第1戦 VS向陽由華
転んでしまった。
服が汚れたがまあ良いか、人間外見より中身中身。
そんな思いを込めて102号室のチャイムをならす、意味は無い。
ちなみに私は101号室で一階の一番端だ。
「はぁ〜い」
たたたたたたた、ズテッ!
多分転んだんだろう。
「痛たたた、おはようございま・・・家人さん?!」
そこまで動揺しなくても・・・
住民にして同級生の一人、【向陽 由華】だ。
「ああ、おはようユカ。先刻転んだようだが大丈夫か?」
下の名前で呼んでいるのは宝連荘特有の下の名前で呼べ、というルールがあるからだ。
それが無くとも普通に呼ぶが。
「はい!全然大丈夫です!!」
彼女は、家賃を自発的に持ってきそうに見える。
しかし忘れっぽいところがあるからな。
「あ、わあああ!まだパジャマでした!!」
なぜかテンパっている。
そんなに焦ることか?
たたたたった、ズテ!
今日中にユカは何回転ぶのだろうか、はて。
嗚呼、いい天気だ。
洗濯物がよく乾きそうだ。
「ちょっと待って下さ〜い、痛たたた」
ん、ドア開けっ放しだが入って良いのか。
・・・覗きになりそうきがするな。
やめておこう。
暇だ。
素数でも数えるか。
「1、2、3、5、7、11、13・・・
・・・1113・・・って遅すぎるだろ」
ここまで数えるとは思わなかったぞ。
あれ、1113って素数か?
3で割れる気がする。
「もういいかー?」
応答ナシ。
もしや寝てるとか。
・・・ユカならありえなくもないな。
入るか。
寝室と思わしき扉を開ける。
「きゃぁあああああ!」
やってしまったな・・・
ある意味期待通りか。
着替えに集中してたみたいだな。
ベタだな。
案の定着替え中。
由華のスタイルは中々良い方なんだな。
って変態か。
「・・ぁああああああ!!」
「ある意味で期待通り゛っ?!」
鈍い音を立て、あごに拳が爆裂した。
天へ昇れそうなアッパーだ。
いいもの持っている・・ではない・・・か・・・
ここまでの思考時間0コンマ秒。
「家人さん!誰がこんなひどいことを?!」
ベタすぎてツッコむ気すら失せる。
「だ・・・大丈夫なんですか?」
「まぁ、慣れているからな」
母さんに組み手と称されて、いじめられてたからなぁ。
あの物理法則シカトした動きはぁあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!
嫌なこと思い出した・・・
「スイマセン、先ほどははしたない姿を晒してしまって・・・」
「あ、ああ」
謝るのはそっちか?
あ、いつ着替えた。
そんなこと考えていると、グゥ〜と腹の根がなる。
仕方ないじゃない、人間だもの。
「朝ご飯食べてないんですか?」
「あ、ああ」
「じゃ、お詫びに朝ご飯作りますよ!」
魅力的な提案だな。
ユカは料理がうまかったからな。
「ではお言葉に甘えるとしよう」
「はい!・・・私が家人さんの料理をつくるなんて、ああ・・・運がいい日です・・・あわよくばこのまま・・・」
ブツブツつぶやきながら台所に向かう。
なんか怖い。
にしても、また暇になるな。
素数をまた数えるか。
えーと1112だったかな?
「朝ご飯、できましたー」
「早っ!!?」
「さ、どうぞどうぞ」
「では、いただこう」
ぱくりと一口。
口の中が産業革命。
・・・・言ってみたかっただけだ。
「やはり、かなりうまいな」
「ありがとうございます!!・・・・もう、とろけそうです・・・」
悔しいが私より、はるかにうまい。
一応自炊している身なのだがなぁ。
「由華はいい嫁さんになれそうだな」
「え?!あ、アハハハハハハ、そんなこと無いですよ!」
顔を原色のギドギドな赤のように真っ赤にして手をふる。
もう少し自分の腕に自身を持てばよかろうに。
ってここに来た理由を忘れているっ?!
家賃だ家賃。
・・・・・・・かなり言い出しづらいな。
朝食までご馳走になって。
もしやここまで計算していたか。
絶対それはないな、うん。
なぜならユカだから。
「あ、そうそう妹に、彼氏ができたそうなんですよ」
「ほぉ〜」
・・・・・
いや、だから家賃だって!!
「いや〜、妹に先を越されちゃいましたね」
「彼氏いても、おかしくないのにな」
意外だな。
結構モテていたと思うのだが。
あ〜!家賃とりに来たんだって!!
一握りの勇気をふりしぼれ。
言え、言うんだ、私!
ってなんか告白前の女子生徒っぽい。
「あ、これ家賃です、はいどうぞ」
私の苦悩は?!
もういいや素数数えよう。
向陽由華―無事徴収完了
ちゃっかり朝食を完食
ただし大幅なタイムロス
前話のあとがきが長かったので
誤字・脱字等ありましたら、ご報告してもらえると私が狂喜乱舞します。もといありがたいです。
アドバイスとかして下さると更に狂k・・・ありがたいです。
文章力が極低ですが、どうぞ温かいまなざしで見守ってくれたら私がきょ・・・嬉しいです。
しつこくてすいません。
そもそもここまで読んでくださってありがとうございます。




