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第12戦 VSクリスマス・イヴ

「悪戯用塩ケーキ1つ」


「了解しました・・・っと」


あー忙しい忙しい。

ここはケーキ屋、そして今日はクリスマスイヴ。

その二つの要素のせいで店がとても忙しいため、私がレジ打ちにかりだされている。

ええと、先刻の男性客の注文は、悪戯用塩ケーキだったな。

犠牲者の方には心からご冥福をお祈りしよう。

この悪質なケーキが売れていること自体嘆かわしいな。

食べると塩分恐怖症になる程の味と評判だ。


「お持ち帰りですか、それともこちらで食べるか?」


あ、タメ口になってしまった。


「もちろんお持ち帰りに決まってるじゃないか・・・・フフフフ・・・アーハッハッハ!!」


この男、最早もはや止まらんな。

というか次の客が待っているのだ。

早くどけ。

その男は高笑いをしながら店外に出て行った。

彼が先刻いた場所には、悲しみという言葉が具現化したような男性客がいた。


「い、いらっしゃいませお客様。御注文はなんでしょうか?」


「スターアルベジオケーキを・・・・」


「かしこまりました」


で、出た!

スターアルベジオケーキ!!

クリスマス限定の、彼女に約束をバっくれられた男や、失恋した人が食べるケーキだ。

今年も哀れな子羊がまた一人・・・


「来年はあなたに幸せが訪れますように・・・・・420円になります」


このケーキを買った人には、このセリフを言うのが決まりだ。

しかし励ました次の瞬間、おだいを請求するのはどうなのか。


「また・・・・頑張ってみるよ」


ぎごちないが、彼は微かに笑みを浮かべた。

良かった良かった。

女なんて30億人くらいいるのだから、そうめげずに新しい恋に向って走れ!

喫茶カフェの面々は皆応援しているぞ。

では次のお客。

ん?

