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非モテ非リア戦争   作者: ハムロ
非モテ非リア軍団、始まります!
5/20

償うんじゃない。

舞台は界雷(かいらい)中学校。

時は、桜田つぐなが中学2年生の時。

~桜田つぐな、プロローグ~

私、桜田つぐなが中学2年生の時の話しをさせてください。

私は、周りの人と比べて足が速かったです。

クラスの女子の中では、必ず1番足が速い女の子でした。そこら辺の男子にも負けない位の足の速さです。凄いでしょ。

体育祭の代表リレーには必ず出ていました。

鬼ごっこで鬼になったら、私が1番たくさんの人にタッチすることができます。

そんな足の速さが自慢の私。部活は何部に入っていたかって?陸上部に入っていました。

種目は100メートル走。当然私は基本的に、学校の練習で走る時1位。1位!1位!1位の繰り返し。

「つぐなちゃんすごい!何でそんなに速く走れるの?」友達が言う。

「たまたまだよ~」私は愛想笑いをしながら返事する。

だって普通のことだもん。私がみんなよりも速いのは普通のこと。皆さんは、自分が普通にできる事を、すごいって言われた時、どう思いますか?

褒められてるんだから、嬉しいでしょう?

でもね、所詮それは自分にとっては当たり前のことなんですよ。褒めてくれる人には悪いですが本当にごめんなさい。私にとっては当然。失敗なんてありえないんですよ。私が足の速さで負けるなんて、ありえない。陸上の大会だって1位なんですよ?ね?私は凄いでしょ?少なくとも、この学校の100メートルの陸上部は、みんな私よりも遅い。みんな私よりも格下なんです。ただそれだけ。そんな私も混合種目の4×100メートルリレーの選手に選ばれました。嬉しい?そんな気持ちはないですね。だって分かってたんだもん。しかも私、アンカーですよ。この種目は、3年生の先輩方も出るらしいです。1番の最年少は2年の私。さて、

私よりも経験があるくせに、私以下の力の先輩方とチームを組ますか。いいでしょう。他の中学校の3年生の人に勝てればさらに私の凄さが増す。

大会が待ち遠しいですね。

~桜田つぐな、プロローグ終了~

「はい、明日は大会ですね。最後に予行練習みたいな感じで、混合種目であるリレーに出る人は、準備してください。対戦相手はいないけど、本番だと思って頑張ってくださーい。」っという先生。

つぐなはアンカーである第4走の立ち位置へ。

どうやら、一応、1人1人のタイムも測ってくれるようだ。

よーい、バン!

走る合図が鳴った。

第1走の3年の先輩。この先輩は部長だ。流石部長、速いな。っと、思うつぐな。

バトンを受け取った第2走の3年の先輩。

そして第3走の先輩。とうとう私の出番ですか。

私のタイムは、どれだけのもんですかね。っと軽い気持ちで考えていた。

そしてつぐなはバトンを受け取った。

あ、やっぱり私は速いんだ。ただそれだけの気持ちで100メートルを走り切った。

先生は1人1人のタイムを測り終わった後、目を大きく見開き、つぐなの方へ走ってきた。

「桜田さん!凄いよ!桜田さんが1番速かった。3年生の先輩よりも速いんだよ!喜びなよ。」

っと言った先生。

「え!本当ですか?やったぁ!これからも頑張ります。」ただのその場しのぎだ。

つぐなは走っている時に1番自分が速い。と感じていた。いや、もう分かっていたんだ。

そして、やはりこの中学校で1番速いのは私だ。と、自分にさらに自信がついたつぐな。

このままの気持ちで混合種目であるリレーに挑むのだ。


大会当日。このリレーに出る界雷中学校の選手は、「頑張るぞ!」っという円陣を組んだ。

それぞれのモチベーションは最高潮だ。

つぐなも、やる気に満ち溢れている。

やれる。やれる。やれる。私ならできる。

そう思っている。そして、リレーの、アンカーである第4走者の立ち位置へ立ったつぐな。

もう始まるのか。かつてない程の高揚感に、つぐなは、速く走りたい。っと体をうずうずさせていた。

もう、1走の人が準備し終わっている。

「オンユアマークス」

「セット」

バン!

