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どこか恐ろしさを感じる音だった。

ちりん。

喫茶店の扉に無邪気に吊るされている黄金色のベル。

大人っぽく見える内装は、目を

凝らしてみればオーナーの子供心をちらほらと感じられる。レトロ風で嫌いではない。

「ああ、浅木クンではないか」

そうやって声をかけてきたのは、ここで2年ほど働いているという、五木先輩だった。髪が腰辺りまであるのを上でお団子にくくっている。少し、というか大分形が崩れているから、だらしがないように見えてしまう。

メガネをかけていて、鼻あたりには綺麗できめ細やかな花火が咲いていた。

「お疲れ様です、五木さん」

「ああ、お疲れ様。ところで浅木クンは高校はもう始まったのかい?」

「はい、昨日から」

「いいねえ、私にもそんな時代があったわぁ」

「まあ、そうですよね」

こういう時にどんな風に返して良いか分からない律はぎこちなく相槌を打った。そんな律を見かねた五木は苦笑した。

「こういう時は大抵流しておけば、大人は満足するもんさ」

「…すみません」

律は申し訳なさそうに謝った。

五木は何がおかしかったのかそのまま吹き出した。

あっひゃっひゃと独特な笑い声が耳に響く。これにもどう反応していいのか分からない律は困った表情を浮かべるほかなかった。そして彼女は、はーっと息を吐いた。

「本気にしなくて良いんだよ」

「はい…ありがとうございます?」

「…ふふ。うむ!よかろう。着替えておいで」

「はい」

そう返事をして、裏の事務室へと歩んだ。事務室といっても、木造の部屋に机を置いただけである。着替えのロッカーだとかは無い。嬉しいのはウォーターサーバーがあることだ。その隣にはコヒーのバッグや紅茶のバッグがあり、好きな時に飲んで良いとのこと。もちろん限度を超えなければ、らしいが。


バイトは金額に見合わない楽さだった。

この給料を弟、伊織との生活費にあてる。


「いらっしゃいませ〜」

チリンと鈴が鳴ったとき、律は軽快な挨拶をする。

そこに立っていたのは風格のある中年の男性だった。贅肉がなく、細身であった。若く見えるが四十代後半から、五十代あたりだろうか。頬はほけ、目は窪んでいた。しかし、男の律にでもわかる。彼の危うさと小綺麗さからくる雰囲気は女性を虜にするものだった。正直、好きなタイプの人間ではなかった。

「こちらお冷です」

ことんと彼のテーブルの上に水と氷の入ったグラスを置いた。結露が汗のように滲んでいるから、氷はいらないようにも思える。

「……」

こちらを見ようともしない彼はどこか物憂げでデジャヴのようなものを思い起こさせる。

「ご注文お決まりになりましたら、お声かけください」

軽く会釈した彼を横目に律は去った。



「睫毛が長いんだね」

細身の彼の注文を受けようとしたとき、突然彼はそう言った。

律は慣れた困惑の色を顔に浮かべた。「そうでしょうか。褒め言葉として受け取っておきます」

「女性のようだ。」

流石にその発言に違和感を覚えた律は聞き返した。

「今、女性のよう…と?」

男性はハッとしたように体を震わせた。「ああ…なんでもない…疲れていてね。すまない」

律は相変わらず怪訝な表情をしていたが、とりえあずその場を離れた。


その彼の一言の意味を、少し、ほんの少し後に知ることになる。


忘れてたわけじゃないんですよ〜

久々ですね!小説の書き方とか忘れてバカ真面目にバ先のこと書いちゃいましたよ!ちゃんとこれからはもっと間空けないように気をつけますね!!

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