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番外戦2 リンと欅の運命

疲れた体を紅茶を飲みながら癒す。

何が悲しくて正月をバイト先で過ごさなきゃいけないのよ。

正月なのに需要があるこの店が原因よね。

客はおせち風ケーキなどを注文して、それぞれ持参してきたお酒を飲んで盛り上がっている。

ん、私が誰だって?

樫野木欅よ、喫茶カフェの店員の。


「休憩終了よ〜」


「はい店長、今行きます」


肌は浅黒く、頭はスキンヘッド。

サングラスとタキシードを身に纏えばマフィアのような外見だろう。

いかつい風貌に不釣合いな店の制服を着て、オネエ言葉で話す。

それがこの喫茶カフェの店長だ。


チリンチリン〜


「いらっしゃいませ・・・ってリンか」


「・・・失礼・・・」


林葉しょっちゅうここに来るわね。

家でも毎日顔合わせてるから、嫌になっちゃうのよね。

あたしと林葉は大和高校に通うため叔母さんの家に居候している。

そのあたりに色々とエピソードがあるけど、その話はまた今度の機会に。


「・・・橘君は・・・?」


「あいつは休みよ、なんでも里帰りとか」


「・・・そう・・・」


ったく、あの馬鹿は急に休むとか言い出して。

ウチは変な店だから、ただでさえ人手が足りないのに。

頭の中で愚痴をこぼしていると、リンがいきなり突拍子の無いことを言った。


「・・・追い出されることになった・・・」


「は?」


いきなり唐突にわけがわからない言葉を聞いたので、聞き間違えかと考える。

しかし私の耳は確かに「追い出されることになった」と聞こえた。

はい?


「・・・二人とも、家を・・・」


「はあああああ?!!?」


何であたしらが追い出されなきゃなんないの?!

なんか悪いことしたっけ?


「どういうことよ!リン、あんた何かしたの!?」


「・・・説明する・・・」


林葉の話はこうだ。

私達を居候させてくれた、独身だった叔母さん(29)が結婚することになったらしい。

叔母さんについては、クリスマスイヴのときの第12戦参照。

それで叔母さんは、結婚相手側の家に嫁ぐことになったそうだ。

で、住んでいた家は売ることになったため、私達は移住を余儀なくされたというわけだ。 


「私達はどこに住めばいいのよ!!」


「・・・アテならある・・・」


「え、本当?」


「・・だから期日の三日後までに・・・」


「荷物をまとめておけってこと?」


コクリとリンが頷く。

林葉のアテっていったいどこ?

気になる。


「ねえ、リン・・・」


「ちょっと、樫野木ちゃんサボらないで!」


「あ、スイマセン店長」


といっても客は勝手に宴会を開いてるので、別にサボってもいいと思うんだけど・・・

それもそれで問題かも。


「欅ちゃーん、俺らのトコにダンデドーナッツ4つ追加で頼むわー!」


「はいはい、ちょっと待ってろこの腐れ男」


「・・・客に向って腐れ男は無くね?」


はあ。

なんかさっきから、ため息ばっかりね。


「・・・帰る・・・」


「ん」


何しに来たんだか。

せめて何か食べていきなさいよ。


「・・・あと、コレ・・・」


林葉が差し出したのは、雑誌からある観光スポットのページだけを、切り取ったものだった。

大体ここから1時間ってところね。


「・・・叔母さんがお別れ会だって・・・」


私達は居候させてもらってただけだから、別にいいのに。

ま、どうせだからお言葉に甘えるようかしら。

ありがと、叔母さん。


「・・・叔母さんは行かないけど・・・」


「それもう、お別れ会じゃないでしょ!!?」







森林葉と樫野木欅の移住決定

タイトルから内容をシリアスだと予想した人がいたらごめんなさい。

今回はいまいちタイトルが思い浮かばなかったのでこうなりました。

いつも通りコメディー調です。

嗚呼、今日も平和ですねぇ。

深い意味はありません。


タイトルは置いといて、遂に店長登場です。

チラッとでしたけど。

店長は今の強面オカマが気に入ったので、わざと見た目の描写をしてみました。

今度の店長の出番はちゃんと取ります、もしかしたら。

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