戦闘準備兼物語基礎知識説明
カーテンの隙間から一日の始まりを告げる、紫外線を含んだ日差しがさしこむ。
あくびをしながら古典的なタイプの目覚まし時計を見やると、現在時刻は十時前後。
訂正、とっくに一日は始まっていた。
「さて、起きるか」
ここは「宝連荘」の101号室。
今時の子供の名前並に読みづらいが「ほうれんそう」という。
そんなノリだけで名前がつけられたアパートだ。
築五十年を超える老朽化が進む建物だが、少しずつリフォームしているため所々新しい。
部屋は広いのだが、儲けようとか言う考えはないくらい安い物件だ。
ちなみに部屋は、8分の6がうまっている。
そろそろ自己紹介をさせて貰おう。
私の名前は「橘 家人」。
下の名前の読み方は「いえひと」だ・・・私も十分今時の子供の名前かもしれん。
よく初対面で名前を間違えられる。
特に日本史を取っていた方には、ケニンという余り嬉しくない読み方をされる。
詳しくはグーグル先生に聞いてくれ、簡単に言うと昔の奴隷のことだった気がする。
職業は男子高校生、大和高校に通っている。
一人称は私だが性別は、繰り返し言わせて貰うと男なのであしからず。
それでもって、副業はこのアパート宝連荘の管理人だ。
所有権や固定資産税の話は割愛する、面倒くさいし話しても意味が無い。
何故私が管理人をやっているかというと・・・なぜだろう。
「はぁ・・・・」
パジャマを着替えつつ、今日の日付を確認する。
今日は第三日曜、私が一月の中で最も疲れる日だ。
なぜかと言うと、ここの住民は一人たりとも家賃を自分から持ってこない。
そのため私が、一軒一軒まわって家賃を徴収しているのだ。
安いのに何故こうにも渋るのだろうか・・・はぁ・・・
いかんいかん、ため息ばかりでは幸せが逃げる。
「急がないと時間がないな」
放って置くと滞納するために逃げ出す奴がいるのだ!
朝食は少し腹が減っているが後回しだ。
脱いだパジャマを洗濯籠に放り投げ、かかとの部分に指を入れて靴を履く。
「開戦・・・か」
そこまで大げさでに言うものでもないが、ソレに近いことになるときもちょくちょくとある。
靴をトントン、ともう一度履きならしてからドアを開ける。
「ふむ、中々にすがすがしい晴天だな」
さて、行くとするか!
・・・・と思ったら財布とか色々忘れていた。
出鼻をへし折られた恥ずかしさに耐えつつ一旦部屋に戻った。
とりあえずプロローグなんで主人公の「家人」というものすごく変な名前だけわかれば読み飛ばしてもいいかもしれません。
勿論今更遅いですが。
はじめまして、仙人掌です。
消える前の「宝蓮荘」を見てくださった方は久しぶりです。
基本コメディなんで通学の合間やふとした時間に読んでいただければ幸い、言うまでも無く一括読みでも。
それでは宜しくお願いします。