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悠久の一  作者: さむちゃん
第一章 翻弄される新任少尉
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3.5 TASのよびちしき

 本話は必要なければ読み飛ばしても問題ありません。

 物語で重要な役割をもつTASについての設定をある程度語ります。

 本編でのTASについてイメージが想像しづらい方々は是非一読して頂ければ少しは助けになるかと考えております。

 今後のネタバレを避けるため全ての事項は書ききれないのでその辺りはご容赦願います。

―――――――――――― 用語解説 ―――――――――――――――――


 ●TASの歴史について


 環太平洋東亜連合という地域集合政体によって宇宙開発が急速に促進され始めていた26世紀終盤、宇宙船は21世紀現代のそれとは一線を画した段階まで発達していた。

 特に無重力と重力空間の利用については著しい進歩を見せ、新発見の理論や製法が産み出されていった。

 急速な進歩は宇宙空間でのヒトの生存性向上にも大きな影響を与え、まずTASの前身となるPISS(個人適応型工業用スペーススーツ)が産み出された。

 それによって大気圏外での長時間の単独作業が可能となり、宇宙建設ラッシュと呼ばれる時代が始まった。新たな産業革命である。

 もちろん環太平洋東亜連合の他に地球圏内には集合政体が存在しているため、諸条約が取り決められそれによって無秩序な開発は回避できた。

 ユーラシア人民共和政体や、東西欧州連合体、中央アジア諸連合など先に行われた大戦で多大な損害を受けた国々もこぞって参加し始める。

 それからまもなく、国際宇宙開発の転換期と云える軌道プラットフォーム、いわゆる史上初の軌道エレベータが完成した。

 加えて学術的にも大きな転換が起こり、重力制御についての新たな理論が次々と発表され人類は新たなエネルギーを手にした。

 そしてそれに併せて人類全てのインテリジェンスとテクノロジーが太陽系外への道を模索し始めたのだ。 

 地球外への資源開発の促進および収集は急務となった。PISSはさらに個人用途から工業目的での大型のものまで多種多様な発展をみせた。 

 そんな中センセーショナルな発見が起きる、数世紀前に人類が送り出した宇宙探索機に似た人工物体が金星の厚い雲に覆われた大地から発見された。

 地球外生命体の存在が確認されたのだ。

 人工物体は解析され、新たな理論が産まれて技術はさらに飛躍的に進歩しようとしていた。

 そうした流れで地球外生命体への対応について様々な議論が交わされ最終的に武装中立という方針が定められ、外宇宙探索を急務とした国際協力の元開発されたのがTAS(Tactical-Armored-System)だった。

 PISSを発展させ超高効率なバッテリー搭載と最新鋭の素材で覆われた複合装甲、外宇宙勢力を対象とした抵抗を実現するための強力な武装を施された機体は

 まさにオーバーテクノロジーの集大成となる。

 TASの性能は既存兵器との比較ができない程の結果を示した。既に世代を重ねたPISSの武装化は民間レベルでも実現していたがそれらの改良では追従できない実践データが提示されるとPISSからの世代交代が急速に進むのは時間の問題になっていた。

 当然人類同士の抗争に用いることを施政者たちは恐れ、禁じた。

 そういった経緯で熱反応炉が主体であった動力機関は長らく進歩が止まっていたが環太平洋東亜連合は先駆けて重力機(グラヴィティリアクター)の実用化を発表する。

 宇宙船に搭載され旧来の推進機関が一気に廃れてしまうまでの成果を上げると次の段階として超小型化開発が進み、様々な挫折を乗り越えてようやく実験機が完成したのだ。

 アイン少尉が搭乗している実験(テスト)機 TAS-X-37Gはその第3段階に位置付けられ、重力機の性能向上および安定化、生存性の向上、そして長期間の無補給探索を目的とした機体だ。


 ●TASの仕様について


 TASを装備する航宙基幹軍は国際軌道プラットフォームに設営された地球圏政体それぞれが権利を持ち、それを守り、規則を守らせるために設立された内向きの軍組織である。

 環太平洋東亜連合が主導して設立された。

 人類が外宇宙探索を開始する計画の中では宇宙船団を護衛し未知の敵対勢力に対して抵抗する目的をもった航宙軍準備機関でもある。

 先に述べた経緯で開発された装備ゆえにその諸元は21世紀現代社会の常識からはかけ離れている。

 全高:搭乗者の個体体高プラス40cm

 全幅:搭乗者の個体体幅プラス15cm

 全長:搭乗者の個体体長プラス40cm

 装備重量:搭乗者の個体重量プラス85kg

 バッテリーセル:500V 充電容量 200億kWh×4 (※中国にある三峡ダムの1年間の発電量は800億kWhである)

 背部バックパック:最大出力75,000kW 圧縮酸素式ロケットモーター×1

          最大出力8,000kW 圧縮空気式エアブースター×各6

          収納式小型45mm12口径電磁砲(レールランチャ)×1

          生体機能保全システム×2

 股間部主機関:出力150万kW毎分 試作95式携行重力機×1 (慣性制御、直接重力作用制御等)

 主機関補助:太陽発電システム一式

       高効率気体圧送機及び液化循環主機×1

 固定兵装:腰部着脱式、MB-13またはMB-14携行汎用武装×1

      腕部、開放型電磁誘導射出機(リニアガン)および装填式打撃杭×1

 防御装備:耐光、耐衝撃、耐重力、耐加速、耐熱、耐圧、耐電磁波シールド

      スペースマテリアル超重金属製複合装甲モジュール 2.3平方m 20kg 関節部含

 搭乗者補助:最大出力60kWh 流体式パワーアクチュエイター主機×各8

       生体循環および還元補助システム×1

       小型浄化プラント

 探索装備:位置エネルギー感知センサー

      パッシヴフェイズドアレイレーダー×2

      温感探知(サーモグラフィ)3次元センサー

      音響探知式3次元レーダー

      重力位相探知センサー

      電磁波解析センサー

      流体偏差検出センサーほか

 代表的な諸元については以上。


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