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君と太陽と雨と。

作者: 紅のたぬき

僕は君にいったよね。


いつだって君は太陽だと。


いつだって君は曇り空だと。


いつだって君は傘を差していると。


そんな君が僕は好きだ。


君は僕の事が好きかな?


わかるわけが無いよね。


君は僕じゃ無いし、僕だって君じゃ無い。


君は手が届きそうな距離に居るから、


尚更喉から手が出る程に君が欲しい。


僕は強欲だね。


あれも欲しい。これも欲しい。


君の全てが欲しい。


触れたら火傷しそう。


遠ければ遠い程に震えてしまう。


そんな君が太陽みたいだ。


僕は君の隣に立てるかな?


きっと僕じゃ駄目かな。


度胸も無いし。


君に話を振る事も出来ない。


いつだって君から話を切り出してくれたね。


窓際で話す君が好きだ。


窓から見える雨が好きだ。


ちっぽけな世界に居る僕は駄目だよね。


僕に構ってないで向こうに行かなくていいのかな?


君が傘を差しているのは知っているよ。


一度は閉じようとした事も知ってるよ。


僕は何も言えないけど、そんな雨が好きだな。


君と二人だから。


でも夜は嫌かな。


君に会えないし。


暗いし。


でも月は少しだけ好き。


毎日、毎晩君の様に照らしてくれるから。


でも君には勝てないかな。


暖かく無いもの。


いつだって君が居ないと凍えそうだよ。


君がくれる笑顔だけが僕の宝物。


僕だけに向けてくれるその笑顔。


その全てが好きだよ。


でもやっぱり僕じゃ駄目なんだよね。


君は人で。


僕は水槽の中だもんね。


叶うはずも無いもんね。


明日。


明後日。


僕は直ぐに死んでしまう。


いつになるかはわからない。


でもそれは君も同じかな?


明日。


明後日。


いつだって傘を差してる。


君は太陽だから。


いつまでも曇っていては駄目だよ。


雨空だったら帰らなくてもいいよ。


一緒に窓際から流れ落ちる水滴を見ようね。


僕は君じゃ無いし、君は僕じゃ無い。


君が僕で、僕が君なら。


その苦しみを分かってあげれたかな。


でもね。


僕にだって色々あるよ。


夜は一人だし。


日中だって君は居ないし。


他の人なんて見向きもしないし。


あぁ、このまま水槽の中で眠るのかな。


僕にも仲間なんていない。


家族なんて物もない。


僕の家族は石の家だけ。


君が僕ならなんて思うかな。


死にたい。


そう思うのかな。


僕が君ならいつだって君の側に居たい。


そう思うよ。


叶わないよね。


叶うはずもない。


でも僕は君に1番近いよ。


この距離がもどかしい。


君は僕から離れないでね。


突然居なくならないでね。


僕が居なくなった世界でも。


ちゃんとそこで待っていてね。


次の僕が来るから。


僕の事は忘れないでね。


君もこの世界から消えないでね。


僕は忘れないから。


これは僕が君に伝えられない、水槽の中から送る。


君と。


太陽と。


雨と。


ガラス越しに見たこの世界。親愛なる君へ。




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