第一話「英雄の誕生」その1
冥王カズムによる地上侵攻が始まり、既に五年。地上の八割を奪われ、同胞の八割を喪いながらも、人類は必死の抵抗を続けている。
静岡県富士市は日本防衛の最前線だ。白鳥甲斐はハンターの一人として、その最前線に立っていた。
「大分暖かくなってきたなぁ。助かるよ」
「ええ、本当に」
隣に立つ中年男の言葉に甲斐がしみじみと同意する。
「この冬は色々ときつかったですし」
「そりゃあねぇ」
男の声には溢れんばかりの同情が込められていた。その男が身に着けているのは自衛隊から払い下げられた軍用服で、その上からコートを羽織っている。季節は三月の終わりだが深夜ともなればまだまだ寒く、コートを脱げるのはもう少し先だった。
一方甲斐はジーパンとミリタリージャケットを着て、その上からまとっているのはモスグリーンのマントである。ギャバジン生地のテントか何かを裁断して羽織れる形にしただけの代物で、そんなものを着るのはまともな服を買う金のない避難民くらいのものだった。
甲斐はその身長が一七〇センチメートルに満たず、女の子のように可愛らしい顔立ちをしている。ただずっと仏頂面なのと、その言動により「可愛らしい」と感じる者はほとんどいない。多くの者が彼に抱く第一印象は「クソ生意気な男子小学生」というもので、実態もまたそれに限りなく近かった。
男の方は、名を田長という。四〇を過ぎた、くたびれた中年男だ。二人はやや広い道路に歩哨として立っている。道路の南側、甲斐から見て右側には放棄されて荒れた田んぼが広がり、北側(左側)に並ぶのは破壊された店舗や住宅。そのずっと奥には愛鷹山地が広がっているのだが深夜なのでその輪郭すら見ることができなかった。また愛鷹山に隠れて見えないが、そのさらに向こうには富士山がそびえ立っている。
周囲には二人だけでなく大勢のハンターがたむろしているが話しかけられるほど近い場所にいるわけではない。そもそもマントという「浮浪者スタイル」の甲斐とわざわざ関わりを持ってくれるのは人の良い田長くらいのもので、彼自身もそれは百も承知だ。さらにそもそも、甲斐には「暇潰しで知らない人に話しかける」という発想が根本から欠落していた。
周囲のハンターの多くは駄弁に興じたり、携帯端末をいじったりしてこの無為な時間を過ごしている(なお携帯端末は戦前のスマートフォンと比較すれば性能が低く、また非常に無骨で、トランシーバーと勘違いされそうな代物だった)。
退屈しのぎに空を仰げば、遼遠の天空に瞬く無数の星々。産業活動が壊滅し、また光源が激減したため夜空は星々で埋め尽くされていた。その星の海の中を、グリーンの光点が移動している。一つではなくいくつも、数えるのを諦めるくらいのそれが、行きつ戻りつ飛び交っている。
「今日は動きが慌ただしいみたいだけど……」
「ようやく来たのか?」
「でもこの一週間結局何もなしで終わっている――」
次の瞬間全ての光点がグリーンからレッドに切り替わり、同時にサイレン音が鳴り響いた。警告音を発するのは上空のドローンだけではない。ポケットの中の携帯端末、それとつながったイヤホンもまた騒ぎ立てている――すなわち「敵が来た」と。
『冥王軍が移動を開始! 県道二二号には骸骨兵五〇〇体とゾンビ兵五〇〇体! 接触まで一五分!』
「雑魚ばっかりか」
「何とかできるかな」
安堵半分失望半分の甲斐に対し、田長は安堵が十割だ。
「ボーナスを稼ぎたかったのに」
「生命あっての物種ってね。俺達みたいな底辺は『生命を大事に!』で安全地道に稼がないと」
田長がたしなめるように言い、甲斐は無言だった。ただその表情が何よりも雄弁に物語っている。「金が要るんだ」「俺なら稼げる」と。田長もそれ以上説教じみたことは何も言わなかった。
