10
誤字脱字等、あるかもしれませんがご容赦を。
律は苦いものを食べたように顔を歪ませた。
そういえば、昨日の下校時、大変なことをしでかしてしまった気がする。
「はぁ…」
自分のとった行動が自分の頭を悩ませているのは確かだが、後悔はしていない。
今のクラスで孤立したとしても、何の問題もない。強がりか、それとも本心か自分自身もわからない感情を覚えた。
がらら。
教室の扉が鳴いた。そして、教室内にある視線が決まっていたかのように律に張り付いた。いくつもの目に見つめられても、誰の感情も読み取ることができない。
気にしたら負けだということは理解していた。だから気にしていない風に歩く。
見渡す限り、昨日顎を掴まれた張本人はまだいないようだった。
上履きのなかに画鋲が入っているとか、そういう類のものはなし。
緊張した空気が、ある音で少しだけ驚く。
がらら。同じく扉の音。
「おはよーございまぁし」
よく通る声が響く、そして止む。
あまりの静けさに本人も驚く。
「え、え。なにさ」
あまりに呆けた顔をしたので、口から息が漏れた。
「ふっ」と。
「ああ!誰か今笑っただろぉ。お前か!」
そういって律に近付いてくる。その手で律の頬を掴む。
人懐っこそうに笑って律の名前を呼ぶ。
「おはよ、律」
「ん、はよ。蜜」
蜜は中3の時に同じクラスになった。男女問わず誰とでも仲良くなれるコミュ力モンスターだ。
まつ毛が長く、白い肌にほんのり赤い唇。童話の世界から飛び出したお姫様のようだ。
「昨日のは痺れたよ〜かっくいかった」
「どうも」
蜜には変な印象はつかなかったらしい。中学3年間の内、一番仲が良かったのが蜜だと思う。中1、中2は交友関係は広く、浅くだったから。
ちなみに、蜜は律と伊織の母親が死んだことを知っている。少しは気を使うかな、とか思っていたが、想像の真反対な気の使われ方をされた気がする。
そこから続々とクラスメイトが教室へと入ってくる。その間律は腕の中に眠った。
「…くん」
「律くん」
隣に座っている顔の知らない女子が律の腕を揺すった。
「…何」
「最初の授業始まるよ」
「…ん。ありがと」
どうやらホームルームを寝過ごしていたらしい。
こうして1日が終わった。
今日は水曜日。バイトが始まる。




