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歴史と謎  作者: 村背博秋
第3話 「信長にまつわる〜後編〜」
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信長にまつわる 其ノ十五

ー岐阜県瑞浪市日吉町ー


日吉町は人口3000人弱で

岐阜県の東濃地方にある瑞浪市の北部に位置し、

瑞浪市全体の面積の約30%を占めるが、

そのほとんどが山に囲まれるのどかな町である。


そして目指す場所は、鶴ヶ城の裏手になる

日吉町の中の一つ、半原はんばらと呼ばれる集落だった。


まずは半原の中心あたりにある公民館に立ち寄ってみた。

公民館は無人で特に何かあるわけではなさそうだ。


すると野中が一枚のポスターを見つける。

「半原・・文楽ぶんらく・・?」


「操り人形のことだろう」


その時、私たちは不意に声をかけられた。


声をかけてきたのは地元の方で土屋と名乗った。

あまり人の居ない地区の為、

見かけない私たちを珍しく思ったとのことだ。


私は鶴ヶ城の裏手を守る武士たちの話を尋ねた。

すると土屋は

「ああ、七氏族ななしぞくのことですね」


「七氏族!?

国素裸くにすらさん!」


「ああ。密書の"日吉"と"七"の文字が繫がった!

ここに間違いない」


「その七氏族について詳しく教えてください」


「いいですよ。

七苗字ななみょうじ七井戸なないど七平ななだいら。そういう名称が今も半原には残っています。

鶴ヶ城の武士がこの地に住み始めた。

それが七つの一族達、七氏族なんです」


「つまり七つの苗字を持った一族が移り住み

それぞれ井戸などを作ったってことですよね」


「七氏族は、宮地 土屋 三浦 三輪 小栗 渡辺 村瀬

の七つの一族で、現在でも皆さんおられます」


「七氏族の子孫が居るんですね」


「ええ、七件ともあります。本家にいたっては

どこの家も300年以上続いている家柄ばかりですよ」


「なるほど、信長とゆかりがある武士達の子孫が今でも半原にいる。

そしてそれは光秀の祖である土岐氏一族の城、鶴ヶ城に関係していた」


密書の文字が次第に繋がり始める。

そこに関係するものが真実へと導くはずである。


「ところで半原文楽ってなんですか?」

野中が土屋に尋ねた。


「半原文楽というのは半原操り人形浄瑠璃にんぎょうじょうるりとも言って、

半原に昔から伝わる重要無形文化財に指定されているものです」


「重要無形文化財ですか」


「えぇ。毎年4月には日吉神社で人形を使ったお祭りもあります」


「日吉神社!?半原に日吉神社があるんですか?」


「ありますよ。ご案内しましょうか?」


「ぜひ、お願いします!」


ここ、半原に日吉神社はあった。

日吉町というからには町のどこかに日吉神社がある可能性は高いと思っていたが、

まさか鶴ヶ城の裏側のこの地にあるとは意外だった。


私たちは土屋に連れられ日吉神社へとやってきた。


少し高台になった場所にある日吉神社は、

樹齢何百年も経っていると思われる木々達に囲まれ

神秘の雰囲気をかもし出す所だった。


「この日吉神社は文禄四年に創建されたと伝えられています」


「文禄四年というと1593年頃か・・」


「本能寺の変の11年後ですよ。国素裸くにすらさん」


「信長が本能寺の変から10年ほど生きていたとすれば

時期的にはちょうど重なる」


その時、私はある事を思い出した。


「そうか、思い出した」


「どうしたんですか?国素裸くにすらさん」


「日吉神社というのは全国に約3800ほどある。

その総本宮は滋賀県にある日吉大社だ。

日吉大社は明智光秀が拠点としていた坂本城の側にある」


「ということは光秀と日吉大社は?」


「おそらく光秀は日吉大社には何度も行ってるはずだ。

むしろ日吉大社を特別に感じていたのかもしれない」


「だからこそ荒深小五郎として生きた山県市に日吉神社を建立した。

そして、ここにも日吉神社がある」


「明智光秀がここで完全に繋がった!」


少しずつ、絡み合った糸がほどけるように謎が明らかになっていく。

ひとつひとつの些細な事実が繋がっていくことに

少し私は興奮していた。


「土屋さん。半原文楽について詳しく教えてもらえませんか?」


「もちろん、いいですよ」


土屋は私たちを半原文楽の人形が保管されている

収蔵庫へと案内した。


収蔵庫には、いくつもの人形達と様々ものが保管されていた。


そこで土屋より半原文楽について、いろんな話しを聞き土屋とはそこで別れた。


私はこの半原操り人形浄瑠璃に今回の謎を解く鍵が

あるような気がしてならなかった。


織田信長の埋蔵金。

その秘密に私たちは間違いなく近づいていたのだ。

そして、それは誰も辿り着いた事のない歴史的真実である。



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