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chapter4:unbalance

 私はアラタ様に少しの自由をもらい、周りの人たちとより交流を深めて行くことになった。まずはツトム様、ミナミ様の元へと向かった。ツトム様がレトロのアーケードゲームをプレイしていたようだ。私が近づいてきたのを察知したのか声をかけてきた。



「お、ホープ!どうした?」



「アラタ様から、もっとみんなと話してごらんと少しの間自由時間を頂きました。ツトム様は今何をしているんですか?」



「何ってゲームさ、よかったら協力プレイもできるから一緒にやってみようぜ!」



「ツトムこのゲーム得意なんだよ!ホープくんも一緒にやってみようよ!」



「わかりました。よろしくお願いします。」



 こうして私はツトム様とゲームをすることになった。



 内容は、横スクロールの格闘アクションゲームだ。アーケードで過去に流行ったスタイルのゲームで点数のハイスコアは過去30年更新されていないという。



 まずは操作方法を記憶してプレイをしていく。私は記憶型のロボット。ゲームをプレイするくらいはできる。だがこのゲームはいろいろとコマンド入力などの複雑操作を一つ一つ記憶をしていくうちにいつのまにか残機が0になっていた。



「おいおいホープwいきなりやられちゃうのはないだろーw全くしょうがねぇやつだなー。」



そう言いながら追加で入金をしてコンティニューさせてくれた。今度はやられないように立ち回りを変えていく。ツトム様が操作をするキャラのサポートに徹することにした。


 そして、ゲームのラスボスまでもを倒すことに成功した。



「やったなホープ!最初はどうかと思ってたがやればできるじゃねぇか!」



「ホープくんすごい!やっぱり成長してきてるのかな少しずつ」



 成長?私にはそのような機能はないはず、体験したものや得た知識を経験をして最適解を導き出していくのが私に備わっている。人ではない私に成長というのは無縁のこと、だがツトム様の機嫌を損ねないように。



「ありがとうございます。またお時間あればご一緒にやりましょう。」



 私はそう言い後にした。今度はケント様の元へ向かった。ケント様は何かを書いている最中だった。そこへ声をかけていく。



「ケント様、こちらは何を書いているのでしょうか?」



「ああ、ホープかい。これは今新たに発見された宇宙生物と遺跡の資料についての資料のレポートだよ」


 そのレポートを見て知識をつけていくことにした。


 遺跡に記されている破滅の日、人類が希望を失い絶望に際悩まれながら進化した存在に滅ぼされる。と記されている。


 神話の時代、運命の女神は人類に希望を見出し、破滅神は人類に絶望をしたのだと。


 本当に神話にあった出来事があったのかと思うと疑問ではある。そして宇宙といった新しい環境に進んだ人類は危機を感じている。


 宇宙生物、「ヒストリッカー」命名はなんとケント様だ。この名前の理由は鳴き声がまるで発狂した人間の叫び声のような、金属音のような不快な声をしていることから。


 強力な外骨格に覆われ、目が退化している代わりに聴覚と嗅覚に優れている。人間のフェロモンや足音、さらには体温を察知して襲い掛かってくる。口はとても地上の生物とは思えない形状で、なんと6つに引き裂かれている。


 口の中に胚の触手があり、そこから人間などの生物の神経や血液に管を通しあることをしていく。


 繁殖だ。



 さらに繁殖方法がとても特殊で、最初は細菌やウイルスほどのミクロ単位の生物で、体内に侵入をして寄生元のDNA情報を採取、分析を行い、成長をする。


 そして一定期間が経つと、生物の血液が沸騰するように湯気がたち、そして悶え苦しみながらうずくまる。最終的には体内で一気に爆発をして誕生する。寄生元は跡形もない肉片へと変わる。



 繁殖力もゴキブリ並み、頭脳も一般成人の平均的なIQや知識を用いて罠を仕掛けたり戦術を仕掛けたりして捕食していく。


 社会性もあり、メスの個体が最終的にボスになり一族を率いて襲い掛かる。図鑑資料でみたアリやハチに似た感性の生物。



 改めてレポートを見るとこんな生物がこの宇宙にいるとなると無事に地球に帰れるのかが謎だ。



「実は今回コマンドメントはこの生物の捕獲、地球に持ち帰るのが仕事みたいなんだ。本当はこんなおっかない生き物なんて放置して開拓に集中した方がいいって思うんだけど...」