合図と同時に全ての第1走者が駆け出した。界雷中学校はギリギリ1位。

へぇーみなさん、部長にギリギリ負ける位の速さですか。じゃあ私、いけるかもですね。

そう心の中で思うつぐな。

第2走者にバトンが渡された。

ここでも何とか界雷中学校が1位を守り抜く。

しかし、第3走者に渡された時、界雷中学校は、2位になった。しかし1位との差はほんのわずか。

へぇ、私の前で順位が変わりましたか。でも、ここで、この中で1番足が速い私が1位を取って人気をかっさらったらいいだけですよ。さぁ、速く私にバトンを渡してくださいな。ノロマな先輩。

っと心の中で呟いた。そしてとうとう、つぐなにバトンが渡った。

つぐなは2位だった状況からすぐに1位へ!

さぁ、ゴールまであと、6歩です!っと思った時、つぐなの右手からバトンが抜けた。

「え?」その瞬間つぐなの頭は真っ白。

そしてすぐに取ろうとするが、流石、中学校のなかで選ばれた選手たちだ。いくら速いつぐなが、いくら100メートル走の中で差をつけていたとしても、

バトンが後ろの方へ飛び、それを取りに行こうとすれば、当然、選手全員が、つぐなを追い抜いたことになり、つぐな以外の全員がゴールをした。

つぐなは、この走で最下位になり、界雷中学校もこの大会で最下位になった。


「えーっと、反省会を始めたいと思います。」

「「「「よろしくお願いします!」」」」

リレーの試合が終わった後、界雷中学校のリレー選手は、顧問の先生と共に反省会を開いた。

「まぁ、結果は結果だ。しょうがない。リレーの結果は最下位だ。でもお前たちは、今の界雷中学校陸上部ではトップ4だ。そう落ち込むな。」

顧問は優しい目で、両腕をくみ、そう言った。

「解散だ!」顧問のその一言と同時に、選手一同は解散した。

「ねぇ、あれってさ、つぐなちゃんのせいだよね。」

つぐなはバッグを取ろうとしたが、後ろからそんな声が聞こえたから振り返った。

見てみると、界雷中学校のリレー選手3名が、はしっこで固まって何か話している。

「ああ。流石にあれはないだろう。こんな大事な大会であのミスは簡単には許されないぞ。」

「もしかしたら、この中の人が桜田さんと走順が変わっていたら、私たちは1位を取れてたかもね。」

「本当だよ。あんなやつ1人のミスが、全員のミスに響くんだ。」

「最悪。」

その時、つぐなの体に異変が起きた。

~つぐなの心の中~

何?これ。重い、胸の奥がズキズキする。黙れ、

うるさいうるさい。格下共が。私のせい?そんなわけない。私よりも足が遅い奴らが何言ってるんだ。違う違う。ただただ気持ち悪い。

本当は分かってる。自分のせいだって。

本当なら勝てたんだ。でも認めたくないんだ。


あれ?そもそも何で私はこんな状況になっているんだろう?ああ、そうだ、この大会に出たからだ。そういえばリレーに出る前に円陣組んでたっけ。何が頑張るぞ!だよ。綺麗事ばかりだ。

