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第39戦 VS月光町プリン

夜。

外を窓から覗く。

曇りのせいか月明かりはないが、人工の光のおかげで明るい。

暗闇だらけの昔とは大きな違いだ。

宇宙から見ても光がわかるほどの光を人は実現させた。

人のユメへの願う気持ちと、先人達の努力。

しかし欲望である以上、他への弊害も多い。

これもそのユメが起こした弊害の一つ・・・

プロローグ終了、以下本編。


「ボクは絶対に謝らないもんね!」


「あー、うん」


麗香が私の部屋に来て「カンナちゃんに追い出された〜」といって泣きついてきたので、仕方なく問題解決のためにカンナと麗香の部屋に来た次第だ。

どちらが居候だかわからなくなってくるな。


「で、何が原因なんだ?」


「これ!」


カンナが指差したその先には空になったプリンのカップ。

寂しげに倒れている。

喧嘩の原因はプリンのようだ。


「お前プリンぐらいで追い出さなくても・・・・」


「お兄ちゃんはわかってない!これは喫茶カフェの月光町プリンなんだよ!?」


ああ、ウチのあれか。

月光町プリンは1ヶ月に1度くらいに50個限定で売り出される高級プリンだ。

店長曰く、作るのが大変だから毎日作ってられないとのこと。

名前の由来は某NHKアニメからだそうな。


「結局はプリンを勝手に食べられただけだろう?」


「じゃあ楽しみにしてた杏仁豆腐を勝手に食べられたら、お兄ちゃんはどう思う?」


「血祭りに決まっているだろう。当たり前だ」


「当たり前、じゃない!」


スパーンと後ろからスリッパで叩かれる。

この感触は・・・・っ!


「欅。何をする」


振り返ると腕を組み、少しきつい目をした欅。


「話が余計こじれるでしょ。らしくもない」


「す、すまん」


いつの間にか欅が不法侵入していた。

私の部屋ではないので、とやかく言うつもりはないが。


「えと・・・欅さん・・」


「話は大体わかったわ。麗香先生は今どんな感じ?」


「泣きつかれて眠っている」


「子供・・・?」


「麗香さん、精神年齢は低かったり高かったりだから」


フッ、とカンナの顔に影が差す。

どうやら苦労しているようだ。


「麗香は謝ったのか?」


「謝ってたけど・・・・」


「カンナ。麗香のことを許す気はないのか?」


「元々そんなに怒ってるわけじゃないんだけど・・・」


と言葉の後を濁らせる。

ふぅむ。

追い出すまで起こってしまった以上、こちら側からは和解しづらいというところか。


「カンナちゃんはこのままでいいの?」


「そ、そんなわけないよ・・・!」


うつむいた顔を上げ反論するカンナはどこか泣きそうだ。

どうしたものか。

私としても早く麗香に部屋を出て行って欲しいところだ。

宝蓮荘をおさめる者としても放って置くわけにはならんし・・・


「ボク・・・麗香さんに嫌われてたらどうしよう・・・」


「あー、もう!まどろっこしい!!」


「家人?!」


「え、お兄ちゃん?!」


ドアを開け放ち、夜の暗闇に突っ込む。

階段を駆け下りて、一階の自分の部屋に向う。


「全く手の焼ける・・・」


やるべきことは一つだけだ。

ドアを開け放ち、台所でうずくまっていた麗香の名を呼ぶ。


「麗香!」


「え・・・?」


「ちょっとこっち来い!」


動揺している麗香の腕を引っつかみ、106号室へまた戻る。

また階段を駆け上がる。


「――――!」


小言を言っているが、そんなもの全部無視だ。

知ったことではない。

カンナたちが待つ部屋のドアを開け放つ。


「はぁ・・・はぁ・・・ほら。つれて来たぞ」


ぽいっと麗香を投げて、かんなと向かい合わせる。

後は当人達の問題だ。


「カンナちゃん・・・」


「麗香さん・・・」


気まずい雰囲気が漂う。

そこで欅が動く。


「ほら、早くなさい」


そう言ってカンナの背中を押した。


「えと・・・出てけなんて言っちゃってホントにごめんなさい!」


「悪いのは私の方よ・・・ホントにごめん。お詫びに今度どこかへ一緒に遊びに行かない?」


「行く行く!」


それじゃ何処へ行こうかしら〜、と休日の過し方を二人は相談し始めた。

もう大丈夫だろう。


「欅さんとお兄ちゃんも一緒に行く?」


「いや、遠慮しとくよ」


「私も」


「そうなの〜?」


残念そうな麗香の声にもう帰ると告げる。

欅も帰ることにしたらしい。

二人で外へ出る。


「これで一件落着ね」


「ああ、そうだな」


「私が今度、月光町プリン作ってあげてもいい?」


「その時はちゃんと2人分頼むよ」


また2人が喧嘩するのはごめんだ。


「何言ってんの。あんたも合わせて3人分よ」


「それならお前も合わせて4人分だろ」


「じゃあもう宝蓮荘の全員分つくるわよ」


笑いながら家路につく。

と言っても距離は無いに等しいが。

そんなこんなで欅と別れ、自分の部屋に戻る。

仲直りしてくれて本当に良かった。


「ふぅ・・・」


台所の電気をつけるとそこには寂しげに倒れた杏仁豆腐のカップが・・・







この後「血祭りじゃぁあああ!」と叫んだ家人を、欅が殴りに来たのは言うまでも無い。





週一更新になってます。

もう読者様からも見放されてる気がしますが、終わらせるまではしっかり更新していきたいです。


今回、色々とミスがあるかもしれませんが、その時は指摘お願いします。

とりあえず謝るトコらへんが納得いかないので、そのうち書き直したいです。

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