表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非モテ非リア戦争   作者: ハムロ
非モテ非リア軍団、始まります!
9/20

見方を変えるだけで

「いーやーでーごーざーるぅぅ!」

泣いてわめきながら公園を走り回り、幽紗から逃げる環。

「待ってよぉ。包丁で刺すくらいいいでしょ?」

包丁をブンブン振り回しながら環を追いかけ、そう言う幽紗。

「頭のネジ大丈夫でごさるか?いや、聞くまでもなかった。頭のネジ外れていない人は、普通包丁持って人を追いかけないでござるな。間違えてごめんなさーい!だから許してぇ!」

「だめぇ。どうしてかと言うとぉ。私が刺したいから。はい論破ぁ。( ◜ω◝ )」

「こんなの論破でもなんでもないでござるよぉぉぉ!」

走り回り、そのような会話をしていた時、

「いで。」

マヌケな声を出して環がこけた。

「はぁいおしまぁい。」

「ひっ、ひぃぃぃ、お助けぇぇ。」

「さようなら、ストーカー君。」

幽紗の包丁が、環に段々と近づいてくる。


時は2年前。舞台は尾詩馬高校(おしまこうこう)

田中環は中学二年生だった。

長い四肢にマッシュルームヘアーの男子だ。

~田中環、プロローグ~

僕の名前は田中環。どこにでもいる平凡な男子中学生だ。ただ、他の人と比べて違うのは、

写真を撮るのが上手い。ということだ。

「田中先輩って写真撮るの上手いですよね~。」

1年の後輩が言う。

「まじで?ありがとう。」

正直に言って嬉しい。褒められるのは嬉しい。

「まあ、才能かな。あはは。」

僕は笑いながらそう言った。

後輩は

「きー!憎いぃぃ。(> <)」

っと悔しそうに言っていた。

「田中せんぱぁーい。どうしたら写真うまく取れるのか俺にも教えてくださいよぉー。」

男の後輩が来た。

「任せろ任せろ。」

「流石写真部のエース。かっけぇ。」

そんなやり取りをしていた。

そう。僕は写真部のエースなのだ。

色々な人に褒められるのは嬉しい。

写真部のエースということ以外は平凡な僕。

まぁ、好きな人だって生きてりゃあできる。

というわけで、好きな女の子に告白しました!

名前は、夜中星良よなかせいらさん。

3年生である。

普通に可愛い。

~田中環、プロローグ終了~

放課後の体育館裏。

「夜中先輩。あなたの可愛い顔とか、優しいところとか、好きです。僕と付き合ってください!」

お辞儀をして、右手を星良に差し出した環。

10秒間の沈黙があった。

そして、星良は口を開けて言った。

「ごめんね。田中くんの気持ちは伝わったよ。でも私、彼氏がいるから田中くんの気持ちには答えられないよ。」

「そうですか。なら仕方ない。こんなこと聞くのは気持ち悪いかもしれないですが、教えてもいいと思ったら。教えてくれませんか?」

っと環は聞く。

「何?」

「先輩が付き合っている彼氏とは、誰なのかを教えて頂けませんか?」

真面目な顔で言った環。

星良は「何だ、そんなことか。」っと呟いてから満面の笑顔でこう言った。

「同じ学年の、康語(こうご)くん。自慢の彼氏何だ!(*ˊᗜˋ*)」

「そうですか。分かりました。教えていただきありがとうございました。お幸せに。」

そう言って、環は家に帰って言った。

康語は3年生だ。

肩幅が広く、大柄で身長が高い。オレンジ色の髪の毛で角刈り。っと言うのが特徴だ。


環は帰宅した。

そして数時間がたち、現在夜11時。

環は布団にくるまっていた。

「もぉぉ!振られちゃったよぉぉぉ!もうやだ!

