表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/70

第40戦 VS新商品

「さあ、新メニュー開発会議を始めるわよん!」


「「おー(棒読み)」」


意気込む店長、やる気の無いバイト二人。

閉店後の喫茶カフェに私、欅、店長の三人が集まっている。

日は暮れてお月様がそろそろ顔を出すだろう。

早く帰ってヌヌ猫の餌をやらねばならねば。


「なによぉ、ちゃんとやる気出しなさいよぉ」


「部活の後で疲れてるのよー」


「図書館で勉強して頭痛の状態で、急に呼びつけられたんだぞ」


「今月ピンチなのよん」


「それは欅が思いっきり客に暴行を加えて、いろんなもの壊してたからだろ」


「あんたは笑いながら傍観してたじゃない!」


欅が性的に嫌がらせしようとする客に、

あれはおもしろかったな。

常連客の方は「欅ちゃん頑張れー」とかはやし立てていた。


「その件はちゃんと、その男をアチキが脅しといたから大丈夫よぉ?」


悪役のようにニヤリと笑う店長。

その男に同情したい気もするが自業自得だ。


「それじゃ新メニュー提案を3つ用意したわ。まずはその1!」


テンションのやたら高い言葉とともに、銀色のドームを取り出した。

名前がわからない。

ドームの中身は私と欅から言葉を奪い去るに十分なものだった。


「・・・・」


「その名もゴッキーα!」


「「やめろ」」


ドームが取り除かれた皿の上には、ねずみサイズのゴキブリ君が。

食えたものではない。


「えー。力作なのよぉ?」


ここまでリアルにあの漆黒の生命体を再現されても・・・

本物と見分けが付かない。

しかも普通より大きい分、余計に気持ち悪い。


「その2。ビグロハマグリ・チョコケーキ!」


また微妙なものを。

色モノ以外のは無いのか。


「家人」


欅が私の名前を呼ぶ。

どうやら「食え」ということらしい。


「・・・・ビクビクと動いているのだが」


これ生きてるのではないか?

見た目を追求しないで、味の方で努力して欲しい。


「一応聞くがこれを作ったのは店長か?」


「後藤真木って子よぉ」


「うわぁあああああ!」


いつの間にか体についていた虫を払うように、ビグロハマグリ型チョコケーキを投げる。

はぁ・・・はぁ・・・


「家人、何してるの!」


「うるさい、やかましい!店長に私の気持ちはわからない!!」


「気持ちはわかるけど、とりあえず落ち着きなさい。ほら、ヒッヒッフー」


「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー・・・・ラマーズ呼吸法に精神安定作用はあるのか?」


「さあ?」


ラマーズ呼吸法とは


「その3。あなたの隣に私はいない、よ」


「そんな題名の恋愛小説ありそうだな・・・」


おそらく恋愛関連の何かを見た後に作ったからだろう。

店長が自慢げに蓋をあけると、今までで一番まともな見た目ののケーキが現れる。


「一応ショートケーキに見えるわね」


「だが変な形であることには違いない。何故カドケシの形でできているのだ?」


「経費削減よん」


微妙なせこさだな。

しかし削る分、労力要るだろ。

作る方は面倒くさそうだ。

ショートケーキの強度で、カドケシの形だと崩れやすいから製作難易度がかない高いな。


「そこは欅ちゃんが作るから問題ないじゃない」


「それならば問題ないな」


「大有りよ」


スパーンと出所不明のスリッパで店長と一緒にはたかれる。

私まで叩かんでも・・・


「これは少しショートケーキの材料をを硬めにするか、心材のようなものを入れるべきよね」


「ではこれは、もう一度再検討だな」


「また協力してね、欅ちゃん」


「暇な時に」


「あなたの隣に私はいない、の方はもって帰ってもいいわよ?研究用に」


「はいはい」


「コレで全部か、では帰るとしよう。帰るぞ、欅」


「欅ちゃん、送り狼に気をつけてね」


「それは私のことか?!」


「大丈夫でしょ。あんた羊だし」


うるさい。

硬派と言え、硬派と。


「じゃ、店長」


「じゃあねぇー」


夜道を2人で歩く。

先程のケーキはどうするのか、何故真木の生物兵器が喫茶カフェにあったか、などと他愛の無いことを話しながら家路に着く。

しばらくすると我が家が見えてきた。


「また明日な」


「じゃあね」


鍵を開けて部屋に入る。

暗闇の中で何かが光っている、と思ったが電気をつけて確認するとヌヌ猫の目だった。


「帰ってきたぞ、ヌヌ」


「ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ!!!!」


「ちょっ顔をなめるな、そこまでひもじかったとは・・・・・痛たたたたあた!?!」


私の顔についたショーとケーキを貪るヌヌ猫の舌。

餓えに占められたヌヌ猫の感情に影響され、その舌は今や私の顔を剥ぎかけている!


「わかった!飯は・・・・・・・ぐぁああぁぁぁああぁあ!!」







・あなたの隣に私はいない

・ハマグリキャノン形チョコG

・ゴッキーα

以上の3つは全て発売

全て大人気商品になり、喫茶カフェの赤字の危機から救う

(後、ハマグリキャノン形チョコGに中毒性を確認)

遂に40話ですよ、40。

まさかここまで来るとは・・・

感慨深い気もします。


あと真木について一応補足しておきます。

家人のためにケーキを作って喫茶カフェに持って行っただけです。

店頭販売しているモノは誰が作っているかと言うと、誰も作っていません。

勝手に増殖してるのを売ってるだけです。

死にはしない・・・・はず?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