表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/70

第35戦 VSデート「橋上の告白」

今回の話はボク、橘カンナ視点だよ。

映画が終わった後も、おにいちゃんを尾行続行。

橋の上にお兄ちゃんとユカさんがいるのを、ボク達は少し離れたから木の陰から見ている。


「だ、大丈夫ですか、家人さん?」


「・・・・・ヒック・・・・ホラー映画なんて二度と見るものか・・・・」




『泣いてるけど、アイツ』


『ギャップ萌えですねっ★』


『そういえばお兄ちゃんは、昔からホラー映画が苦手だったなぁ〜』




「泣いてなんか・・・いないっ・・・!」


「家人さん・・・・・ふふ」


「笑うな!」


ユカさんすごく楽しそう・・・

もしやS気質?

彼女は笑顔のままお兄ちゃんに提案する。


「さ、さっき買った杏仁豆腐があるんですけど、食べますか?」


「・・・・・ああ、悪いな・・・・」


「はい、どうぞ」


「すまんな・・・・いや、何処で買ったのだ?」


「映画館で」


「・・・・そうか」


二人は橋の上にあった椅子に並んで座っている。

ぐ、ここから見ると恋人同士に見えないことも無い


「市販にしては、なかなかうまい杏仁豆腐だな」


「その分、普通より少し高いんですよ」


「いくらぐらいしたのだ?」




『何か交通人の視線が痛いんだけど』


『欅先輩、それくらい我慢して下さい。心頭滅却すれば火もまた涼しって奴ですよっ♪』


『端から見たら、ただのストーカーだもんね』


『・・・カンナちゃん、元々ストーカーでしょ』


『いいえ、愛の追跡者です』




橋の上に風が吹き続ける。

少し目を離した隙に、二人の間にただならぬ雰囲気が漂っている。

と言うよりユカさんの顔がいつもとは別物の、こわばったものになっている。

お兄ちゃんはいつものままの自然体で、その雰囲気に気づくこともなく杏仁豆腐に没頭している。


「家人さん」


「なんだ、どうかしたか?」


ユカさんの瞳はろうそくの炎のようにユラユラと揺れているように見える。

ほんの少しの間なのに、長く、永久とも思える時間に感じる。

木の陰に隠れているボク達三人も言葉を発することなく、じっと二人を見ている。

同時に本当に美味しそうに杏仁豆腐を食べているお兄ちゃんに少し苛立ちを覚える。

なんだかなぁ・・・


「その・・・」


「?」


橋の上に吹いていた風がやむ。

それとともに迷いを振り切りったかのようユカさんの瞳には、決意の炎が燃え上がるのがうつる。


「い、家人さん、好きです!付き合ってください!!」


セリフは何処でもあるような普遍的なもの。

噛みそうになりながらも一気に出し切った言葉。

前置きもまったく無い。

にもかかわらずそれには重みが感じられる。


「ああ、私は一向に構わないぞ」


「家人さん・・・」


お兄ちゃんがそれがさも当然のように返されたの返事に、ユカさんは緊張が含まれたような息を吐き出し安堵する。

ボクの頭はそれを見て頭の中が真っ白になってしまった。


『家人先輩』


『・・・・・・』


お兄ちゃんが付き合うことにしたということは、僕の失恋を意味する。

その事実を頭で理解したとたん、胸が締め付けられる。

好きな人がどこか遠くへ行ってしまったのかのよう。

苦しいよ・・・

















「ほら行くぞ、杏仁豆腐を買いに」












「え?」


『は?』


『よかったっ♪』


はい?


なんて今言ったの?

まさか・・・


「ああ、私も好きだぞ、この杏仁豆腐」


なるほど。

ハイハイハイハイ。

好き⇒杏仁豆腐が

付き合う⇒杏仁豆腐をもう一つ買いにいくのを

だと思ったと。

あはははははは・・・・はは・・・は・・・


「・・・・・・」


「どうした?」


『どうしたじゃないでしょうが・・・・!』


『ま、先輩ですからねっ★』


まさかおにいちゃんの鈍感力がここまでのものとは・・・・

決死の告白をかんちがいなんて・・・・

はぁああああ。


とりあえず


「「「ふざけるなぁっ!!」」」


「グハァッ・・・?!」


ドボーン!


ユカさん、ボク、欅さんのトリプルキック。

そのままお兄ちゃんは橋から落ち、河にはドボン。


「で、なんで欅さんとカンナちゃんがいるんですか?」


マズい、非常にマズい。

どうしよう・・・・


「真木ちゃんも出てきてください」


まだ隠れてたってことは、絶対やり過ごす気だったんだろうな・・・

少しずるいなぁ、まったく。


「えへへ、バレちゃいましたかっ☆」


「ずっと尾行してたんですね?」


「え、いや、あの・・・・」


怖ッ。

修羅がそこにいる!

体感温度が5度くらい下がった。


「すいません・・・・」


「ごめん・・・」


「ごめんなさいっ♪」


真木ちゃん、よくこの空間で笑顔でいられるね。

僕は怖くて仕方ない・・・・

あ、真木ちゃんも冷や汗ダラダラだった。


「いいですよ、私も怒っているわけではありませんし」


ふぅ、とまたため息をつく。

その割にはさっきから殺気がもれてるよ・・・・・

ほんとに怒ってないの?!


「私が怒っているのは家人さんにです」


そっちかぁ。

ま、お兄ちゃんは自業自得だよね。


「それじゃ帰りましょう、宝蓮荘に」


「「は〜い」」


「疲れたわ・・・・」


ユカさんの勇気を振り絞った告白がなしになったら、お兄ちゃんの鈍感さへの怒りと安堵で複雑な気分だ。

まあいっか。

川を流れてるお兄ちゃんは放って置いて帰ろ。


「へっくしゅ!私がいったい何をしたというのだ・・・・へっくしゅ!」







橘家人は川に流されて帰宅。

後日風邪をひく

ハイ、これで4話にわたるデート編はこれにて終了です。

主人公はデートだとは思って無いでしょうけど。

しかし映画館に行くことになったのは、昨年の12月の頭に更新したはなしです。

今は3月(もうすぐ4月)。

この4ヶ月間何してたんだ!

ナドの苦情は主人公様にお願いします。

決して私が忘れてたわけではありません。

ただ忘却の彼方へトんでいただけです。

・・・・ごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