魔人
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部屋の奥にあった俺の背よりデケェ扉。それを押し開ける。閂とかはかかっていなかった。廊下か。ここもさっきの部屋と同じように、石畳と石壁で出来ていた。明かりはない。奥には階段が見える。
さて、人様の家を勝手にうろつくのもどうかと思う。しかし現代日本の建築ほど、ここの耐震設計を信じることは俺にはできん。実際、崩れる音も聞こえたわけだしな。石で囲まれた部屋なんて怖すぎる。
シルクと共に真っ直ぐ廊下を進む。天井は結構高いので背を屈む必要はない。ただ時折砂ぼこりが落ちてくる。
さっきから何度か揺れるのだが、これは地震じゃないな。余震と言う感じじゃない。そうこれは……ビルにクレーン車で鉄球ぶつけた時のに似ている。解体のバイトで何度か体験した。
って、かなりヤバイんじゃないか?
「急ぐぞ。崩れるかもしれん。」
「うわわっ。」
俺はシルクを抱き抱える。片手は空けておきたいので左手で。うむ、手乗りシルク。
やっぱり軽いな。後でしっかりと食べさせなきゃいかん。
軽く廊下を走り、階段も段を飛ばしつつかけ上る。が、50段ほどで天井が鉄板らしきもので塞がれていた。
「これ魔力を感じるよ。ロックされてる。」
「鍵がかかってるのか。魔力ならお前さんでどうにかならないか?」
「出来ない事はないけど……ちょっと時間かかると思う。」
「揺れは続いているし、さっさと出たいところだな。」
蓋を触る。うーん、何か行けそうだ。そんな気がする。
「ぶち破るからちょっと離れてな。」
俺は階段を二段下がり、シルクを下ろす。
やることは掌底アッパーだ。それもカエル跳びでやる『ジャンピング掌底アッパー』。
「いっせーのー……せっ!」
ジャンプの勢いを手のひらに乗せ、力の限りぶちまけるっ。壊せなかったらかなり痛そうなので、できる限りの本気で。
って、なんだっ?
腕が、特に手のひらが赤く光っている。
「すごいよ、ソレイユ。教わってもないのに魔力使ってる。でも、そのままだと腕が爆発しちゃうよ。」
マジでか。もう勢いは止まらないのでそのままぶちかます。
紙程も抵抗はなかった。
鉄板は手の型を着けて吹き飛んでいた。
いっしょに椅子が吹き飛んでいた。なんか派手な装飾で、すごく豪華そうなやつ。
他にも爺さんも飛んでいた。赤い服を着た髭の爺さん。サンタクロース?
「……き、奇襲だっ、王が襲われたっ。あれは恐らく魔人!」
あれ?
次回『第二王女』