いーやーだぁぁ!はぁ?僕、田中環は、初めて好きな人に告白しました!結果、見事振られましたぁぁぁ!おめでとう!僕!かっこいいよ!.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.エーン(泣)」

環は布団から顔を出し、笑顔だけど涙を流しながら手を叩いている。今、環はぐちゃぐちゃな気持ちだ。

「環!うるさいぞ!」

下の階から親の声が聞こえてきた。

その声で環は冷静になった。

「いや、落ち着け僕。今どんな状況と気持ち?」

自分に言い聞かせるように言った。

「僕は、告白しました。振られました。悲しい気持ちです。・・・クソがよぉぉ!彼氏だと?僕だって男じゃん!同じ男じゃん!クソォ!.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.エーン(泣)」

少し間を開けてから、もう一度叫んだ環。

「環!うるさいぞ!もう次は無い!」

また、下の階から親の声が聞こえてきた。

環はもう一度冷静になった。

「まぁ、星良さんが幸せならもういいや。ここは潔く諦めよう。(´◉ω◉)」

真顔でそう言った。

「何か散歩したくなってきたし、コンビニエンスストアに行くか。」


コンビニに行き、散歩から帰るための帰り道。

「何か周り暗いな。まぁもう夜だから当然か。あかりはついてるしまぁいいや。」

そう独り言を言った環。

すると、前から男女の話し声が聞こえてきた。

「やっぱお前は面白いわ。」

「ふふ、そんなこと言って、ほかに彼女がいるんでしょ?」

「あ?あいつは遊びだよ遊び。本命はお前。」

「ふふ、康語って悪いやつぅ~。」

「康語」と言う言葉に反応して、恐る恐る前を見ると、肩幅が広く、大柄で身長が高い。オレンジ色の髪の毛で角刈りの男性が女性と話していた。

環は、訳が分からず、とりあえずその日は家へ帰った。


次の日の夜。

環は、また康語がいるんじゃないか。と思い、もう一度同じ時間帯に昨日康語を見た場所に来た。

すると、また男女の話し声が聞こえてきた。

「ゲーセンの帰り道っていつもここ通るよね。近道とかないの?」

女性の声だ。

「そんなもんないよ。」

康語の声だ。

「てかさ、聞いてくれよ。」っと康語が言う。

「何?」

「今日さ、星良と昼メシ食ってたんだよ。そうしたらあいつさ、はいアーンって、自分の弁当の唐揚げを

俺に食べさせたのよ。まぁ美味しかったけどさぁ。

本当にあいつは俺の事好きなんだな。遊びとは知らずに。ぷぎゃはは!」

女性と肩を組み、気持ち悪い笑い方をしながらそういう康語。

「ちょっと康語!遊び相手でも、本命の彼女の前で他の子の話をしないでよぉ!」

「ヤキモチ妬いてんの?」

「もう!」

そう言って康語の肩を軽く叩く女性。

~それを見ていた環の心の中~

え?やっぱり、昨日の康語先輩が他の女性といたのって本当だったんだ。

てかさっきあいつ、星良先輩の事をバカにしたのか?

あいつの事を満面の笑顔で、自慢の彼氏って言っていた星良先輩を?

さっきの話で康語は星良先輩の事を遊びって言っていた。そして今一緒にいる女性の事を本命って言っている。

星良先輩と康語は付き合っているはず。・・・・・・

あー二股か。

星良先輩、可哀想だなぁ。

康語は懲らしめるんじゃない。

二股している写真を星良さんに見せて、星良さんと康語を別れさせよう。

そのためにはどうすればいい?

