器用貧乏主人公の姑息なファンタジー第二話
すさまじい音を立てて天井が破れる。
「どうわぁぁぁああぁぁぁぁ!!」
「ギャパアアアァァァァァァ!?」
「きゃびいいいいぃぃぃぃぃ!!?」
降り注ぐ木片、重なり合う悲鳴と怒号。
最後に重い音が響く。
「いたたたた……なんなのさぁ、せっかくいい気持ちでお昼寝してたのにぃ」
背中の上から聞こえてくる少女と思しき声、のしかかってきている重み
「でぇええいっ!」
ソードは自分が倒れていることに気付き上に乗っている何かを無理やりに押しのけて立ち上がる
「きゃあっ!?」
悲鳴が聞こえたような気がしたがそんなものは無視しソードは辺りを見回す。
立ち上る埃越しに見える壁にはなんら変わりはないが天井には大穴が空き、足元には木片に埋もれたシオの足と見知らぬ少女。
まったく状況が飲み込めないが一つだけ確かな思考が頭に浮かぶ。
「俺たちの居場所がばれたじゃねぇかっ!」
ソードは思わず叫んだ。
その後、すぐに冷静さを取り戻したソードの耳に数人の足音と声が入ってくる。
ソードは迷わずに行動を起こす。
まずシオを木片の山から引っこ抜き、少女の襟首を掴み足音とは逆方向に走る。
その先にあるのは無論だが壁だ。
しかしソードは止まらずシオの足を握っている右手を大きく振りかぶり
「死ぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇいっ!!!!!!」
ソードは目の前の壁へとたたきつけた。
ドガァッ
「ゲブファッ!!」
壁の破砕音と共にシオのくぐもった苦鳴をあげる。
(許せ、シオ……)
ソードは心の中で合掌しシオの切り拓いた血路(壁の穴)を抜け清々しい笑顔で陽光の中へと全力疾走で跳びこんだ。
そう、明るい未来を目指してー
次の瞬間、盗賊たちがドアを乱暴に開き納屋になだれ込んでくる。
しかし彼らが見たのは走り去るソードの後ろ姿だった。
「…………人間って人抱えてあんな早く走れるもんなんだな……」
盗賊の一人が呟く。
「オイ、逃げられたぞ、どうすんだ!?」
続いて一人が声を上げる。
「まぁ落ち着け、とりあえず頭に報告だ、どうせこの村からはそう簡単には出られねぇさ」
「そうだったな……何せこの村の周りは……」
ソードは起伏の激しい村の道を猛烈な速さで駆け抜けていき、家の密集した地帯に体を滑り込ませる。
急な勾配の上に狭く曲がりくねった路地を抜けようとしたときソードはそれに気付いた。
「だああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ソードは絶叫しつつ足を踏ん張り急制動をかけ、どうにかぎりぎりのところで立ち止まった。
「嘘……だろ、オイ」
ソードは声を上ずらせ両手に持っているものを取り落とす。
唐突に開けた視界、そして広がる雄大な景色にソードは目眩を覚える。
ソードの立っている位置のほんの僅か先から地面がなくなっていた。
下を覗き込むと、崖が少し崩れて土塊が落ちていく。それはどんどん小さくなっていきイヤな間をおいて小さく土塊が砕ける音だけが撥ね帰ってくる
青ざめて周囲を見回すが逃げ場になりそうな場所は見当たらない。
呆然と立ち尽くすソードの背を突然何者かが押す
「どわぁっ……たったぁ!」
ソードは何とか体勢を立て直し振り向き
「何しやがる、シ……」
ソードの怒声はそこで途切れる。
そこにいたのが予測していたなぞの怪生物ではなく、見知らぬ少女だったからだ。
身長は140cm程度で年齢は14~15才程だろうか、ポニーテールにまとめた髪と円らな瞳は共に鮮やかな緑で、少年が着るようなラフな格好をしている。
なかなか愛らしい部類に入る少女だ。
「お前……誰?」
「それはこっちのセリフだよっ、あんたこそだれさ!」
少女は目の端を吊り上げて精一杯爪先立ちをして凄みを利かせようとしているらしいが、いかんせん全く迫力がない。
「わかったぞ、人さらいだなっ、あたしが可愛いからって売り飛ばそうとしたんだな、このあくと……」
「少し黙れ」
ソードのチョップが少女の眉間を打つ
「あうっ、なにすんのさ」
「俺の名はソード、残念ながら人さらいじゃなく流れの何でも屋だ」
抗議の声を上げる少女にソードは自己紹介をする。
「その辺に転がってる犬もどきが……」
「オイラがソードさんの保護者のシオです」
ゴス
シオの頭頂にソードの拳が落ちる
「こいつが疫病神兼貧乏神兼金魚の糞のシオだ」
「シオちゃんって言うんだ、か~わいいっ」
少女は嬉しそうにシオを抱きかかえる
「はっはっはっ、いきなり“ふれんどりぃ”な感じですが、この人誰ですか、ソードさん?」
「それを今から聞こうとしてんだよ」
「あたしはルシアだよっ」
少女は元気よく名のった