そして、何時間にも思えるような一五分を経て。今、甲斐と田長の前には千を超える敵軍団がうごめいている。その半数はゾンビ兵、動く屍体の雑兵だ。それらの屍体のほとんどは同時期に、五年前に死んだもののはずだが、その腐敗の進行具合は一様ではなかった。今腐敗の真っ最中で目が潰れそうな腐臭をまき散らし、腹からこぼれた腐った腸を地面に引きずっているもの。眼窩からこぼれた眼球が視神経でかろうじてつながり、ぶら下がり、歩くたびに揺れているもの。体内にガスを貯め込み、身体全体が膨らんでいるもの。皮膚が溶けて筋肉繊維がむき出しになっているもの。あるいは死蝋と化して生前の形をほぼそのまま残しているもの。その差異の原因は不明だが、いずれにしてもおぞましい姿であることには変わりなかった。もう半数は骸骨兵、動く骸骨の歩兵である。ゾンビ兵も骸骨兵も、鉄パイプや金属バットやバールなど、何らかの長物を手にしている。
一方甲斐の装備は三鈷剣、柄が三鈷杵の形をした密教の法具だ。不動明王の武具であり、その力を借り受けて魔を退ける。また田長が持つのは日本刀。工場製の量産品だが、刀剣の聖地とされる相槌神社の神職が一本一本お祓いし、神秘の力を授けたものだった。
田長は周囲を警戒しつつ、脱いだコートを瓦礫の陰に隠した。なお警戒相手は敵モンスターではなく同じハンターだった。防寒用コートを着たままでは十全に動けないから脱ぎ、その辺に置いていたら誰かに持ち去られていたのが三ヶ月前の甲斐である。このため彼はマントによってこの冬を乗り越えなければならなかったのだ。
甲斐が三鈷剣を強く握り締めて霊力を込め、その刀身に刻まれた梵字の真言が赤く光った。
「ノウマク・サンマンダ・バザラダン!」
不動明王の真言を唱えながら敵軍へと突撃、
「カン!」
裂帛の気合とともに剣を振り下ろし、敵ゾンビ兵を斬り捨てる。斬られた瞬間ゾンビ兵の身体から黒い瘴気が噴き出るがそれは着火した可燃ガスのように燃え上がり、すぐに浄化された。
甲斐は当たるを幸い剣を振り回し、ゾンビ兵を次々と屠っていく。マントが翻ってその裏地が見えているが、その全面を埋め尽くして書かれている梵字は不動明王の真言、火界咒だった。そのすぐ近くでは田長が祝詞を唱えながら戦っている。
「祓えたまえ清めたまえええっっー! ヒャッハー! 六根清浄おおっっ!」
……それは自棄になったかのような雄叫びで、厳かさも何もあったものではないのだが、ともかく。二人だけでなくその場のハンターが草を刈るようにゾンビ兵と骸骨兵を倒し、順調にその数を削っていった。だが、
『敵軍第二波! 続いて第三波! 第三波が根方街道を進行中、阻止に向かってください!』
「了解!」
戦いはまだまだ始まったばかりだ。甲斐と田長はオペレーターの指示に従い、北方向へと移動した。
県道二二号の旧道、根方街道は住宅街の真ん中を走る細い道である。住宅のほとんどは焼失するなどしているが瓦礫は積み上がったままで、また道も細く入り組んでいる。
「嫌になるね、こんなところでゾンビ兵と鬼ごっこなんて」
「大技で一気に焼き払えればいいのに」
「そんな上の人達がばりばり仕事をしたなら俺達はおまんまの食い上げだけどね!」
上空を旋回するドローンの誘導に従い二人はその瓦礫の山を走り回り、ゾンビ兵や骸骨兵を倒していく。それらの動きは普通の人間と比較しても緩慢で、慣れてしまえばそれは戦闘と言えるものではなくただの作業だった。甲斐のキルスコアは百を超えることだろう。息を切らして足を止めているのは走り回って疲れただけである。が、それを狙うように、
