言ったから2バカな」


「お前も今2回言ったから2馬鹿だな」


「今1回バカって言ったな、家人?ホントにバカだなぁ〜、バーカ」


「これで累計5馬鹿だな」


「あ、俺のバカ!でも家人も1回バカって言ったから5バカだ!!」


「これで3回追加だから・・・・」


「あんたら2人とも馬鹿よ」


逆さまな状態の欅に馬鹿といわれた。

欅は宙吊りになっている私達に呆れ顔になっている。


「何やってんのよ、全く」


「見ての通りだ」


「あ、やば。なんか口みたいなものがぁあああああ?!」


「ちょっと待ってなさい・・・・・きゃああああ!!」


あ。


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


「馬鹿が3人に増えたな」


「・・・・・う」


「つか欅は今日、スカートじゃねぇの?」


「私、あんまスカート好きじゃないから」


「下品じゃなくて、もっと気品のある方が好みだ」という天から声が聞こえてきた感じがした。

気のせいだ。

幻聴が聞こえるということは、自覚はないが相当参っているようだ。


「家人、どうしよう。頭に血が上ってきた」


「よかったではないか。滅多に血が巡ることのない頭に血液が供給されたのだから」


「いいことなのか。じゃあいいや」


「おい」


本当に皮肉が通用しない。

良く見ると目がマンガの如くぐるぐると渦を巻いている。

もしかしたら血の上った私の頭が誤認しているだけかもしれない。


「で、どうすんの?」


「どーもこーもねぇだろ、って消化液みたいのがたれてきたたぁああああ!」


そろそろ本格的に不味い。

ふぅむ、どうしたものか。

脳内思考では余裕な私も、実はピンチだったりする。

頭がクラクラしてきている。

ぼやけ始めた視界の中で、私の目は救世主の影を捉えた。


「ヌヌ、助けてくれ!」


「ヌ〜ン」


「・・・大丈夫なの?」


「・・・」


確かに猫一匹でバケモノをどうにかできるとは思えない。

あ、消化液がッ、うわぁああ!?


「ヌゥううううううううううーん!!」


ヌヌ猫が天に向って鳴いた。

否、百獣の王の如くほえた。


「キシャァアアアアア!」


「キシャァアアアアア!」


「キシャアアアアアア!」


「キシャァアアアアア!」


笛に呼ばれた蛇のように、我が家に住み着いていたエイリアンもどきが出てきた。

前門のモンスタープラント、後門のエイリアンもどきだ。

万事休すか・・・


「どぉすんだよ!」


「いや、待て。良く見ろ!!」


わらわらと集まったエイリアンもどき。

なんと彼らはモンスタープラントをむしゃむしゃと食べ始めたではないか!

モンスタープラントも迫る来る数の波にはかなわないようだ。

ウチにはこんなに住んでいたのか・・・


「家人、こんなのが大量にいて大丈夫なの?」


「食物連鎖がきちんとしていれば、数は安定するだろう」


自然はそういうシステムになっている。

増えすぎた種は、死に逝く定めだ。

む、そうすると人間は食物連鎖に入っていないのだろうか?

例えばだ、人間という種が急に滅んだとして、他の生物にどのような影響を与えるのだろうか。

食物連鎖から外れてしまった種族として、私達はこの位置だからこそできることはないのか。

そう私は思った。

・・・・・あれ、私は何を考えていたのだ?


「思考に閉じこもらないで、ユカにどう言い訳するか考えようぜ」


「あ・・・・あ!」


「どうかした?」


「花壇を良く見ろ」


そこには完全にもとの状態の花達が美しく咲いていた。

モンスタープラントは、他の花達を守り育てていたのかもしれないな。

ちょうど雛を守る親鳥のように。

そう思うと複雑な気分になった。


「でも何でこんなのが出てきたんだよ?」


「そういえば昨日、真木がお米のとぎ汁をこの花壇に捨ててたわよ」







この夜、101号室に橘家人の姿は無かった

代わりに後藤真木の部屋からは、絶えず悲鳴が聞こえたという

バイオハザートです。

モンスタープラントという名前は。

私もネットで検索して、はじめて名前知ったんですけどね。

いまだにクリアしてない・・・

今はとにかく時間が欲しいです。

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