戦闘中止
ピーッピーッピーッピーッ
軍港の司令室で、アメリカ本国からの非常回線による呼び出しを告げるアラートが鳴った。
クルーガーは、即座にそれを取るべきであったが、僅かにためらう。
(まさか、もうE3を使った事がバレたのか?くそ、いくら何でも早すぎる)
顔が強張っていくのを抑えられずに、回線を開く。
「在日米国海軍第2軍港司令官クルーガー大佐であります」
「大佐、私は国防総省補佐官マッケン中将だ。いいか、よく聞きたまえ、現在君達が行っている戦闘行為をただちに中止するのだ」
クルーガーは耳を疑いたくなった、
「お言葉ですが閣下、現在我々が目標としている少女は、先日国防総省から海軍総長殿を通じて、米国に引き入れる事ができなければ、どんな手段を持ってしても殺害するように。との命令書が出ておりますが」
「何だと?そんな馬鹿な事を国防総省がする訳が無い!…いや、待て…その命令書をそちらの基地に持ってきた者に大佐は会ったのか?」
「肯定です。その男はレイスと名乗り、国防総省の名を告げて命令書の入った封筒を私に渡しました。
その書類は正式な物であり、海軍総長のサインも入っていた為、疑いはしませんでした。
ただ、目標の少女の身柄を拘束して、その後交渉を行ったのはレイスと名乗った男と、その男が連れてきた5人で行われました。
我が基地は交渉に失敗したとの連絡を受けた為、目標との戦闘行為に及びました」
「分かった…ならばそのレイスと名乗った男は、まだそちらに居るのだな?」
「はい、肯定です」
「よろしい、ただちにその男を拘束しておけ。他の5人もだ。それとくり返すが、今すぐに戦闘行為を中止しろ、いいな!」
「了解致しました!」
回線を閉じたクルーガーは、すぐさま非常用マイクを使い、基地内に戦闘行為の中止を伝える。
「たった今、本国の国防総省から戦闘中止の命令があった!ただちに戦闘中止!繰り返す、ただちに戦闘を中止せよ!」
そして今度は通信兵に、レイスと他の5人の拘束を船に連絡するように命令する。