『ストリガが接近!』
「了解!」
オペレーターの警告に後ろを振り返ると、
「kikikiiii!」
女の顔をしたフクロウが真っ直ぐに甲斐へと向かってきている。それはスラブ圏に伝わるモンスター、ストリガだ。伝説ではその叫び声は人の正気を失わせ、ときに死に至らしめる。現実では状態異常の効果を持つその雄叫びに甲斐は顔をしかめながらも、
「ボーナスゲット!」
瓦礫を踏み台にして大きく跳躍、三鈷剣を叩きつけてその顔を真っ二つにした。
「くそくそ! 寄ってくんじゃねーよ!」
一方の田長はストリガに苦戦中だ。モンスターは挑発するように彼の一メートル頭上をホバリングし、田長は刀を振り回してそれを追い払おうとしている。甲斐が獲物に急接近し、
「田長さん!」
「ひっ!」
その合図で田長が頭をかばいながらその場にしゃがみ込み、ストリガがその後頭部を抉るべく急降下し、それを狙って甲斐が剣を薙ぎ払い、
「kikikiiii!」
横に両断されたストリガは断末魔の悲鳴を上げながら墜落し、二つになった身体が地面に叩きつけられた。
「……いや、助かったわ。本当ありがとね」
田長が地面に座り込みながら、心底の安堵とともにため息をつくように礼を言う。
「しかしやるねぇ。レベル三を二匹も一撃で」
「このくらい別に」
その賞賛に甲斐はちょっと当惑したような顔だった。
「甲斐ちゃんならもっと上に行っていいんじゃないの? 登録者だって、おっちゃんですら百人近くいるのに」
そう言いながら田長はVサインをドローンに突き出し、愛想を振りまいている。
「登録者が増えれば上の覚えもめでたくなるぜ? ほら、甲斐ちゃんも」
促されても甲斐はそっぽを向いたままで、田長は「しょうがないな」と顔で苦笑した。
この辺りの敵は掃討できたのか、オペレーターからの指示が途切れている。それを好機と休息を取りつつ上空を見上げると、
「? なんだ?」
ドローンの動きが変化している。一箇所に何機も集中し、それが動いている。南へと移動……自分達の方へと近づいている。あの下に敵が、それももしかしたら大物がいるのではないかと思われるのだが、
「何かが来ている?」
「どうして指示も誘導もないんだ?」
戸惑いも待つ時間もさして長くはなかった。二人の前に、何人かのハンターが転がり込むように現れ、それを追ってモンスターが出現する。瓦礫を崩しながら姿を見せたのは体長五メートルを超える蛇型のモンスターだ。
「レンオルム?!」
「なんでこんなところに!」
それはたてがみを有する、前足のある、巨大な蛇の姿をしたモンスター。スカンジナビア半島からヨーロッパ中に伝播した、死体を食い散らすとされた怪物だ。現実にはそのレベルは五にもなり、甲斐にとってもずっと格上で圧倒的に分の悪い相手だった。
甲斐は冷や汗のにじむ手で三鈷剣を強く握って構える。モンスターがその戦意を警戒したかのように足を止めた。田長が逃げてきたハンター達に何か言おうとし――「何があったんだ」と問おうとしたのか、「何をしているんだ」となじろうとしたのか、あるいは「一緒に戦え」と促そうとしたのかもしれないが、
「じゃあな! あとは任せた!」
彼等はそのまま脱兎のごとく走り去ってしまう。唖然とした田長と、敵を警戒して動けない甲斐がその場に取り残される形となった。
「マジかよ……?! 冗談じゃねーぞ!」
それは罵声と憤懣が混然となった悲鳴だった。
「どっちに逃げればいい! 味方はどこだ!」
『救援が向かっています、その場で足止めしてください』
「正気か!」
先ほどまでとは違う声のオペレーターがそう命令し、田長がマイクは壊れる勢いで叫んでしまった。
