第27戦 VSテレビ・オブ・テレビ
「・・・暇だな、テレビでも見るか」
昨日で今週の予習・復習のノルマは終わらせてしまったしな。
リモコンを取り、我が家のアナログテレビをつける。
そろそろデジタルに買い換えるべきか。
あ、金が無いから無理だ。
「はぁ・・・」
家賃は宝連荘の維持費程度しかとっていないからな。
仕送りもナシ。
必然的にバイトの収入が、私の生命線になる。
ため息をしたい私の心境を察してくれたのか、ヌヌが頭の上に乗っかり慰めてくれる。
慰めてくれていると言って良いのだろうか?
「ん、テレビショッピングか?」
『わら人形の7セット、今ならプロの呪術師が三日三晩かけて呪った五寸釘もつけて三十万円!さあ、コレを買って皆で牛の刻参りに行こう!!お問い合わせは大和通販まで〜』
「・・・30万は高いだろ」
ツッコミどころの多いCMだな。
渋谷並み人口密度で、皆が丑の刻参りが行っている光景が脳裏に浮かぶ。
そこまで行くと呪術の効果も落ちそうだ。
『ノモま〜でも、ノモま〜でも♪私立大和高校は、バカ安い学費と高い設備が揃っています!さらに部活や同好会も充実!』
どこかで見たような映像が流れる。
大和高校CMあったのか。
出演している校長は、いつもよりいいスーツを着ている。
バカ安いというけれども、当たり前だが公立よりは高いからな。
あ〜学費もバカにならん。
『キャラの濃い教師陣が、貴方に勉強を教えます。更に可愛い子は試験ナシで面接だけで合格!!』
前半部分に特に何か言うつもりは無いが、後半の試験ナシって良いのか?!
校長・・・・なんだかもう・・・・
『入学して、美少女達と屋根ひとつの下で暮らしている、怨やましい男子生徒を・・・ちょ、おまえ何故ここに・・・ぎぁああああ!!!?』
あ、校長の奥さん。
多分死んだな、校長。
にしても羨ましいを超えて、怨やましいとは・・
大変そうだな、その男子生徒。
『喫茶カフェ〜午後の一時を喫茶カフェで〜』
店長、いつCMなぞ作ったのだ・・・
私は知らんぞ。
『うちの看板娘を紹介するわぁん』
・・・・欅。
顔を真っ赤にして、フリフリの付いた服で店長に引っ張られて出てくる。
『べ、別にアンタなんかに来てほしくないんだから!』
もし私が欅の立場なら首を吊る。
前に丼モノがこんな感じの店に行ったとかほざいていたな。
どうりで最近変な客が増えていたわけだ。
まあ客は増えたから別に良いが。
『3・・2・・・・・1、今日のニュースを伝えます』
化粧のやたら厚いキャスターが出てきて、ニュースが始まった。
素顔はきっとすごいのだろうな。
『通称、先走り桜の名で微妙に知られる東行桜が大変なことになっています。では現場の渡部さん』
東行桜と言えば、大和邸から目と鼻の先ではないか。
ん、今現場の渡部って言わなかったか?
『エイリアンのような生物が大量発生しています』
あの時の真木の御節ぃぃいいい!!
まあ生きているのだから、繁殖もするか。
『中には4mを超えるものまで、家人様どういたしましょう?』
私に聞くなよ、渡部!!
何故私がニュースを見ているとわかっているのだ?!
未曾有の生物災害だ。
怖ろしい。
それに対しヌヌは私の頭の上で毛づくろいをはじめる。
『え、エイリアンの数が減っています』
キシャアアアとエイリアンもどきが悲鳴を上げ、緑色の体液を撒き散らす。
誰だ?
『うるぁあああああああ!!』
・・・・母さん。
薄々そんな気はした。
『蓮様がエイリアンを瞬く間に、破砕していきます』
内容がグロテスクな為かモザイクがかかっている。
生放送なのによくやるものだ。
『ま、ざっとこんなもんかな』
緑色の返り血を浴びまくったマイマザーこと橘蓮。
浴びすぎで全身緑色で誰だか判別が付かん・・・
とりあえず今のは見なかったことにして、煎餅食べよう。
「ネギ煎餅は確か台所だったか」
台所に足を踏み入れた瞬間、世界の時間が停止する。
単に私が固まっただけだが。
「これは・・・・」
ここにいたのがゴキブリだったら、どれだけ良かったろうに。
キシャァアアと、私を威嚇しているのは先刻テレビに映っていたエイリアンもどきだった。
「シャー、シャー」
「・・・・」
一匹や二匹ではない。
目算で30はいる。
エイリアンもどきが101号室に大量発生
これより討伐を開始する
繁殖力が高い為、一匹たりとも逃すことは許されない
備考・チャンネルは地方
小学生のとき、アナログとアダルトを同じ言葉だと思っていました(実話です)
どうも、仙人掌です。
我が家のテレビはデジタルなんですが、機能が多くて使いこなせません。
ボタンなんてチャンネルと電源、音量だけでいいのに。
番組表が出てくるまでの時間にイラっときます。
新聞見たほうが速い気がします。
アナログの時代が懐かしい・・・