表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

第4章でごわんど

 彼は、そろばん塾がかんであった。


 もともと自分からすすんで入塾したわけじゃなかし、土日に塾がやっちょったため、貴重な休みん日ん半分近はんぶんちこうが、つぶされてしまうでじゃ。


 じゃっどん、塾外ん環境はわっぜ気に入っちょった。


 塾ん周りはちょっとした空き地んごつなっちょって子どんたちん遊びん場になっちょったし、近くには何軒もん駄菓子屋があり、良作もそこでよう菓子をうてたもったもんじゃ。


 月に千円ん小遣いやった彼が、そげん毎週菓子をたもっことはできらんやったが、駄菓子屋に寄ってさまざまなお菓子や陳列ちんれつしてあっ水鉄砲などんおもちゃ類を眺めちょっだけでん、十分心ん栄養になったもんやった。


 塾ん裏手は、地域ん公民館になっちょり、そけ設置された長かベンチには、そろばんの「ノルマ」を終えた子らが座って菓子をほおばりながら、ゆうべ観たTV番組や自分の好っなアイドル歌手ん話をすっんや。


 家ではNHKん教育番組しかせてもれんやった良作は、ここでアイドルやヒット曲、はやりんグッズやサブカルチャーに関すっ貴重な情報を得ちょった。


 もちろん、上級生・下級生も含めて友人のひとりも持たんやった彼が、会話に参加しとうてもでくっもんじゃらせんじゃったで、話をすっグループんそばをうろうろしながら、それとなっ聞き耳を立つっちゅうステルで情報収集を楽しんじょったんや。


 良作は、駄菓子屋んいくつかんなす向いにあっ小さなゲームセンターにも、おそっおそっ入ってみた。 


 そん当時、ゲームセンターに出入りすっ者は、いわゆっ「不良」てみなされ、学校でん児童ん出入りを固う禁じちょった。


 実際、素行そこうん良うなか中高生やあやしげな大人たちんたまり場となっちょって、中はタバコん煙でモクモクしちょったし、そのうえ壁んいっぺこっぺには半裸んおごじょんヌード写真が何枚も貼ってあった。


 ・・・教育上、よかはずがなか。


 好奇心から入ってみた良作やったが、一度入っただけでたくさんであった。


 そん場におった「人種」にも嫌悪感けんおかんをおべ、狭か店内ん異様な空気感と息苦しさにいたたまれんごつなったど。


 ここは学校側んゆごつ、自分がおっべき場所じゃなかな、と体で理解できたんや。


 彼がこけ入っことは、二度となかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