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エスパーワールド  作者: 碧鬼


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103/105

厄災…1

お疲れ様です。

かなり投稿の間隔があいてしまい、申し訳ありません。

それと、勝手ながら暫くエスパーワールドの投稿を止めて、カムロ【神盧】を投稿します。

カムロが一段落したら、またエスパーワールドを続けますので、宜しくお願い致します!

厄災が始まる……


葛籠紫雨が中国の暗部から借りた術具を使い、怨霊を死体に受肉させる。

その数、1万4千以上。

本来の術具【死霊憑依扇】の性能では、これほどの数を同時に受肉させる事はできない。

紫雨が自身の術を使い、その性能を何倍にも増幅させて実現させた。

そもそも、これだけの数の死体をどうやって集めたのか…

日本では、孤独死が問題となっている。

その数は、年間2万〜3万人にもなる。

半年以上掛けて、その孤独死した遺体を少しずつ集めていた。

腐敗はそれほど進んではいない。

葛籠の配下と暗部の中で、氷の能力を扱える者達が死体を氷結させていたからだ。


怨霊が受肉した死体は、操らずとも淵之宮に向かい始めた。

怨霊は深淵を求める。

深淵に触れる淵之宮に怨霊は群がるのだ。


暗部からも、孟徳、妙才、元譲を筆頭に、50人の精鋭部隊を構成し、怨霊の受肉体と共に淵之宮を襲撃するべく行動を始める。


……………………………………………………


淵之宮の屋敷では、遥を中心にそれぞれの役割を決めて行動を始めようとしていた。

この場に居るのは、

逆神将文、逆神華澄、望月呉羽、軌創智英、天切楽羅、淵之宮依鈴。

まず、遥が厄災の大まかな概要を言う。


「此度の役目を決めるのは、この淵之宮遥が行います。

無論、意見が有ればその都度仰って下さい。

まず、受肉した怨霊体の数は、万を超えます」


その数を聞いても、その場に居る誰一人驚く者はない。

一呼吸置いてから、遥は続ける。


「更に、怨霊体以外にも数十人の手練れが向かっているようです。

その全てを、ここに集う我らだけで退けます。

九重の問題である以上、九重の人間以外の者を巻き込む訳にはいきません。

無関係の被害を出さない為と、打ち漏らしを防ぐ為に、望月と不城の人数を借り受けます。

ただ…唯一の例外として浮峰沙姫殿に助力願いました」


葛籠燈火の捜索の為に、浮峰沙姫、須王灯吾、そして慎一郎が向かっている。


「蒼真隆景殿と天切信彦殿、不城殿は、別の役目の為に怨霊体との戦には参じませぬ」


そこまで遥が言ったところで、智英が手を挙げる。


「この戦に限り、先日から最新の機材を淵之宮の結界内に持ち込む事を許して頂き、ありがとうございます」


「構いません。

それぞれの連携と即座の対応の為には、必要でしょう。

私も常に正確に戦況を【観れる】訳ではありませんので」


「それでは、この通信端末をそれぞれにお配りします」


そう言いながら、智英は時計型の通信端末を配る。

既に同じ物を望月と不城の人数に配布してある。

それと同時に、


「この山の周囲1500mにセンサーを配置してあります。

相当な数を撒いてありますから、敵に気付かれたところで問題は無いでしょう」


センサーは、索敵に使用する。

望月と不城の人数に依頼し、丸一日掛けて3万個以上撒いてあった。

無論、戦が終われば簡単に回収できるように作ってある。


「俺が持つ親機に、センサーに掛かった敵が全て標示されるようになっています。

その情報をそれぞれの端末に伝えます。

これで、無駄な動きを極力無くせます」


智英の説明に、皆が頷いてから遥が続ける。


「呉羽殿、楽羅、依鈴、打って出て下さい。

将文殿は広範囲の迎撃には向いておりませんので、屋敷の守りを願います」


「分かった」


将文が返事をしてから、華澄が声を上げる。


「私は?ここに呼んだ以上、留守番は断るわよ?」


華澄の抗議に、遥は微笑と共に答える。


「無論です…華澄は思いのままに、存分にその力を奮って下さい」


そう言いながら、遥は手を目線まで上げて親指を立てた。

遥が親指を立てるなど、依鈴ですら見た事が無い。

そういう軽いノリをする動作をしないものだと、皆は思っていた。

皆が驚く中で、華澄だけは満面の笑みで親指を立てた。

これは、遥と華澄の2人しか知らない親友同士の合図。



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