見覚えがあると思ったら、我がクラスメイトではないか。


「家人ー、男の友情ケーキ4つ、お持ち帰りで」


4つか。

1つ足りんな。


「樫野木ー!男の友情ケーキあるかー!」


「ちょっとまってなさーい!」


厨房の奥とカウンターだと、どうにも会話がしづらい。

級友に目を向けると、寂しげな雰囲気を目に宿していた。


「友情をさかずきにクリスマスを過ごすか、谷山」


「今年こそは恋人と甘い一時ひとときを過ごしたかかったんだけどな・・・・あと俺は山谷だ」


スマンスマン笑いながら、厨房の奥から出てきた樫野木の差し出したケーキを受け取る。

そして励ましの言葉をかけてケーキを渡す。


「頑張って彼女作れよ。ほら、注文のケーキだ、谷山」


「ああ、頑張るよ。それとお前わざと名前間違ってるだろ!」


「ハハハハハ、それじゃあな」


少し寂しげながらも、ケーキを受け取る前と違い、小さくとも確かな希望の灯火ともしびを持ちながら山谷は帰っていった。

お前ならきっと彼女ぐらいできるさ。

良い所はそれなりにあるし、ただ今年は運がなかっただけさ。

私がお前に彼女ができると保障してやる。

だから安心しろ、谷山。


「次のお客様どうぞ〜」


グデングデンに酔っ払った女性客。

常連客の一人だ。

年齢は確か三十路くらいだったはず。


「恋人1つ、テイクアウトで」


「恋人は物じゃないだろ」


言動からわかるように、只今彼氏募集中だそうだ。

結婚できなかっただの振られただので、頻繁にこの店に愚痴りに来る。


「樫野木ー!ちょっと頼む!」


はいはいと言いながら、気だるそうにカウンターまで出てくる。

厨房はカウンターよりさらに忙しいようだ。


「頼むって何がよ・・・・って叔母おばさん!?」


彼女は樫野木の叔母であり、同居人でもある。

なんでも樫野木が親との折り合いが悪く、叔母の家に居候しているそうだ。

ちなみに宝蓮荘住居暦あり。


「ウィーヒック、やっほー欅ぃぃひひひひひーっひっひひひ」


泥酔状態だな。

これは笑い上戸に分類されるのだろうか。


「うわ・・・・どう考えても飲みすぎね・・・」


「よくもまあここまで飲んだものだ、ということで樫野木頼む」


「えー、仕方ないか・・・」


「う・・・なんか気持ちわりゅくなってきた・・・」


「ちょ、吐いたら全部食べなさいよ!!」


大分テンパっているな。

はい、次のお客。

常連のカップルさんが来たようだ。

といっても今はまだ、ただの幼馴染のようだが。


「俺はクリスマスケーキ1つ」


「それじゃ私はクリスマス限定ホワイトツリーケーキ2つとケーキ・オブ・ザ・トワイライトとサンタズスカーレッドとアンシメントリーケーキ、永夜ショートケーキとアーカード・ティラミス、それとパルスィクッキー、サンライトオーバーイエローケーキとゴールド・エクスペリエンストロベリーケーキとクレイジー・ダイアモンブラン、ああ、ついでに美味しいアバ茶と紅茶をお願い、御代はツケで」


「お前の胃袋はブラックホールか?!」


む、ツッコミを取られてしまったな。

残念無念。


「ここまでの金額になると流石にツケは辛いな」


「そっか、今いくら持ってる?」


と隣の相棒に聞く。

当の相棒は露骨に嫌そうな顔をする。


「自分の分は自分で払えよ?」


「アンタのモノは私のもの、私のものは私のもの」


なんというジャイアニズム。

ここまで堂々としてると、かっこいい位だな。

言ってることは最低だが。

アンタと呼ばれた方は更に嫌そうな顔をする。

流石に空気を呼んだのか、大量注文はあきらめたようだ。


「じゃ・・・じゃあウェディングケーキでも買ってみる?」


と頬を赤らめながら、チラッと横を向く。

向いた先のアンタさんは


「何でそんなモン食べんだよ、普通のケーキでいいだろ。おまえんトコの家族と食べるんだしよ」


コイツの鈍感力大したものだな。

そろそろ私か誰かが諭してやるべきか。

あっさり拒否された彼女は・・・・・・ヒッ。

さ、さて。

次のお客、次のお客。

あ、もう大分並んでいる。

不味い、急がなくては!


「ぅぅぅううう、吐きそう」


「叔母さん、吐いちゃ駄目よ。吐いたら今まで我慢してきたものが全部無駄になるのよ!」


「うううううう」


「ちょと、待って!俺が何をしたっつぅんだ?!」


「大丈夫、アンタは何の心配もしなくていい。痛いのは最初だけ、後はだんだん気持ちよくなるって」


「やっ、ホントマジ勘弁!その手に持ってるの何?!」


「ウフフフフ」


「え、イヤ、マジでいくのか、これ?無理無理無理無理!!」


「い・・・イクぅううう!」


「せめて吐くって言いなさいよ、いい年こいて!」


「私はまだまだ若・・・・ゥオボロロロロロ」


「ああああああ、もうっ!!」


「アンタいい表情かおしてる・・・・女王様って呼んでみて」


「ふざけんな!・・・え、それは無理だって・・・アッーー!」


あー忙しい忙しい。







家人は12時ごろに帰宅

早寝早起きが生活習慣な家人は死にかけた

その後年賀状を書こうとして机の上で力尽きた

メリー・クリスマース!

累計アクセス数が10000を突破しました!!

皆様この【宝蓮荘の高校生管理人】にお付き合いいただき、本当にありがとうございます!

もう一度、メリー・クリスマース!

ハイテンションでスイマセンねっ!!

といっても相変わらず恋人がいないクリスマスですが、例年通り。

その寂しさを紛らわす、感想という名のクリスマスプレゼントが欲しいです。

最大限の愛情を込めて返信いたしますので。

あ、結構気持ち悪かったですかね・・・・

それではそろそろお別れの時間です(何の時間だ

明日には番外編をまた更新しますので、そのときにまた会いましょう。

最後にもう一度、メリー・クリスマース!





・・・そういやメリークリスマスのメリーってどんな意味なんでしょうか?


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