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歴史と謎  作者: 村背博秋
第1話 「赤ずきんちゃんにまつわる」
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赤ずきんちゃんにまつわる 其ノ二

「少し、とばすよ。つかまって」

そう言うと私はアクセルを踏み込んだ。


少し離された車を急いで追いかけるように、後ろの車もアクセルを踏み込む。

次の瞬間、私はハンドルを切り一方通行の道に突っ込んだ。

突然のことに後ろの車は追いつけない。


「振り切ったな・・大丈夫だった?」

野中とクリスに訪ねた。

二人共目を丸くして驚いている様子だった。


「ごめん、ごめん。でも、もう大丈夫だから」


そう言うと私は車を高速の入口に向かわせた。

ここからは高速で空港まで向かう。

逃げ場はないが、最短で着くルートであるため最も安全と考えたのだ。

             

少し長い道のりを少し早いスピードで空港までを急ぐ。

三人の表情はどこか少しこわばっていた。

その為か、三人は無言のまま時を過ごしていた。

その沈黙ちんもくを破ったのは野中だった。


「ちょっと、休憩していきませんか?クリスも疲れているようだし」


「そうですね、次のサービスエリアにでも止まりますか」

内心、私も少し休憩を取りたいと思っていたため、

間髪かんぱついれずに応えた。


サービスエリアに到着すると、一息入れたかった私は

コーヒーを飲むため売店へ向かうことにした。


「なにか飲むかい?」

私は二人に訪ねた。


「トイレに・・」


クリスがそう言うと野中は

「じゃあ、私もクリスと一緒にお手洗いに」


「わかった、じゃあ飲み物だけ買ってきて車で待ってるから」


三人は車を降り歩いていった。

それからどのくらい時間が経ったろう・・

私が車で二人を待っているが一向に帰ってこない。


「まさか!?」


車からとびおりトイレの方に向かおうとした時

向こうから走って来る女性を見た。

野中だ。


「クリスが!」


「どうしたんですか!?」


「クリスが居なくなったんです!」


「なんだって!?どういう事ですか?」


「私がトイレから先に出て外で待っていたのですが、戻ってこなかったんです!

 気になって中に見に行きましたがクリスが居なくなっていたんです!」


なんて事だ!大丈夫だと安心していたが、まさかここで連れ去られるとは思っていなかったのだ。

完全な油断と安心の中で、休んでいた私は焦りを隠せなかった。

とにかくトイレまで急がずにはいられなかった。すでにクリスは居ないと分かっている場所まで。

女性トイレに飛び込むと、驚いた様子の他の利用者を横目に空いている個室を一つ一つ勢いよく開けた。

だが、やはりクリスの姿はなかった。


「くそっ!どこへ消えたんだ!?」


「連れ去られたんでしょうか!?」


「おそらく・・」


とにかく落ち着こう。そう思い私は大きく一度息を吐く。


「野中さん。なにか心当たりがあったんじゃないんですか?」


「・・それは・・・」


「今は、迷ってる時じゃないはずです。教えてください」

少し、迷った感じで野中は口を開いた。


「わかりました。知ってることをお話します」

野中は話し始めた。


「私は、ある人物からクリスを遠ざけるために連れ出したんです」


「ある人物?」


「田所教授という大学教授です」


「大学教授?大学教授がなぜ?」


「田所教授は私の通う大学の教授で、私たち歴史研究会の顧問であり童話研究を専門にしてる方です」


歴史研究会や童話研究という単語も気になったが

野中が大学生ということは初耳だった。

野中は話を続けた。


「私は田所教授の指示でクリスをフランスまで迎えに行ったんです。それが約二年前のことです」


「教授の指示で迎えに行った?なんでまた?」


「詳しいことは分かりませんが、研究のためだったみたいです」


なぜ、教授が研究のためということでフランスのしかも

まだ、二十歳にも満たない少女をわざわざ日本に呼び寄せたのか

そのへんのことは気になったが、とにかく早くクリスを追うことにした。


「つまり田所教授が連れ去ったかもしれないということですね?

 じゃあ、とにかく教授の所に行こう!さらに詳しいことは

 車の中で聞く。さあ乗って」


そう言うと二人は車に乗り込み、野中の通う大学に車を走らせた。

その車内でさらに話を続けた。


「なぜ、教授はクリスを日本に連れてくるよう指示したんです?」


「先程も言いましたが詳しいことは分かりません・・ただ、教授はとても興奮していて嬉しそうでした」


「嬉しそう?クリス一人だけ日本に?」


「クリスに家族は居ません。幼い頃に両親はなくなったようです。

 ただ両親が残した財産でお手伝いを雇っていたみたいです」


「二十歳前で一人暮らし?有名な家系かな?」


「そんなことは言ってませんでしたが・・」


車は高速道路を降り、再び入口に向かった。

そして最初に乗った入口まで戻った。


「でも、なぜ教授がクリスを連れ去ったと?

 教授から遠ざけようと思ったんですか?」


「最近、教授は赤ずきんちゃんの童話を研究していました」


「そう言えばクリスは赤ずきんちゃんの本を持っていましたね」


「ええ、クリスが赤ずきんちゃんの話を知ったのは日本に来てからです」


「それにしては大事そうに持っていましたね」


「なぜか、すごく気に入っていました。フランスは赤ずきんちゃんの

 話が生まれた国と言われてまいす」


「だから、クリスを呼んだ?にしては・・わからないな」


赤ずきんとクリスが結びつかない・・ただフランス人というだけで?

分からないことがますます増えてきた気がする。


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