表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

第5章でごわんど

 そのうちに、クラスメートん女子児童ん間に良作を「小便小僧しょうべんこぞう」ちゅうあだ名で呼ぶ子が現れた。


 そして、そんインパクトんあっ「あだ名」は、クラス内で定着してしもた。 


 きっと、最近、授業中でん用足ようたしん回数が増えたためじゃろ。


 もちろん面と向かって彼をそう呼ぶ者はおらんやったが、やがてあっ下級生を通じっせぇ、良作ん知っところとなった。


 ・・・高田どん、小便小僧って呼ばれちょっよ、と。


 彼にそう教えてくれたんな、一学年下ん「大山茂晴おおやましげはっ」ちゅう少年やった。


 大山は、良作がテレが近か体質じゃちゅうこっを、自分の担任から聞かされて知っちょった。


 実は、大山少年も、小便で悩んじょった経緯があった。


 彼は、幼か頃より「おもらし」をすっ体質であった。


 良作んごつ回数が異常に多かちゅうこっはなかったが、膀胱括約筋ぼうこうかつやっきんちゅう筋肉が生まれつきよわかため、尿意があってんテレに行っ前に間に合わんで「おもらし」してしまうちゅう悩みがあったど。


 そして、良作が教室んいっばんうせーんかどかどん席に特別席を設けられたんと全く同じで、大山も自分の教室ん同じ位置に特別席を頂いちょったんや。


 大山ん担任は、上級生にも君んごつおしっこで悩んじょる先輩がひとりいっじゃっで、そげん気にせんでんよかどぞ、と日頃から励ましてくれちょったちゅう。


 良作は、貴重な情報を自分に与えてくれたこん「同志」に、素直に礼をゆた。


 大山も良作同様、クラスでは孤独な存在で、友人がただんひとりもおらんちゅう共通項きょうつうこうがあったが・・・こいがきっかけでここから二人の関係が深まっちゅうこっにはならんやった。


 大山少年は、休み時間の多くを、校庭んすんくじらでひとりぼっちでひなたぼっこをして孤独にすごしちょった。


 まるで老人のごつ・・・。


 そのうちに、彼も良作んいっ図書室に通うごつなっ。


 お互いに目が合うと、両者が軽う会釈えしゃくをすっ・・・そげん関係やった。


 つっの席どこいか同じテーブルに座っこともなっ、遠く離れた席でかつがつが読書にふけり、自分の世界に没頭ぼっとうした。


 お互いにそん存在を認め、敬意を抱きつつも、相手ん「世界」にはあえて踏み込まんよう配慮しちょったんや。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