そうだ、ストーカーだ。

康語をストーキングしよう。

ただのストーカーじゃんダメだ。

よし、1ヶ月間修行しよう。

~それを見ていた環の心の中終了~

環は家に走って帰った。

次の日から1ヶ月間修行した。

まず、ストーキングするなら、忍ぶことが大切。

つまり、忍者っぽくなればいいと考えた。

そのため、語尾はごさる。一人称はどうすればいいか分からなかったので、ソレガシにした。

どんなところに隠れるといいか。

電柱が隠れやすそうだし、自分の長い四肢を利用したら、顔を隠したまま、長い腕とカメラだけで周りを見れたり、証拠を撮る事が出来ると分かった。

うまく写真が撮れるかどうかは、自分の写真部エース補正を信じることにする。

隠れる技術も身につけようと思い、公園の砂場で

毎日5時間、高速で穴を掘って隠れる。と言う修行をした。

計画も立てた。

1、自分は康語のストーカーになる。

2、期間は2日。

3、次の日の放課後に、星良先輩と康語を体育館裏に呼び出す。

4、康語があの女性と一緒にいる写真を証拠として、星良先輩に見せ、2人を別れさせる。

5、これで、星良先輩は康語の遊び道具じゃなくなる。

これが1ヶ月間の修行でした事だ。次の日から実行する。


次の日のあの時間帯。

環は電柱に隠れていた。

案の定、康語と女性がいた。

「お、いたでござるな。」そう言ってカメラで2人の

写真を撮った。

「よしよし。」そう呟いた時、後ろから声がした。

「あの、何やってるんですか?」

驚いて後ろを振り向くと、そこには

特徴がないのが特徴と言っても過言ではない見た目で、ジャージを着ている男性がいた。

「え、別に何も。」

そう言ってすぐに2人の方を見た環。

しかしもうそこに2人の姿はなかった。

「ああああ。(´._.`)」

少し悲しんだ環。修行して初めての目的だから、

写真を2枚くらい撮りたかったのだ。

その男性の方をもう一度見た環。

「あ、ごめん。僕何かやっちゃった?」

っと言って謝る男性。

「いや、大丈夫でござるよ。」

っと言う環。

「ありがとう」っと言う男性。

そして、また男性が口を開けた。

「あれ?同じクラスの環くん?久しぶり。」

「ん?すまない、あまり関わったことがないから覚えていないかもしれないでござる。」

「ははっ。ござるって、キャラ変えたの?いいね!」

親指を立ててそういう男性。

「僕の名前は影宮心太。」

「心太くん?」

「そうそう。いきなりだけど友達にならない?」

そう聞いた心太。

「すまない。今取り込み中なのでな。」

そう言って帰ろうとする。

「待ってよ。最後に何をしていたのかだけ教えてくれない?」

そういう心太。

環は顔だけ後ろを向けて、

「ストーキング。」

っと言って帰って行った。

(・Α・)ほえーっという顔の心太だった。


次の日、また同じ時間の同じ場所にいた環。

「今日うちに泊まっていけよ。」

っと言う康語。

「了ー解!」

元気にそういう女性。

2人は今手を繋いでいる状態だ。

当然環はその場面を撮った。

そして、先程の2人はそのままどこかへ消えていった。

「これは決定的でござるぞ。これを明日見せれば、

星良先輩はあいつのおもちゃじゃ無くなるでござる。」

環が喜んでいた時に後ろから声をかけられた。

「あ、また居た。こんにちは環くん。」

後ろを振り返ると、メロンパンをもぐもぐ(‘◉ч◉’ )と食べている心太がいた。

「こんにちはでござる。」

「こんにちは。」

挨拶をした2人。

「何か用でござるか?」

「うん。さっき明日見せればって言ってたけど何するのか気になるから教えてくれない?」

「うーん。」

少々悩む環。

「それってもしかして昨日のストーキングと関係あること?」

メロンパンを食べながら話す心太。

「一応そうでござるが、そんなに教えよう!と思うような楽しいことではないでござるからなぁ。」

「教えてもいいと思ったらで良いよ。友達のお願いだと思って。」

そういう心太。

「友達になった訳では無いが、今ソレガシは気分がいいのでな。分かったでござる。」

「やりぃ。」

喜んだ心太。

環は説明を始めた。

「ソレガシは1人の先輩に告白したんでござる。

そうしたら、見事振られた。ソレガシが告白した先輩にはもう、彼氏がいたらしい。ソレガシは諦めたのだ。そして、散歩がてらコンビニまで行き、その帰り道に、先輩の彼氏を見た。そこで分かったことは、

その彼氏は、二股をしていたということだ。

その彼氏にとって先輩は遊びの彼女。本命は、もう1人の彼女なんだ。ソレガシはそれが許せないから、その彼氏が二股している証拠を集めるため、そいつをストーキングしていた。

