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大人女子のありふれた日常

作者: 櫻田 真知子

桜も咲き、春らしく花粉が飛び交う4月。裕子さんはいつもと同じ電車に乗って職場に向かう途中である。ただ、今日の駅構内はなんだか違った。


そう。フレッシャーズだらけ。


カチッとした黒スーツに黒の靴と鞄を身につけ、会社に出陣するぞ!といった雰囲気である。


「うちも今日からだっけ。新卒研修。」


そんなことを思い出しながら裕子は歩を進めて行く。黒スーツの若者に囲まれながら歩いていると、私服姿の裕子がかなり浮いて見える。改札を抜けて少し歩いたあたりでふと、視界に気になる物が入ってきた。


「……なんだ。あのフリフリな靴下は。」


裕子の少し前を歩く女性。服装は先程述べたフレッシャーズそのものだが、靴下にフリルが付いている。周りを見渡しても、まず靴下ではなくストッキングだ。


「あれ大丈夫かなぁ。いくら趣味とはいっても、入社して数日しか経ってないんだから無難にストッキングにしとけば良いのに。」


そんなことを考えつつも、気になるのでこの靴下女子を目で追いながらホームに並んでみた。暫くしてから電車が到着し乗り込み、裕子はすかさず靴下女子の座る席付近に近づいた。スーツでフリルの靴下。きっと天然な感じの若者に違いない。そんな思いで視線を靴下女子の顔にやる。


「………え。」


顔を見た瞬間目を見張った。

想像では、世間なんてよく分からない天然女子を思い描いていたのに、側にいるのはなんだ。45〜6歳のおば様ではないか。

裕子は後ろ姿の若さに騙されたという思うと同時に、自分の会社に異動してくる予定の教育担当でないことを祈りながら出勤するのだった。


「フリフリ靴下の教育担当はなぁ。流石にないよねぇ。」


だが、この靴下のおば様が裕子の会社にやってきた短期の派遣スタッフだと知るのは時間の問題だろう。






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― 新着の感想 ―
[一言] 痛フリルおばさんどうなる!?続き楽しみにしてます
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