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番外戦3 子供な母の日

白い壁に独特な雰囲気。

夜になれば人に恐怖を与える場になるだろう。

ここは病院。

そして私は橘曲尺、家人の父親だ。


「渡部は444号室だったか」


何とも不吉な番号だな。

察しの良い方は気付いていただろう。



GWに釣りに出かけ、色々あって渡部は怪我を負った。半分以上我が妻、橘蓮のせいであるのだが…

珍しく余り忙しくないので見舞いに来た訳なのだ。


「恐らくこの階だな」


「メロン食べたい―!」


…今、蓮の声が聞こえた気がしたのだが。

気のせいということにして、通り抜けるが上策と見た。


「おー、マイスウィートじゃないか!」


無理だった。

更に

「ニオイがしたんだよね」と続ける。

犬並みの嗅覚だ。


「で、何故こんなところにいるのだ?」


「それだ、聞いてよ〜」


よよよと泣きながら抱きついてくる。

こういうとき、下手に引き離そうとすると有り余る腕力に粉砕されてしまう。

それ故適当に頭をなでてやる。

「どうしたんだ?」適当な感じで聞く。


「家人とカンナが母の日を忘れてるの!」


「へー」


「投げ槍!?」


私なんか家人と気まずい仲だったから父の日、何もありはしたかったぞ。今年は期待できるだろうか。


「うわぁあん!」


ゴロゴロと病院の廊下を転げ回る大の大人一人。

そんな彼女を放っておいて、私は缶コーヒーを購入する。


「放置プレイしないで〜!」


「結局病院に来た理由は何なんだ?」


頭をペットの容量で撫でてやると大人しくなった。「だから我が子達に母の日を忘れられたから、心の病気にかかっちゃった」


「それにしては元気だな」

「ぶっちゃけストレス解消に遊びに来た」


ここはカラオケか。

言っても無駄なので缶コーヒーを与える。

そういえばここは大和家お抱えの病院だったな。

蓮が暴れても下手に口が出せなかったのだろう。

お抱えでなくても蓮を止めるのは不可能だろうが。


「2人ともアタシのことなんて忘れちゃったんだよね…」


「高校生活が忙しいからではないのか?」


「少し日が経ってから電話したら・・・・・」


「はぁ?!」という答えが返ってきたそうだ。

蓮はダムが決壊したかの如く泣き崩れる。

ここで泣いていると人の目に付くので、渡部の病室に移動しよう。


「渡部、見舞いに来たぞ」


「・・・・・」


渡部が「何故つれてきたのですか」という目をしている。

仕方なかろう。

あのまま放って置くわけにもいかん。


「奥様」


「?」


顔を上げると蓮の目は真っ赤に充血していることがわかる。

渡部は彼女に何かを差し出した。

ベッドの上であるに関わらず、従者としての雰囲気が漂っていた。


「母の日の誕生日プレゼントです」


先程まで泣きじゃくっていた子供は、やはり子供のような笑顔になった。

プレゼント箱を宝物を持つように抱えた彼女は、ゆっくりとそれを開けた。


「すいません、入院してたものでして・・・」


「原因は蓮だからべつに構わん」


待たされた分、感動も大きかったしな。

彼は「直接渡すのが恥ずかしかったそうですよ」と付け加えた。


「プ〜レ〜ゼントは、なんだ〜ろ、なッ!」











「それと旦那様。これが壊した漁船などの請求書です」


「いらないプレゼント、どうもありがとう」

母の日だということに当日気づいたので、こういう形になりました。

大分遅くなりましたが・・・

にしても父親が主人公に似すぎて困ります。

いっそもっとちゃらけた人にすればよかった・・・

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