で、明日の放課後に先輩と、さっきの男を体育館裏に呼んで、写真を見せて、2人を別れされる。と言う訳でござる。」

環はこれまでの過程と明日する事を心太に教えた。

心太はこう言った。

「なるほどねぇ。でもさ、それって先輩はどう思う?」

「え?」

「先輩は二股されていることを知らない。じゃあ知らないままでいさせてあげたほうが良くない?」

「確かに、これはソレガシの自己満足だ。

ソレガシの自己満足で先輩を悲しませる。

なぜ先輩は悲しむか?二股されていると知ったから。もっと悲しいのは、二股されていて、実は自分は遊び道具として使われていた。っと知った時だ。

だから今ここでソレガシが先輩とあやつを別れせると、先輩は後者と比べて浅い傷で済む。だからソレガシは明日、決行する。」

「へぇ~。頑張れ。友達になろう。」

「何かお前頭悪そうだから断るでごさる。」

「きー!憎いぃぃ。(> <)」

このような会話をして、お互い家に帰った


次の日の放課後。

康語と星良は環によって体育館裏に呼び出され、来ていた。

「あれ?康語も来てたんだ!」

少々高めの声が出た星良。

「ああ、後輩に呼ばれてな。」

「へー。私も。どんな用なんだろう?」

「さぁな。」

そのような会話をしていた時に、環が現れた。

「こんにちは、星良先輩、康語先輩。放課後に呼び出してすみません。お2人と話したいことがあって。」

そう言う環。

「早くしろよ。こっちは早く家に帰りたいんだよ!」

っと言う康語。

「まぁまぁ、落ち着いて康語。田中くん。ゆっくりでいいからね。」笑顔でそう言う星良。

「はい。」っと言ってから環は深呼吸をして、こう言った。

「康語先輩。あなたは二股していますよね?」

「「え?」」

先輩2人の声が重なった。

康語は真顔のまま。星良は笑顔のまま凍りついている。

「何を根拠に言っているんだよ。」

と言う康語。

「これが証拠です!」

そう言って2人に、2枚の写真を渡した。

康語が女性と一緒に歩いている写真。

康語がその女性と手を繋いでいる写真。

この2枚を渡した。

「え?これ本当?康語が二股していること。」

余程のショックだったのだろう。星良の声は少し震えている。

「本当です。」

環はそう言った。

「ねぇ康語、何か言ってよ。」

そう星良が言った時、康語はきょとんとした顔で、

「何だ、これ俺の姉ちゃんじゃん。星良は馬鹿だなぁ。俺は星良一筋だよ。」

そう言った。

「良かったぁ。」

星良はほっとした。

康語は続けてこう言った。

「てか何これ?俺の写真。しかもプライベート。

もしかして俺のストーカー?え、気持ち悪っ。

もしかして俺の事ずっとつけてたの?怖!」

環は唇を噛んで黙っている。

星良はこう言った。

「田中くんがストーカーなのはどうでもいい。

でも、康語を二股だって疑った事は許せないよ。

あ、ごめんやっぱり私。ストーカーは受け入れられないよ。」

星良の目は冷めていた。

「まぁ、しょうがないよな。君は俺のストーカーだったんだ。俺は星良一筋なのにさ。疑いやがって。」

環に向かってそう言った康語。

環は両方の拳を握り、下を向いている。

「星良。話は終わったっぽいし先に帰ってて。俺はこいつと話があるからさ。」

康語は笑顔で星良の方を向き、そう言った。

「分かった」と言って星良は帰って行った。

星良の姿が見えなくなったのを確認した康語は、

環に近づき、肩に手を置いてこう言った。

「危ねぇ。お前のせいで俺が二股してるのバレるところだったわ。お前は星良が二股かけられているって知ったから、それを助けるために俺をストーキングしていたんだろ?分かるよその気持ち。好きな女子、助けたいよね。あ、ごめん振られたんだったね。俺が星良と付き合ってるもんね。あの咄嗟の状況で俺の姉ちゃんって嘘つける俺すごくね?」

