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エスパーワールド  作者: 碧鬼


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大晦日の邂逅

お久しぶりです。


この話からしばらくは、九重の家の話となる予定です。


大晦日、本心としては沙姫や智英と一緒に除夜の鐘をつきに行きたかったのだが、現実はそうもいかず…

財界の年越しパーティーに信彦と共に出席している慎一郎と楽羅。


楽羅は以前のように周囲の同年代の娘達を警戒しまくるという事もなく、声を掛けて来る者達に対して卒無く対応している。

もっとも、慎一郎を一切離さないのは前と変わらないのだが…


「智英と沙姫は今頃鐘つきしてるんだろうな…寺に出店とか出てるのか?」


「多分出てると思うわ、あそこのお寺は私も藤原と一緒に行った事あるけど、おしることかお蕎麦屋さんとかが敷地内に出てたもの」


「いいねぇ…俺もおしること蕎麦が食いたいな」


「年越しのパーティーだし、その2つぐらいはメニューにあってもよさそうよね。

こういう会場っていつも同じような物しか置いてないし、あんまりお腹いっぱいにできるような食べ物って無いもの。

まあ、そもそも食べる為の場所じゃなくて顔を作る為のパーティーだから、ガッツリ食べる人は居ないけどね」


「今日会った人達の中で覚えておいた方がいい人、あるいは注意する人は居るか?」


「ん〜…さっきの落ち着いたダークブラウンのドレスの女性、日制建設の実権を持ってる向さん…ぐらいは覚えていて損はないと思うけど、他に目立つ人は…」


そこまで言って、楽羅の表情が固まり真顔になった。

慎一郎もすぐに楽羅の視線の先を見て、真顔になる。


黒に近いダークレッドのスーツ、黒のYシャツに紅いネクタイ。

歳は24〜25といったところか、黒髪をオールバックにし、身長は慎一郎よりも高いが180cmにはとどかないだろう、そしてその身体は相当に鍛えられているのは一目で分かる。

精悍な顔だが、その目は常人には有り得ない溢れるような自信に満ち、表情は周りを睥睨しているとしか思えない。


(何だあいつ…

初めて楽羅と会った時の印象よりも強い…

いや、それよりも覇気というか、圧力のようなものがあるな…)


慎一郎が考えている横から、楽羅の言葉が漏れる。


「【須王】…統吾…」


その声に慎一郎が反応する前に、男は2人の前に立つ。

そして、その威圧するような声で楽羅に言う、


「【天切】楽羅、久しいな…

ここ数ヶ月の事はおおよそ耳にしている。

どうやら、俺はお前を見誤っていたようだ」


「お久しぶりです、須王統吾殿。

こうしてお会いするのは3年ぶりになるでしょうか…

御健勝のようで何よりで御座います」


はたから見れば、他の人達を対応している時と変わらないように見えるが…

微笑を浮かべながら答える楽羅だが、その身体が僅かに強張るのを慎一郎は気付いた。


「今宵はお前にとっての転機となるだろう。

余人には聞こえぬ所で話がしたい…個室に移動するぞ」


須王統吾の言葉は、高圧的で反論を許さない…というよりも相手の意見を許さず、全て決定事項として言っている。

それに対し、常人であれば反論などできずに従ってしまうだろう。

その声には自然と従ってしまうような、魔法のような響きも同時に宿っているのだから…

だが、楽羅は言葉を返す。


「お待ち下さい、須王殿。

私は個室への同行を了承しておりません。

何より…」


そう言いながら、慎一郎から半歩身を引き、


「ここに居る【逆神】慎一郎殿を無下にするような言動…その無礼をまず謝罪して下さい」


確かにその場に居る慎一郎を完全に無視したその言動は、慎一郎への礼儀を全く考慮していない。

その楽羅の言葉で、須王統吾は初めて慎一郎に気付いたというふうな動きでその顔を向け、


「ん?この男が逆神の嫡男か?

ならば九重のよしみで俺の前に立つ事を許す…だが楽羅からは離れていろ、俺はお前などに用は無い」


そのもの言いに慎一郎はちょっと呆れ、楽羅は内心で完全にキレた。


「あんたが須王の当主なのか?

俺は礼儀を弁えた相手には敬語で相手するんたが、あんたは俺をいきなりお前って呼んだ…

だから敬語を使わなくても文句言うなよ?

まあ、楽羅とは前からの知り合いみたいだし…楽羅があんたの言葉に同意するなら、俺はしばらく席を外してもかまわないが」


そう言う慎一郎に対し、僅かに眉をよせた須王統吾は、


「俺はお前の発言を許した覚えはないぞ。

黙って消えろ」


「あのさ、喧嘩売ってんのか?

九重の約定を知らないとは言わねえよな?

喧嘩売るなら買うが、そう簡単に喧嘩を売ると須王の家自体が安く見られるぞ。

軽んじられるような言い方は駄目だろ…

なんか理由が有るなら聞くけど?」


「黙れと言ったはずだが、耳が無いのか?」


須王統吾から放たれる圧力が跳ね上がる。

常人であれば無意識に逃げ出すほどの、目に見えない重圧…

だが慎一郎は眉一つ動かさずに、自然体のまま。


「あんたが用があるのは楽羅だろ?」


その慎一郎の言葉を受けて、楽羅が言う。


「須王殿、慎一郎殿と共に場所を移しましょう。

他の方達のご迷惑となります。

ここは結婚式の披露宴会場にも用いられますので、上には式が挙げられるようにチャペルもございます。

どうぞそちらへ…」


「…よかろう」


3人はパーティー会場を後にして、屋上にあるチャペルへと移動した。





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