 ケント様は不安な顔になって言うと隣にアスカ様とミスズ様がやってきて。



「ダメよ、ヒストリッカーは必ず捕まえる。今会社ではこの生き物を完全に操って兵器などに運用していくプランを計画してるの。


もしこのプランが実用できれば、沢山の利益が手に入るし、多少の犠牲者がでるとしてもこの生き物の恐ろしさを敵国が知ればもう攻めてくることがなくなって平和にんれるんだから。


ゆくゆくはこの生き物だけが争ってもらう戦争になる、まるでチェスとかのボードゲームみたいに。」



「そんなに上手くいくことあるのかなー?」



「わが社が誇るAI技術をなめちゃダメよミスズちゃん。『OWLDO』をはじめ、たくさんのAI搭載ロボが今さまざまな分析を行ってヒストリッカーを制御する方法を模索しているの。


あとは指示に従って行動すれば成功間違いなしよ!」



 確かに我々AI搭載型ロボの指示に従えばほとんどの問題は解決することができる。



「それはあまりにも悲しい世界だね...」



 話を聞いている中、コーヒーを持ちながらカスミ様がやってきた。顔は少し寂しい表情をしていた。



「カスミさん、聞いていたんですかー?」



「そうだね、確かにこれからホープのようなAIロボが増えていくんだろうなと思う。とても便利で、そしてとても冷たい氷河期が到来するんだろうね。」


 カスミ様はそんな悲しい世界を氷河期と例えている。比喩と呼ばれるものは私たち機械には備わっていない。



「それは違うわカスミさん、とてもすばらしい世界になるわ。私の予想だけど、きっとAIの力で暖かい世界に!」



 どうやらカスミ様とアスカ様は互いの意見をぶつけている。そこへミスズ様が割り込んで仲裁していく。



「もうカスミさんもアスカさんも喧嘩はダメですよー!ホープ君に変なもの見せないのー!!」



「ごめんなさい、熱くなりすぎたわ。ホープ君もごめんね、どうしても好きなものへの情熱は抑えられないものなの人間は。」



「私も言い過ぎた。ホープ、見苦しいとこを見せてしまったな。感情的になってしまうのが人間の性ってやつなのかもしれないな。」



 私には感情や性といった機能はついていない。だからなぜ2人が言い争っていたのかは詳しくは知らない、喧嘩がおさまったのならよかった。



 そうして私は2人の前を後にし、今度はあの男のもとへ向かった。マコト様だ。どうやら静かに腕を組みながら眠っている。私は声をかけていく。



「マコト様、アラタ様のご命令によりお声をかけました。よろしいですか?」



「機械人形か、私に関わるな。」



 やはり私は嫌われているようだ。そこで私は先ほどのコーヒーマシンを使用していく。マコト様の好みの味にしてもらい渡していこうと思う。



「どうぞ」



 そうしてアラタ様の前に作ったコーヒーを差し出した。



「お前わかっているのか、関わるなと言ったはずだぞ。」



「私はアラタ様のご命令で...」



 その瞬間カップと私の胸ぐらを掴んだ。





「私に関わるなと言ったはずだ!!!」



 私は壁に向かって投げ飛ばされた。カップは割れて私にコーヒーがかかってしまった。



「何してるんですか!?」


 アラタ様やツトム様、カスミ様が怒声に気づき私のもとへきた。ミスズ様も私にハンカチを差し出してくれた。瞬間的にツトム様がマコト様に怒りを露わにした。



「お前マジでいいかげんにしやがれ!ホープがお前になにしたんだよ!前々から気にいらねぇやつだと思ってたがこんなにクズだと思わなかったぜ。」



「そうだな、ツトム君の言う通りだな。マコト少佐、そんなにホープが気に入らないなら関わらなければいいだけの話だろう?


それでもつっかかるつもりなら私がお前を斬る、どうする?今ここで決着をつけるか?」



 まさにカスミ様、マコト様がそれぞれ武器を手に持ち今にも戦いが始まるような緊張感がリフレッシュルームに流れていく。



「やはりお前たちは信用できない。そんな機械人形に何を教えたって無駄だぞ。言ったはずだぞ、入れ込めば痛いしっぺ返しを食らうと。いつか後悔するぞ?」



 マコト様は私を見ながら皆にそう言い聞かせていた。



「何をしているんだ?」



 ここでようやく船長が部屋に入ってきた。



「あ、センチョー!この2人が今にも争いそうな雰囲気で・・・」



 ミスズ様が船長様に事情を話し、仲裁を促す。



「確かに両者の経歴などは理解しているが、今はこの開拓の目的に集中してくれ。この旅で世界の人たちに希望を与えなくてはならないのだから...


さぁ、これからミーティングを始めよう。」



 あっという間に騒動を鎮めた船長様は会議を始めるためにディスプレイを起動し始めた。





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