楽しそうにそう言う康語。

康語は続けてこう言う。

「しっかしあれだな。結局、助けたい女にストーカー呼ばわりされて、その女に許せないよって言われて、可哀想だなぁ。ダッセェな。ぷぎゃはは!」

気持ち悪い笑い方をしながらそう言う康語。

「うるさい、黙れ!」

そう言って右の拳を康語の顔に向かって当てようとした時、環の右頬に痛みが渡った。その勢いで環は地面に倒れる。

環が康語を殴るよりも先に、康語が環を殴ったようだ。

「もうほっとけよ。可哀想なダサいストーカー君。

それじゃあ俺、星良と一緒に帰るんで!さいなら!」

そう言って康語は帰って行った。

康語の姿が見えなくなって5分後。

「がぁぁぁ!クソがぁぁぁぁ!ふざけんな!あのクソ野郎!はぁ?あの虚言癖が!」

環は倒れながら怒り狂っていた。そして、

唇を噛んで、腕で涙を拭きながら、こう言った。

「助けられなかった。星良さんはあいつのおもちゃのままだ。くそ!くやしい。本当に使えない人間なんだな、僕は。」

自分の事を攻め始めた環。

すると。声が聞こえた。

「環くん、最初から見ていたよ。」

「え?」

環はすぐに涙を拭い、声がする方へ立ち上がった。

そこには心太がいた。

「まぁいいや、友達になろう。」

そう言って右手を前に出して、握手をしようとした心太。

「何でそんなに僕と友達になろうなりたいんだよ。」

っと聞く環。

心太は、「特に深い理由は無い。」

と答える。

「心太くんも最初から見ていたんだったら分かるだろ。僕はストーカー何だ。ダサいストーカーだ。

ストーカーって言うだけでも嫌な印象を与えるんだ。だから僕と友達になるのはやめておいた方がいい。」

そう言って後ろを振り返り、帰ろうとする環。

「確かに、お前はストーカーだ。でも僕からしたら、星良先輩と康語先輩はストーカーのお前よりも馬鹿に見える。」

心太がいきなりそう言った。

環は驚いて心太の方を振り返り

「どういうことだよそれ。」

っと言った。

心太は

「話をまとめたいんだけど、環くんがストーカーしていた理由って、自己満足のためとはいえ、一応そこに星良先輩を救うっていう理由も入ってたんだろ?」

っと聞く。

「そうだ。」

「それで、今日その話をしたら、ダサいストーカー呼ばわりされた。・・・僕は、形はどうであれ、好きだった女性のために頑張れる環くんは凄いと思うけどな。」

っと心太は言った。

「すまない。早く帰りたいんだ。何か言いたい事があるんだったら早く教えてくれ。」

「分かった。」と言う心太。話をまとめるために、深呼吸をした。そして口を開けた。

「表面しか知らない奴からしたらお前はただのダサいストーカー。でも、裏面も表面も知っている僕からしたらお前をダサいと思っている奴の事をマヌケだと思う。」

続けて心太はこう言う。

「僕からしたらお前はかっこいいストーカーだよ。

お前の事を表面しか見ず、お前をただのストーカー呼ばわりした奴の事はほっとけ。見方を変えるだけで

人の印象はだいぶ変わる。ストーカーである事を誇れ。」

心太はそう言って、環の前へ来て、もう一度右手を

出し、握手をしようとした。

環の心は無だ。でも、少し安心したのかもしれない。

ストーカーだと言われた。ストーカーである自分を受け入れてくれる人がいる。そう思ったら少し安心したのかもしれない。

心太は笑顔でこう言う。

「環、友達になろう。」

「フッ、了解でござる。」

2人は握手をして友達になった。


~田中環、エピローグ~

元々は先輩を助けたいという自己満足の為にしていたストーカーだ。

そして、その助けたい先輩に嫌われた。

自業自得かもしれない。

でも、心太はソレガシの表面と裏面。どちらも知っている上で友達になってくれた。

心太は、ストーカーである事を誇れと言ってくれた。

ソレガシをしっかりと見てくれている人を裏切らない。

ソレガシはかっこいいストーカーである事を誇ろうと思う。

~田中環、エピローグ終了~


現在に戻る。

「さようなら、ストーカー君。」

幽紗の包丁が、環に段々と近づいてくる。

しかしその包丁は心太が服の内ポケットから出した大量の写真によって止められる。

幽紗は包丁をゆっくりと近づけていた。

