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番外戦1 宴の準備

どうも、点鈍てんどん克呑かつどんです。

只今午後5時。

家人君を除いた宝蓮荘全員、僕たちは家人君の部屋に侵入してます。

音を立てないように慎重に歩いていると、後ろから健児君が大分トーンを落として話しかけてくる。


(家人はしっかり眠ってるか?)


(ちょっと待って)


と、同じく小さい声で返す。

ゆっくりとドアノブを回し、細心の注意を払いながら寝室を開ける。

家人君は毛布をかぶって机にうずくまったまま、ぐっすり眠っていた。

その周りには、書きかけの年賀状が置いてある。

どうやら年賀状を書いている途中で眠ってしまったらしい。

イヴの喫茶カフェの多忙さは家人君ですら敵わなかった様だ。

最大のネックだったヌヌ猫は、主人の代わりにベッドで寝ている。


(大丈夫だよ)


(オッケェ)


麗香先生がメンバーを一瞥いちべつし、小さいながらもハッキリとした声で告げる。


(それじゃあ作戦開始ね〜)


僕たちは無言でうなずき、作戦を開始する。

その作戦とは、家人君が眠っている間にクリスマスパーティの準備をするという、極々単純なものだ。

クリスマスパーティは毎年管理人が取り仕切るんだけど、今年は家人君が忙しいので中止になっていた。

それを皆に伝えた時の家人君が少し寂しそうだったので、この作戦が行われることになったのだ。


(麗香先生、七面鳥は・・・)


(それはこっちに持ってきて)


ちなみにこの作戦の立案者はユカさんだ。

ニヤニヤ。

愛されてますねぇ、家人君。


(丼モノ、そういや家人って寝てても侵入者がいたらすぐに起きるよなぁ?)


(麗香先生が頃合を見計らって催眠ガスを使ったから象が踏んでも起きないよ)


(・・・・・そうか)


健児君は言いたいことを呑んで、部屋の飾り付けに黙々と取り組む。

余談になるけど、ガスは副作用も後遺症もない優れものだそうだ。

むしろ健康にいいらしい。

効果は高いそうだが、家人君の無駄に超人的な策的能力を考慮して静かに行動している。


(先輩達も手を動かしてくださいっ)


(はいよ)


真木ちゃんはいつも通りのイントネーションなのに声は小さい。

って今すごい危ないものを見た気が?!


(な、何してるのかな、真木ちゃん?)


(何って・・・家人先輩の好物の杏仁豆腐を作ってるんですけど?)


といってまたなべの中身をかき混ぜる。

その様子は魔女が怪しい毒薬を作っている姿とほとんど同じだ。

フフフとか笑ってるし。

不味い、非常によろしくない。

料理に殺される!


(ええっと・・・料理はユカさんがやってるから大丈夫だよ?)


(でもほら、杏仁豆腐は先輩の好物ですからっ☆)


君が作ってるのは杏仁豆腐じゃなくて兵器だから!

このまま行けば宝蓮荘から半径20メートルくらいは更地になる。


(ええっと・・・オリハルコンとクロロホルムを少々・・・)


何が出来上がるんだろ・・・・

これ食べなきゃいけないとか勘弁して下さいよ。

こんな時こそ麗香先生だ。


(真木ちゃん、隠し味にプルトニウムはどうかしら?)


(いいですね、それっ♪)


ちょ、麗香先生!

何悪ノリしてるんですか?!

「やっちゃった〜」じゃないから!

舌を出してテヘッとかやめてください。

まったくいい年こいて。

あ、スイマセン。


(健児君・・・どうにか・・・)


希望の光の方を向くと、鼻血をたらしながら妄想に悶えている危ない姿があった。

そっか。

麗香先生のさっきの仕草にヤられたわけね。

僕は2次元の女性にしか興味ないからなぁ。

萌殺度さっしょうりょく高かったんだ。


(ユ、ユカさん?)


人類の最後の希望に声をかける。

しかしその先にあったのは、【媚薬】という胡散臭いラベルがられた容器から、桃色の液体をケーキにコッソリしこんでいる哀れな少女の姿だった。

それ騙されてるから。

たぶん通販で買ったんだろう。

ユカさんはすごい騙されやすそうだし。


(希望の光はついえたか・・・)


まあいっか。

食べるのは全部家人君っぽいし。


(さて、私の分担は終わったわよ〜)


(料理も全部並べ終わりました)


真木ちゃんの作った分も含めて。


(こっちも大丈夫ッス、先生・・・・ハァハァ)


健児君、ごめん。

今僕には君がゴミにしか見えない。


(丼モノ先輩も終わりましたか?)


(あ、うん)


部屋を見渡すと、見ているだけでジューシーだろうとわかる七面鳥。

上品という印象さえ抱かせる、生クリームのケーキ。

他の料理も思わずよだれがたれそうなくらいに美味しそうだ。

真木ちゃんの杏仁豆腐せいぶつへいきを除いて。

なんか動いてる・・・

もちろん準備は料理だけだったわけではなく、天井近くには配色がしっかりしている輪飾り。

1メートルくらいのクリスマスツリーも置いてある。

中々いい仕上がりにだ。

これなら家人君も満足してくれそうだ。


(そろそろ催眠ガスの効き目が切れる時間だから皆配置について〜)


家人君は効き目が切れると同時に、侵入者を排除しに飛び起きるだろうから注意しないと。

皆クラッカーを持って寝室のドアの前に移動する。

変に緊張した雰囲気が張り詰める。


(それじゃ・・・5、4、3、2、1・・・)


バァンと扉が開け放たれ、少し寝ぼけた家人君が出てくる。

寝癖で髪が乱れ、少しフラフラした感じだ。

眼の焦点があっていないので、多分僕らを泥棒か何かと勘違いしているだろう。

完全に寝ぼけているが管理人としての習性か、僕らに対して怒鳴る。


「何処から入った曲者ども!」




パァン!




一斉にクラッカーを鳴らす。


「へ?」


家人君は何が起こったかわからず、あっけに取られている。

呆けた表情の家人君に畳み掛けるようにして、お決まりのセリフを言う。

口元に笑みを浮かべて、声をそろえて、日頃の感謝の気持ちを込めて、


『メリー・クリスマス!!!』








オチを取ったら似非爽やかになりました。

今度はちゃんとしたホームドラマ的なモノを書きたいです。

精進、精進。



追伸

クリスマスプレゼントありがとうございました。

キーボードをうつ手は冷たくとも、心は温かいです。



オチを取ったらほんの少しだけ爽やかになりました。

自分で読み返して、改めて自分は未熟だなぁと思いました。

コメディも温かい話もうまく書けるよう精進します。

ちなみにクリスマスパーティは夜まで続いたそうです。

過労でそのうち家人君は倒れることでしょう!

朝っぱらから滅茶苦茶に食べたそうですし。

以上、戦況報告代わりを作者がやってみました


それとクリスマスプレゼントありがとうございました!

キーボードを打つ手が冷たくとも、心は温かくなりました。

・・・・自分で言ってて恥ずかしい気がしてきました。

それはともかく感謝してます!!

ではまた次話のあとがきで。

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