夢の中の王子様
目を開けると真上に青空が広がっていた。
また、いつもの夢……。
わたしは、ゆっくりと体を起こす。
座っている柔らかな芝生はどこまでも続き、遠くには大きな真っ白いお城が見えた。
今日もこの世界は美しい色彩。あえて言うならパステルカラー。でもぼやけているわけではなく、くっきりとした淡い色合いの、それはそれは完璧な世界。
ここでのわたしは、ひらひらのドレスを着ているからものすごく歩きにくい。小さな歩幅で、一生懸命前に進む。
どうしても会いたいから。
水撒きをしている美しい魔法使い。
わたしの王子様に……。
彼が左から右に軽く手を振ると、雨は満遍なく草花の上に落ちた。
そこでいつも迷う。
どう声を掛けていいのか分からない。
だけど、本当はそんな必要ない。彼はとっくにわたしに気付いている。
振り向くと同時に、彼の美しい髪がふわりと揺れた。白から緑の淡いグラデーション。左側に複雑な装飾の髪飾りを付けている。
瞳の色は薄青。でも単色ではなく、左右ともに翠色が混じっていて、とても不思議な色合い。
なんて綺麗……。
その常識からかけ離れた瞳の美しさを、上手く表現するのは難しい。
光の当たり方で色が変わって見える宝石……っていうのが、近いような気がする。
それから着ている服も変わっていて、(はっきり言ってもう全部が全部変わっている)スタイリッシュなんだけど、部分的な重ね着が目立つ。
服の素材は、さらさらしているものもあれば、着物の帯みたいにしっかりとしていて文様が入っていたりするものもある。東洋、西洋、中華、全部混じったような斬新なデザインだなって思う。
彼の瞳の色が少しずつ濃くなり、彼はわたしを見つめ微笑んだ。
それだけでわたしは……。
わたしは、とても幸せな気持ちになる。