「俺達のレベルを判っているのか! 逃げていった奴等に責任を取らせろよ! 完全にトレインだろうが!」
逃げていったパーティには見覚えがある。チャンネル登録者数が五桁を超える、比較的人気と実力のあるハンターだったはずだ。その連中がモンスターを引き連れて逃げてきて、自分よりレベルの低い味方になすりつけ。トレインと呼ばれる行為の中でも最悪の部類だった。
田長の詰問にオペレーターは返事しないまま通信を切ってしまい、
「何考えてるんだくそったれが!」
田長が地団駄を踏みながら吠えるが、その憤りを一旦棚上げにした。
「構うもんか、逃げるぞ」
「今背中を向ける方が危険だ。それに逃げたらハンターを馘首になる」
「死ぬよりはいいだろうが!」
「倒せなくても時間を稼ぐくらいなら!」
田長が止める間もなく甲斐が吶喊、レンオルムもまた牙を剥いて突進してきた。
「ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン!」
両者が真正面から衝突し、激突し、甲斐が一〇メートル近く吹っ飛ばされて地面を転がった。その重量差は一〇倍にもなるのだから当然の結果であり、甲斐は全身の痛みに顔をしかめながらも必死に立ち上がろうとしている。だがレンオルムの方も無傷ではなかった。
「Gigigigigi!」
モンスターの左目には甲斐の三鈷剣が突き立てられており、それは怒りと屈辱に震えるように雄叫びを上げた。レンオルムが甲斐を追い、得物を失った甲斐は逃げ回ることしかできない。それも足止めを命じられている以上その場から離れることもできず、数十メートルの範囲をぐるぐると回るだけである。レンオルムの左側、死角に入るようにして逃げ続けたため多少の時間は稼げたが、ただそれだけだった。モンスターの体力は事実上無尽蔵とされているのだ。根競べで敵うはずもなく、苦し紛れで横っ飛びに逃げた甲斐を、レンオルムの長い尾がはね飛ばす。何メートルも吹っ飛ばされた甲斐の身体が瓦礫の山に突っ込み、地面に横たわった。
「ぐ……が……」
頭部から血が流れて視界を遮る。手首、肩、肋骨とあちこちが軋み、おそらく骨が折れている。呼吸が困難で、咳とともに血を吐き出した。それでも甲斐は立ち上がろうとし、その彼を一呑みにせんとレンオルムが迫ってくる。
「くそったれがああーーっっ!!」
そのとき、その進路へと割り込んだ田長が日本刀をレンオルムの右目へと突き出し、カウンターとなって深々と突き刺さった。
「Gigigigigi!」
「ひゃ、やった――」
会心の一撃を食らわせた田長は歓喜か油断か、それとも気力を使い果たしたのか棒立ちとなってしまい、レンオルムの反撃をまともに受けた。視界を奪われながらもレンオルムは攻撃された方向、田長へと突進。モンスターは頭部に田長を貼り付けるようにして猛スピードで進み、そのまま瓦礫の一角に突っ込んだ。瓦礫が崩れて土煙が上がっている。
「田長さん……」
ようやく立ち上がった甲斐だが、ただそれだけだった。もう身体はまともに動かず、武器もない。視界を奪われたままでもレンオルムは嗅覚か第六感で甲斐の位置を把握し、接近してくる。ギロチンを前にした死刑囚よりも絶望的な状況だが――甲斐は笑った。
(よかった、近付いてくる)
ろくに動けない状態で、自動車のような猛スピードで突っ込んでくる巨大なモンスターを前にし、それでも甲斐は笑っていた。
(剣を掴んで、あの勢いを利用して頭を切り裂いてやれば、さすがに殺せるだろ)
その作戦はレベル差を考えれば無謀という言葉をいくつ重ねても追いつかず、今の体力と怪我も勘案するなら現実逃避の妄想と言うべき代物だった。甲斐だってその程度のことは百も千も承知だ。それでも彼は万に一つの可能性に賭け、逃げることではなく戦うことを選んだのだ。