リレーはチーム戦だ。円陣もチームでするもの。

そもそも私がこのチームにいたから迷惑がかかった。何か本当に気持ち悪いから、トイレに行くか。

~つぐなの心の中終わり~

「気持ち悪いな。」

つぐなは無意識のうちにそう言って、トイレへ向かった。トイレ前に、男女の若いカップルがいた。

すると、女性がこう言った。

「あ!さっきバトン落としてた大戦犯の子じゃん!ねぇ、見てみて!ほら、あの子、バトンの子!」っと、右手で彼氏の肩を叩き、左手でつぐなを指さしていた。

「おいおい、やめとけよ。可哀想だろ?」

っと、チャラチャラして言うのはその女性の彼氏だ。

「でもさぁ~あんまり見ないよ?あんな大事な所であんな失敗!」すこし笑いながらそういう女性。

「もしかしたら、あの子以外の子だったら、あの中学校は1位だったかもね。」っと嘲笑う女性。

「やっ、やめとけって。」っと止めようとする男性。

つぐなは走って家へ帰った。信号も見ず、雨が降ったのにも気づかないくらいだ。

家に帰ってすぐ、部屋のベッドに持たれかかったつぐな。

~桜田つぐな、エピローグ~

これが私です。自分よりも弱い人を見下してました。そして、そんな、見下していた人間の足を引っ張ったのです。この時私は分かりました。

私は、自分が見下していた人たち以下だと。

リレーはチームワークが大切。私はチームワークが嫌いになりました。そしてもう私はチーム関連のものに関わらないようにしよう。と思いました。それが私に出来る唯一の償いです。

