厄災…1
お疲れ様です。
かなり投稿の間隔があいてしまい、申し訳ありません。
それと、勝手ながら暫くエスパーワールドの投稿を止めて、カムロ【神盧】を投稿します。
カムロが一段落したら、またエスパーワールドを続けますので、宜しくお願い致します!
厄災が始まる……
葛籠紫雨が中国の暗部から借りた術具を使い、怨霊を死体に受肉させる。
その数、1万4千以上。
本来の術具【死霊憑依扇】の性能では、これほどの数を同時に受肉させる事はできない。
紫雨が自身の術を使い、その性能を何倍にも増幅させて実現させた。
そもそも、これだけの数の死体をどうやって集めたのか…
日本では、孤独死が問題となっている。
その数は、年間2万〜3万人にもなる。
半年以上掛けて、その孤独死した遺体を少しずつ集めていた。
腐敗はそれほど進んではいない。
葛籠の配下と暗部の中で、氷の能力を扱える者達が死体を氷結させていたからだ。
怨霊が受肉した死体は、操らずとも淵之宮に向かい始めた。
怨霊は深淵を求める。
深淵に触れる淵之宮に怨霊は群がるのだ。
暗部からも、孟徳、妙才、元譲を筆頭に、50人の精鋭部隊を構成し、怨霊の受肉体と共に淵之宮を襲撃するべく行動を始める。
……………………………………………………
淵之宮の屋敷では、遥を中心にそれぞれの役割を決めて行動を始めようとしていた。
この場に居るのは、
逆神将文、逆神華澄、望月呉羽、軌創智英、天切楽羅、淵之宮依鈴。
まず、遥が厄災の大まかな概要を言う。
「此度の役目を決めるのは、この淵之宮遥が行います。
無論、意見が有ればその都度仰って下さい。
まず、受肉した怨霊体の数は、万を超えます」
その数を聞いても、その場に居る誰一人驚く者はない。
一呼吸置いてから、遥は続ける。
「更に、怨霊体以外にも数十人の手練れが向かっているようです。
その全てを、ここに集う我らだけで退けます。
九重の問題である以上、九重の人間以外の者を巻き込む訳にはいきません。
無関係の被害を出さない為と、打ち漏らしを防ぐ為に、望月と不城の人数を借り受けます。
ただ…唯一の例外として浮峰沙姫殿に助力願いました」
葛籠燈火の捜索の為に、浮峰沙姫、須王灯吾、そして慎一郎が向かっている。
「蒼真隆景殿と天切信彦殿、不城殿は、別の役目の為に怨霊体との戦には参じませぬ」
そこまで遥が言ったところで、智英が手を挙げる。
「この戦に限り、先日から最新の機材を淵之宮の結界内に持ち込む事を許して頂き、ありがとうございます」
「構いません。
それぞれの連携と即座の対応の為には、必要でしょう。
私も常に正確に戦況を【観れる】訳ではありませんので」
「それでは、この通信端末をそれぞれにお配りします」
そう言いながら、智英は時計型の通信端末を配る。
既に同じ物を望月と不城の人数に配布してある。
それと同時に、
「この山の周囲1500mにセンサーを配置してあります。
相当な数を撒いてありますから、敵に気付かれたところで問題は無いでしょう」
センサーは、索敵に使用する。
望月と不城の人数に依頼し、丸一日掛けて3万個以上撒いてあった。
無論、戦が終われば簡単に回収できるように作ってある。
「俺が持つ親機に、センサーに掛かった敵が全て標示されるようになっています。
その情報をそれぞれの端末に伝えます。
これで、無駄な動きを極力無くせます」
智英の説明に、皆が頷いてから遥が続ける。
「呉羽殿、楽羅、依鈴、打って出て下さい。
将文殿は広範囲の迎撃には向いておりませんので、屋敷の守りを願います」
「分かった」
将文が返事をしてから、華澄が声を上げる。
「私は?ここに呼んだ以上、留守番は断るわよ?」
華澄の抗議に、遥は微笑と共に答える。
「無論です…華澄は思いのままに、存分にその力を奮って下さい」
そう言いながら、遥は手を目線まで上げて親指を立てた。
遥が親指を立てるなど、依鈴ですら見た事が無い。
そういう軽いノリをする動作をしないものだと、皆は思っていた。
皆が驚く中で、華澄だけは満面の笑みで親指を立てた。
これは、遥と華澄の2人しか知らない親友同士の合図。