甲斐は大きく跳躍するべく身を屈め、残った全ての力を両脚へと込めた。レンオルムの巨大な顔が目の前まで迫り――その顔が二つに裂けた。
「な……」
あまりの眩しさに目をかばう甲斐。その目に写るのは一人の少女の背中と、彼女が展開する聖なる結界。想像を絶する結界の硬さと、自身の突進の威力が合わさってレンオルムは自分で自分を二枚におろした結果となっている。
「Gigigigigi……」
当然ながらひとたまりもなく、レンオルムは絶命した。モンスターは自滅する形で倒されたわけだが、それがあと少しばかり賢かったとしてもその結末はさして変わらなかっただろう。少女が放つ光が収まり視界が戻ってきて、ようやく甲斐は気が付いた。少女だけではなく何人ものハンターがその場にやってきていることに。
(『乙』部隊……いや、こいつ『甲』部隊の)
甲斐からすれば雲上人にも等しい、高レベルのハンター達。その全員が甲斐には目もくれずに周囲を警戒し続けている――甲斐の目の前にいるたった一人の少女を守るために。
宝石のように凛とした、美しい少女だった。高校生と見られる年頃で、平均的な身長と体格。髪は黒く艶やかな、ストレートのロング。白い小袖と緋袴の上に千早を羽織った、典型的な巫女装束。手には大麻と呼ばれる、先端に紙垂をまとったお祓い棒。それに、首から下げた黄金色の鏡が胸の上で輝いている。その鏡は全体としては真円だが鏡面は逆三角形となっていた。
振り返って甲斐の方を向いた少女はまずため息をつき、涼やかな声を呆れと非難で半々にし、
「そんなレベルでレンオルムと戦うなんて。死にたいの?」
「お前等がもっと早く来ていれば!」
甲斐の剣幕に少女が怯んだ。甲斐は少女を押しのけるようにして前へと歩いていく。全身の骨が悲鳴を上げ、筋肉が泣き言を言うが、渦巻く怒りがそれに蓋をした。口の中に溢れる血を喉の奥へと流し込む。
十数メートル歩き、ようやく甲斐は田長の下にたどり着いた。
「た、たおささん……」
その首は折れて二七〇度くらい回転し、何センチメートルか首が長くなり、両手足がへし折れて奇怪な方向へとねじ曲がり、折れた肋骨が皮膚を突き破って外に出ていて、大量の血が水たまりを作っている。「甲」部隊の最高術者が治癒呪術を使ったところでとっくに手遅れだ。彼がもう絶命しているのは一目瞭然だった。
そこで力尽きた甲斐がひざまずき、そのまま横倒しとなって地面に倒れ伏す。暗闇の底へと滑り落ちるようにして意識が途絶えていき、
「……! ……!」
最後に聞こえたのは巫女装束の少女の声のように思えたが、きっと気のせいだと――
冥王カズムによる地上侵攻が始まり、既に五年。地上の八割を奪われ、同胞の八割を喪いながらも、人類は必死の抵抗を続けている。
日本において対冥王の最前線に立っているのは、陸上自衛隊陸上総隊第二特殊作戦群。その通称を「勇者作戦群」。その最大の特徴は、自衛隊隷下の組織でありながらその主要戦力・最大戦力が民間協力者であることだ。
勇者作戦群の実働部隊は四つに分けられる。「甲」部隊は冥王と戦い、これを倒す勇者及びその候補を集めた、最終決戦部隊。「乙」部隊は「甲」候補、及び「甲」のサポートができるだけの実力者の部隊。「丙」部隊は自衛隊・警察出身者で編成された部隊。そして「丁」部隊は雑魚モンスターの相手を主な任務とした、雑兵の集団。「難民部隊」「肉壁部隊」を自称し、自嘲する、底辺の集団。
白鳥甲斐はこの「丁」部隊に所属する、底辺の雑兵の、何の変哲もないハンターの一人だった。