私のせいでチームが負けました。ごめんなさい。

今までバカにしていてごめんなさい。

ちなみにカップルもチームみたいなものですよね。カップルというのは、みんな、今日私が出会った人たちみたいな者なのでしょうか。

これからはチームというのに関わらない。これが私に出来る唯一の償いです。

~桜田つぐな、エピローグ終了~


時は現在に戻る。

「うぉぉぉぉ!待って、つぐなさぁぁん!」

自転車をこぐ心太。

「ヤバいでござる。ソレガシはもう限界だ。すまぬが先に行ってくれ!」環は疲れて、力尽きてしまったので脱落した。

「おい、あの方向は、商店街の。」っと忍者走りで言っているクルヤ。

「とりあえず、誰か1人でもつぐなに追いつこう!」珍しく真面目な顔の龍馬。

龍馬はこの3人の中で一番足が早い。自転車をこいで走っている心太よりも速く、3人の中で1番前を走っている。

そう、ここは商店街の近く。

1人の女性を追いかける男性3人。

絵面的には捕まるかもしれない。

ここで警備員に見つかった。

「おい君たち、もしかしてあの女の子を追いかけているのか?」

「「はい!そうです!」」即答する心太、龍馬。

「ちょっと署まで来てもらおう。」真顔で3人の前に立ちはだかる警備員。

「「クソ!ここまでか。」」2人が悔しそうに言った時。

「諦めるな。ここは我が引き受けよう。」2人の間を後ろから通り抜け、小声で言ったクルヤ。

「「おい、クルヤ。」」2人はクルヤを止めようとしたがクルヤは、

「念願の女子入部だろ?しかも可愛い女子だ。

死んでも、つぐなちゃんを離すな!」

「おい、君たち一体何を話している?いいから署に来い!」警備員がこっちへ来た時、クルヤは謎のマスクをし、右目を右手で抑え左手を銃の形にして、輪ゴムを用意した。

「我が名は輪ゴムの大スナイパー!マスク・ザ・クルヤ!覚悟しろ警察官!我が相手だ!」っと警備員に立ち向かった。

警備員は、警棒を構えて、

「よく分からんが、公務執行妨害で逮捕だ!」

っといい。

クルヤVS警備員が始まった。


それから10分後、自転車をこいでいる心太と、

走っている龍馬が、つぐなの後ろ姿をやっと見られるまでの距離になった。ところが、

曲がり角の所で2人はカップルとぶつかった。

「痛!なんだぁ?てめぇら?」金髪のリーゼントに、サングラス。ガムをくちゃくちゃと噛んでいる。ガタイのいい男性と、ギャルだ。

「彼ピッピ、大丈夫?」っという女性。

「ああ、大丈夫だ!」っと返す男性。

「てかさ、さっきすれ違った女の子って、大会で見た子じゃない?ほら、バトンの!髪の毛の色が明るかったから、アタシ、覚えてるよ!」っと、男性の肩を叩く女性。

「さぁ?」っと返す男性。

「つぐなを知っているんですか?」っと聞く心太。

「もしかしてあの子追いかけてるの?」っと聞く女性。

「ああ。だからそこを通して欲しい。」っという龍馬。しかし女性は、

「だーめ。普通に通らせるのはつまんない。どうしても通して欲しければ、うちの彼ピッピを倒してから行きなさい!」っと仁王立ちする女性。

「はっ、はぁ~?」っと男性は言うが、女性は、

「おねがぁ~い。かっこいい彼ピッピ見たぁ~い。ボクシングやってたんでしょ?」っと手を合わせる。

「しょうがねぇな。僕ちゃん達、ここを通りたければ俺を倒してから行きな!」っと構える男性。

「そうですか。じゃあやらせていただきますね!」っと言うのは、笑顔で指をポキポキとならせて前に出てきた。心太だった。

「おい、心太。大丈夫なのか?」っと聞く龍馬。

心太は、

「大丈夫。安心しろ。リア充爆発部のリーダーって誰だっけ?・・・そう。この僕。影宮心太だ。リア充爆発部のリーダー。つまり、リア充爆発にもってこいっていうわけだ。だから、ここは僕に任せて先にいけ!」っと言った。

「ありがとう心太」っと言って走ろうとした龍馬を心太は「ちょっと待て」っと引き止めた。

「ん?どうした?」っと振り返る龍馬。

「僕の自転車を使うんだ。」っと言って龍馬に渡した。

「でもこれが攻撃方法何じゃ?」

「安心しろ。」

「わかった。」っと言って龍馬は自転車に乗ってつぐみを追いかけた。

「へぇ~カッコイイじゃん。」っと言う男性。

「あのーひとつ聞いてもいいですか?」っと聞いた心太。

「ん?どうした?逃げてもいいですかって?(( (・∀・) ))ヘラヘラ」

「ボクシング習ってたっていうの本当?」っと聞いた。

「おん。」っと即答した男性。

まじかぃぃぃ!っと心の中で叫んだ心太。

「やっちゃえ彼ピッピ。」この声をゴングに、

心太VSリア充(男性)の戦いが始まった。


自転車でつぐなを追いかけた龍馬は、商店街に来ていた。

「はぁ、はぁ、ここら辺にいるはずなんだがな。」あたりを見回すが、それらしき人影がない。どうしたらいい?龍馬は真剣に考えた。

「そうだ。迷子になっちゃいけないし、とりあえず知っている場所から探そう」っと言って最初に探したのは、初めてのミッションの時に。作戦会議をした角のところだ。

いや。さすがにそれは無いよな。そう思いつつも龍馬は小さな声で、「こんにちは」っと言い、角を覗くと。そこの奥には三角座りをしてうずくまっているつぐながいた。

おいまじか。と思いつつも、そっと、俯いているつぐなの前に来て少し腰を下ろした龍馬。そして、

「やっと追いついたぞ?どうして逃げたんだ?」

っと優しく聞いた。つぐなは

「単刀直入に言うと、私、チームワークとか。そういうのには関わりたくないんです。」っと落ち着いて言った。あ、普通に教えてくれるんだ。っと思いつつ、

「うーん。なんでだ?」っと。空を見て質問する

龍馬。

「私、中学校の時陸上部に入っていたんです。

で、私は足がすごく速かったんです。」

「あー。さっき走ってたから知ってるよ。」

「自分よりも足が遅い人は全員格下だって見下してた。それが中学校の時の自分です。足が速いからって言う理由で2年生の私は、混合種目の100メートル走リレーの選手のアンカーに選ばれたんです。」

「それは良い事だ。」っと頷く龍馬。

「でも本番。私の中学校は1位で走っていたのに、アンカーである私がバトンを落として、私のせいで、私の中学校が最下位になったんです。」

「そうか」

「それ以来、私は、この日のような、チーム戦で私がミスをしないために、そもそもの原因である私が、チームワークなどに触れない。色々な人と関わるであろう部活もやらない。できるだけ被害を減らす。これが私に出来る償いなんです。それに、私は

