表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エスパーワールド  作者: 碧鬼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/105

強くなる、誰よりも

何も知らない慎一郎は、


「取り敢えず俺、家に帰るわ。親も心配してるかもしれんし」


そう言ってベッドから降りるが、そこで楽羅に手を引かれた。


「丸一日以上も寝てたんだよ?すぐに動いちゃダメ、それにお腹すいてるでしょ?一緒にご飯食べようよ」


そう言われて、慎一郎は自分がかなりの空腹だと気付いて、


「まあ、そう言うなら有り難く」


食事の用意ができるまでの間、慎一郎と楽羅はお互いの事を話す事にした。

ファミレスで待ち合わせをしたのに、いきなり狙撃されて連れ去られたのだから、ゆっくり話す時間が無かった。

ようやく今、お互いゆっくりと話ができる。


楽羅はまず、慎一郎の能力について知りたがった。


「慎の能力が頑丈な体だっていうのは、何となく分かってるけど、どうしてアンチコーティングの効力が有効な場所で、能力を使えるの?」


その楽羅の疑問に、慎一郎は一から説明を始めた。


慎一郎の能力は、確かに楽羅の言う通り常識ではあり得ないほどの頑強な体。

この能力になった原因は、楽羅をオオカミから護った時の怪我。

あの時、慎一郎が負った傷は文字通り命の危機だった。出血による心肺停止にまで至っていた。

何とか蘇生したものの、今後日常生活が可能となるのか、それ以前にこのまま意識が戻らないのではないか…そういう状態だった。

それをどうにかする為、将文は1つの決断をする。

慎一郎の中にあった本来能力に使われるべき潜在能力を、体の治癒力に変え、その力で慎一郎の体を少しでも治そうというものだ。

普通ならばそんな事は不可能。

だが、将文の能力がそれを可能にした。

他者の能力を操る。その本人が強く拒絶しない限り、能力の2〜3割の力を自在に引き出し使用する。

それが将文の能力。

そして自身の子供である慎一郎に対してならば、3割ではなくもっと大きな力を引き出せるのでは…と考え、その可能性に掛けた。

そしてそれは成功し、絶大な効力となった。

たった数時間で意識を取り戻し、朝には楽羅と話ができるまでに傷を回復させた。

ただし、その代償はあった。

慎一郎の中にあった能力としての潜在能力が、全て体の内側でしか作用しなくなり、その結果として一切の能力を体外で発現できなくなった。

もっともそのせいで、アンチコーティングの効力も慎一郎には意味を成さなくなった。


「俺は楽羅に会う前から、家の道場で親父にしごかれてた。最初は痛いのが嫌で、全く乗り気じゃなかったけど、爺ちゃんの死をきっかけに本気になったんだ。

だからオオカミにも負けなかった…

ただ、能力を発現させる事ができない、ってのを知った時には流石に堪えた。

これからも友達ができないのか、てな…

その俺を支えたのも爺ちゃんの言葉だった。

【慎一郎、お前は儂にとって、大切な人の名を継いどる…強くなれ。

大切な者を守る為に強くなれ…

己にとって決して曲げる事のできない信念の為に強くなれ…誰よりも…】

だから俺は必死になって考えた。

体の中でしか能力を使えないなら、どうすれば強くなれるのか。

その答えが、体を能力で徹底的に強化し、刀のような鋼に鍛え上げ…その体に力と技を叩き込む。ってのだった…そうやって修練を重ねて今に至るわけだ」


「そっか…お祖父様が…ねぇ慎、私にとっては慎だったんだよ」


「俺?」


「うん、私が強くなろうとして…能力を少しでも上手く、より強く扱えるようにがむしゃらに訓練して、練習したのは…あの時の慎を見て、私もこうなりたいって思ったから…あの時私を守ってくれた慎に、憧れたから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