表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史と謎  作者: 村背博秋
第4話 「下山事件にまつわる」
31/37

下山事件にまつわる 其ノ一

ここはあるデパートの家電コーナーである。

その一画、テレビコーナーのテレビがニュースを放送していた。

テレビの中のアナウンサーは神妙な面持ちで

今朝の出来事の原稿を読んでいた。


「本日、未明過ぎJR東都線沿線で男性と思われる

轢死れきし体が発見されました。調べによると、

昨夜0時半頃、運転士から人のようなものをはねたと通報があり

警察官が現場に急行し、遺体を発見しました。

遺体の損傷が激しく司法解剖される予定

とのことです。警察は身元の特定を急ぐと共に

事故と自殺の両面で調べる方針です」


そのニュースの映像を1人の男が見つめていた。



その約3時間前・・


ここは警視庁。

一人の男性刑事が朝、出勤した。

警視庁の中では慌ただしく刑事達が動き回っていた。


「何かあったんですか?」

男性刑事は別の男性刑事を捕まえて問いただした。


「浅部さん。おはようございます。

それがちょっと厄介な事件が起きまして・・」

捕まった刑事が応える。


「厄介?どんな?」


「電車事故なんですがね・・」


「電車事故?事件じゃなくて?」


「それがですね、

被害者はどうやらあの豊中重工の社長の可能性が高いんです」


「豊中重工?」


「ええ、昨日から社長の行方がわからなかったようですがね・・

下山事件の再現だって大騒ぎですよ」


「下山事件?」

その時、年配の制服を着た男が二人に気付き怒鳴りつけた。


「そこ!なにをやっている!?」


「あ、中山参事官。おはようございます」


「おはようございますじゃない!浅部!

特報係には関係ない!あっちへ行ってろ!」


「はい、はい」

浅部は、いつもの事、といった感じでその場を後にした。



その約24時間前・・


ここは豊中重工社長、園丘逸慈そのおかいつじの邸宅である。


「悪いね。国素裸くにすらくんこんな朝はやくに来てもらって」

スーツのそでえりを正しながら挨拶をする園丘。


「とんでもない。いつでも呼んでください」

時刻は午前8時。私は今、盗聴器の調査を行っていた。


豊中重工社長の園丘の依頼により挨拶もしたいため朝、

家を出る前に来てほしいとのことであった。

その為、早朝より出向いてきたのだ。


私のような名もない探偵風情にも挨拶をしたいとは、

さすが財閥の人は違うなと感じていた。


「これから私は仕事で出ないといけないが、

妻もいるしお手伝いの後藤もいる。

入り用があったら何でも言ってくれて構わないから」


「ありがとうございます。お気を付けて」


「ありがとう」

園丘は礼を言うと夫人やお手伝いと二言三言、

言葉を交わし運転手の西岡と共に自宅をでた。


私はというと、盗聴器の調査も1時間半ほどで終わり

夫人に問題なかったことを伝える。


安堵の表情を浮かべた夫人は私にお茶でもどうかと勧めてきた。

私は遠慮なくお茶を頂く事にした。


「国素裸さんは探偵さんでいらっしゃるんですよね?」


「ええ、いろいろな依頼があって結構あきないですよ。

それより、盗聴器を仕掛けられる心当たりがおありなんですか?」


「特別なにかってことはないんですが、

こういう家柄ですので主人がたまには調べてもらおうかって」


「そうなんですね」


その時、自宅の電話が鳴り出した。

電話にでるお手伝いの後藤。

なぜか心配しているような会話を交わしていた。


電話を切りこちらに歩いてくる後藤。

後藤に尋ねる園丘夫人。


「誰だったの?後藤さん」


「それが西岡さんだったのですが、旦那様は戻ってないか、と・・」


「どういうこと?」


「詳しくはわかりませんが、

先ほど大黒デパートに寄ったらしいのですが、

旦那様が戻ってこない、と・・」


事情は今ひとつ理解できないが、

西岡というのは先ほど園丘と自宅を出た運転手だろう。

そして会社に行く前にデパートに寄り、

園丘の行方が分からなくたなった、そんな所だろう。


「戻ってこないとはどういうこと!?一体なにがあったの?」


園丘夫人は焦ったように後藤に問いただす。

しかし後藤は分からないと首をふる。


「国素裸さん!どうしたらいいでしょう!?」

園丘夫人はわらにもすがるおもいで私に助けを求めた。


「園丘さん。とりあえず落ち着いてください。

まだ、何かあったと決まった訳じゃありませんから。

おそらく西岡さんが会社にも確認はとってるとは思いますが、

もう一度、園丘さんから確認してください。

それと後藤さん。西岡さんにもう一度デパートを探すように言ってください」


私の言葉に二人とも、わかりましたと返事をした後、

電話をかけはじめた。


それから1時間たっても園丘の行方はわからずのままだった。


「国素裸さん!?私はどうしたら?」

焦ったように問う園丘夫人。


「警察に届けたほうがよいではないでしょうか?」

困惑気味に尋ねる後藤。


「まだ、警察には言わない方がいいでしょう。

警察まで巻き込んでひょっこり現れたりしたら大変な迷惑ですから。

とはいえ、一報は入れておいた方がいいかもしれません。

ご主人ほどの方だ、政界や警察幹部にも知り合いはいるでしょう。

その中の最も信頼できる方に伝えておいてください」


結局その日、園丘が帰ってくることはなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