人を見下していたんです。こんな人間を仲間として受け入れてくれる人なんていませんよ。」服の両肩の所を強く掴み、少し声を震わして言った。

「なぁ、」龍馬はつぐなの方を向いた。

「お前は、自分の失敗を悔やんでいるのか?」

「はいっ・・・悔やんでいます。何度も何度も、あの時に戻れたらいいな。って。戻ることが出来たら、あんな失敗、もうしないんです。」

「そうか。」つぐなの返答を聞いた龍馬は続けてこう言った。

「あの時に戻れたらって言ったな?それは失敗したからこそ言える言葉だろ?失敗から学んでいると考えて、プラスに生きてみるのはどうだ?」っと。

つぐなは

「私だって、失敗をプラスに考えて生きてみたいです。でも無理なんです。私の自己肯定感の低さが原因なのかもしれませんね。失敗して、それが原因でみんなも失敗する。私のせいで失敗する。この繰り返しなんですよ。「私のせい」やっぱりそう考えてしまうんです。」っと言う。

「失敗が原因でまた失敗が続くか。昨日の俺のドミノみたいだな。」少し笑いながら言った龍馬。

「ドミノ?」っと、少し疑問に思い、首を傾げたつぐな。

「ああ。昨日、俺は100個のドミノを並べていたんだ。そしてついに100個目を並べた時に、日野咲先生に倒されてな。そのドミノから次のドミノへ。っというのが繰り返され、ついに全てのドミノが倒れたんだ。」っと昨日のことを語り始めた龍馬。

「後から心太に教えてもらった事なんだが、俺が日野咲先生を怒らせるきっかけになり、ドミノを倒された。っという事らしい。先生を怒らせたのが俺の失敗。その失敗から。ドミノが倒された。それが第2の失敗だ。その時俺は、先生を怒らせるのはやめておこう。と学んだ。」何かを思い出すように言った龍馬。

「あの、すいませんさっきから何が言いたいのか分かりません。もう単刀直入に言って頂けますか?」

痺れを切らしたつぐなが、少し不機嫌そうに言う。

「そうか、じゃあ言ってやる。よく聞け。」

龍馬はここで大きく息を吸い、大きな声で言った。

「昔の罪なんか、償わなくても良いって言いたいんだよ!」

いきなりの大声と、償わなくても良いという、これまでのつぐなの行動を否定するような言葉。

つぐなは驚いて、龍馬の顔を見た。

「いきなりすぎてよく分かりません。」驚きつつも、これは、今までの自分の生き方を否定されている。

と感じたつぐなは、少々勢いをつけて言った。

「俺は、馬鹿だ。だから今から言う事は無理矢理感があるかもしれない。だが、黙って聞いてくれ。」そう言った龍馬は、1度目を閉じ、3秒程経ってからもう一度目を開き、言い始めた。

「やってしまった失敗は取り消せない。だが、その時に感じるのはなんだ?悔しい。悲しいなどのそんな気持ちだけか?いや、違うだろ。あの時に、戻れたらこうしている。っと言う学びもあるだろう。これは失敗をしたからこそ得られる学びだ。さっき言ったドミノの件。先生に倒された後には続きがある。あの後俺は美味しいチーズを先生から貰ったんだ。今の俺は、あの時失敗して良かったと思っている。失敗のおかげで美味しいチーズが食べれたからな。」

龍馬は息継ぎをして、続けてこう言った。

「失敗は絶対にいらない。という訳では無いんだ。失敗のおかげでできた、いい思い出もあるんだからな。つぐなはどうだ?」っと問いかけた龍馬。

「え?」つぐなは首を傾げた。

「つぐなは、その大会で失敗したことがきっかけで部活をしていなかったんだろ?じゃあ、もしもその大会で失敗していなかったら、部活をしていたかもしれない。そうなると、俺たちはつぐなに会えなかったかもしれない。どうだ?失敗したからできたいい体験だろ?つぐなが俺たち、リア充爆発部に会いたくなかったのなら話は別だがな。」頬を人差し指でかき、少し笑いながらそう言った龍馬。

