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目に映った桜に緑が目立ち始めた。白に近いようなその淡いピンク色と緑。これを美しいという人はいるのだろうが、到底自分には理解ができない。綺麗なものは綺麗なまま一色でいて欲しいと、律は思った。

金曜は部活動が行われる日であるので、行く必要があるわけで。

憂鬱という感情に近いものを胸の内に抱えつつ、律は部室に向かうことにした。


雲六割。中学生で習った理科的に言えばこれは晴れとなる。天気の記号は丸だったような。雨が黒で塗りつぶした丸だったことは覚えているような気がする。

廊下から漏れ出る光は、入学式に律を照らしたそれとは確実になにか違っていたのだが、肝心なその違いがわからない。ただの光の量なのか。

考えても意味はないように思えた。


「失礼しまーす」


がららと扉を横に流す。どうやら誰もいないらしく、律の言葉は独り言のように空気と混じって消えた。


窓から見える桜は今朝見た桜よりも幾分か一色だった。

木目が印刷されている(と思われるが別にどうでもいい)横に長いテーブルに光が反射して色が目に届いた。どこか暖かいその色が律を安心させた。


蓮が座っていた椅子に腰掛けた。目の力を極限まで抜いて。


「暇だ…」


また混ざって消える。




「暇なの?」



頭上から降ってきた突然の疑問符に驚きを隠せなかった。


「びっ!…くりし…ました」


「作戦は大成功のようだね」


お察しの通り奏斗、いや部長だった。


「来るのが早いね君は」


「そうですかね、このくらいが普通だと思ってました」


「まあそうか」


沈黙。


彼の目がこちらを捕らえた。律はあまり良い気分ではなかった。その目は獲物を探し出して殺そうとしてくる狩人のようなものだったからだ。

「狩る」という行為への申し訳なさ、しかし湧き出てくる高揚感、優越感、幾分かの快楽。

少し混ざった同情の色が、より一層律の気分を害した。


「早くドラム弾いて見せてよ」


ほら見ろ。だから年上は嫌いなんだ。

短かったですかね

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