環は今回ストーカーする上で撮った、心太に渡した5枚の写真を除くすべての写真を重ね、この写真の真ん中に包丁が刺さるように調整して長い腕を限界まで伸ばした。

その写真は、包丁のハンドルまで届いた。

環に近づいて来ていた包丁の動きが止まる。

環は幽紗の顔を睨んだ。

「何も知らないあなたが、ソレガシの事を気安くストーカーって言うな!」

そう言って環は、立ち上がると同時に幽紗の右手を

ピコピコハンマーで叩き、包丁を落とさせ、持っていた写真を投げて、左手で落とした包丁を拾った。

幽紗から包丁を奪ったということだ。

今環は、右手にピコピコハンマー。左手に包丁を持っている状態だ。

「かえしてよぉ。」

落ち着いた雰囲気でいう幽紗。

それを無視して続ける環。

「ソレガシは、ただのストーカーじゃない。・・・

かっこいいストーカーだ!」

環はそう言って砂場へ走り出した。

「ええー!にげるのぉぉ?( ゜д゜)」

幽紗は驚いた。とりあえず追いかけることにした。

幽紗はフラフラと走っている。

砂場に先に着いたのは環だ。

環は一瞬で砂場に穴を掘り、砂場に潜り込んだ。

幽紗はその瞬間を見ているので、環が潜った場所の真上で止まった。

「おーい。どこにいるのかなぁー。」

わざとらしくそう言う幽紗。

その時、砂場から手が出てきた。

その手は幽紗の足を掴み、砂場へ引きずり込む。

「えっ?え、何これぇ。」

幽紗の体が段々と砂場に潜り込んでいくのに比例して

砂浜から環が段々と上がってきた。

そして最終的に、砂場には幽紗の顔があり、環は完全に砂場から出ている。という状態だ。

「もう終わらせるでござる。」

「いいよぉー。」

「そういえば、あなたは翔太が五股しているっていう事を知っていたでござるな。何でそれを知っているのに翔太の彼女であろうとするのでござるか。」

環はそう聞いた。

「そんなことか。」

幽紗は満面の笑顔でこう言った。

「私が好きな男の子は翔太くんただ1人。翔太くんと一緒にいるいられるのならどうだっていいよ。それにそれで翔太くんが幸せになら放っておいてもいいと思うし。」

そう言った。

「そうでござるか。恐らく今日翔太はあなた以外の彼女と別れるだろう。あなたはたった1人の彼女になる。良かったでござるな。」

環は微笑みそう言った。

幽紗は

「ええぇー!そぉなのぉ?確かに私が唯一の彼女になるのは嬉しいけど。それじゃあ今までの翔太くんじゃないじゃない。私は今の翔太くんが好きなのであって、これからの翔太くんが好きなんじゃないの。」

そう言った。続けて

「じゃあいいや。私も別れる。早く決着をつけよう。」

「分かったでござる。」

そう言って環はビールを出した。

「え?それで何かするのぉ?」

そう聞く幽紗。

環は考えた。

幽紗はフワフワしたような、まるで酔っ払ったような話し方をしている。

そして、先程環を追いかけていた時、フラフラとしていた。

幽紗は顔が赤い。

これらのことから、幽紗は、酒飲みであると考えた環。

恐らく昨日もお酒を飲んでいたと考えるのなら、今からする作戦は上手くいくはず。っと。

「おーい。聞いてますかぁ?」

そう幽紗が言った瞬間環はビール缶を幽紗の方へ傾け、ドバドバドバっと飲ませた。

「がっがふっがぁ。」苦しそうに幽紗が言っているが、流されたビールを綺麗に飲んでいる。

飲み終わった後。

「ぐっ。何するのぉ。」

「・・・」

環は黙っている。

30秒間の沈黙があった。

そして、幽紗に異変が起きた。

「うっ、気持ち悪い。」

そう言った。

「やっぱり、あなたは沢山酒を飲んでいますね。」

「何でそれを?」

「色々考えたからでござる。正直うまくいくとは思わなかったが、うまくいかせるしかないからそこは自分を信じたでござる。」

「そう。」

そう言って幽紗は

「オェー。オェー。ゲロゲロ。」

盛大に嘔吐した。

そして、

「完、敗」

っと言って気絶した。

「好きな人が幸せになら放っておいてもいい。でござるか。確かにその考えもあったでござるな。

いや、心太にも似たようなことを言われたから、

昔のソレガシに言っても聞かなかったでござろうな。」

環はそう言って学校へ行った。

環VS幽紗 幽紗が気絶して環の勝利!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