「そんな、私は別に会いたくなかったなんて思っていませんよ。」っと返すつぐな。

真剣な顔に戻った龍馬は、つぐなの両肩に手を置き、こう言った。

「つぐな、お前は、罪を償うんじゃない。人生を楽しむんだ。失敗を楽しむんだ。失敗していいんだ。」

そう言った。

「え?」つぐなの心は真っ白になり、何故か、その言葉を聞いたつぐなは涙を流していた。

「あれ?なんで涙なんて。」っと、涙を拭ったつぐな。

~桜田つぐなの心の中~

なんで、こんな時に涙がでてくるの?心に響いているのかな?さっき言われたばかりの言葉が?・・・

そうだ。私は誰かに言って欲しかったんだ。

今まで避けて来た失敗を、もう避けなくても言いよって。失敗してもいいんだよって。

罪を償おうとしなくてもいい。罪なんてないって。

~その時脳をよぎった記憶~

私よりも格下。そう思って走っていた時の自分。

リレー後に、つぐなのせいだ。っと端の方でコソコソと話していた3人。

トイレの近くで、戦犯と言った女性。

~その時脳をよぎった記憶終了~

もう、私は失敗に怯えなくてもいいんだ。

失敗してもいいんだ。

私も、他の人みたいに、人生を楽しんでもいいんだ。

~桜田つぐなの心の中終了~

「うわぁぁぁぁん!ヒグッ、ヒグッ。」

涙が一気に出てきて、それと同時に泣き叫ぶつぐな。

何度も何度も手で涙を拭うが、なかなか止まってくれない。

「お、おい、大丈夫か?」っと声をかける龍馬だが、

それでもただただ泣きじゃくっている。

数分後、つぐなは泣き止んだ。

目元が赤くなっている。

「なぁ、一応つぐなが部室に来る前に心太から話は聞いている。なんでもするって言ったんだろう。強制はしない。どうだ?リア充爆発部に入るか?」

っと聞く龍馬。

「私が入ったら迷惑しませんか?一応私は昔、人を見下していた人間ですし、自分が悪いと思い込んで暴走する人間ですよ?」っと少し笑顔で龍馬の顔を見てそう聞いたつぐな。

龍馬は目の前で両手をぶんぶんと振りこう言う。

「迷惑だなんてとんでもない。それに、人を見下していたのは昔で、今は違うだろう?今のつぐなを俺は見ているんだ。それに、性格や行動はすぐには変えられないよ。」っと。続けてこう言った。

「それに、性格にクセがある部員は他にもいる。

人の弱点を見つけたら、それを遠慮なく使おうとするリーダー。自分の事を我と呼び、一見普通そうだが、戦いに使う武器が輪ゴムの、厨二病のアホ。

まるで武士のような口調のストーキングマスター。

酒の勢いで怒ったら、人の努力の結晶を潰してくる顧問の先生。どうだ?楽しそうだろう?」っと笑顔で言った龍馬。

「はい。本当に。」笑ってそう答えたつぐなは続けてこういった。

「正式に、リア充爆発部に入部させてください。」

「もちろんだ!」っと言った龍馬は、立ち上がり、

地面に座っているつぐなに手を差し出した。

つぐなは、「ありがとうごさいます。」っと言ってその手を掴み、立ち上がる。

「あ、そうだ、心太とクルヤに電話する。」っと言い、2人に電話をかけた。そして、2人につぐなが入部することを言った龍馬は、笑顔で、

「2人乗りした事あるか?」っとつぐなに聞き、つぐなは「いいえ。」っと答えた。

「じゃあ、やってみるか」

「はい!もちろんです!」

そう言って、2人はリア充爆発部の部室へ帰った。

もうその時は夕方で、背景もオレンジ色になり、夕焼けが出ていた。

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