非モテ非リアの男!現れます!
舞台は何の変哲もないただの町。ただの住宅街。
日付は4月20日
2軒の向かい合っている家が建てられている。 時間は高校生達が登校を始めるぐらいの時間だ。
そして、ガチャリっとその家のドアが同時に開いた。
一軒の家から出てきたのは、高身長でスラッとしていて凛々しい雰囲気で誰もが一目見て思うだろうイケメンの男子高校生。 もう片方の家から出てきたのは
バランスの良い体型で上手く束ねられたきれいなポニーテールの髪に小動物のような守ってあげたくなるような雰囲気の誰もが一目見て思うだろうカワイイ女子高校生 そう、2人は付き合っているのだ。現に言うお似合いカップルというものだ。
2人は同じ高校の制服を着ている。これから一緒に登校するところだ。イケメン男子がこう言った。
「おはようマイハニー❤今日もきれいな髪だね。」
「ヤダもうダーリンってば♥ダーリンもカッコイイ」
「ハッハッハ当然当然。さぁ行こう僕たちの学び舎へ」
「ええ、行きましょう。今日も素敵な1日の始まりよ!」
そう言いながら、2人は手を繋ぎ始めた。
そうこの仲良しカップルが。
この美男美女カップルが。
このお似合いなバカップルが
この物語の主人公!
ではなかった。
この物語の主人公は、カップルが手を繋いでいることによって塞がれている真ん中。そこを通り抜けようとして、段々と後ろから自転車をこいでいる男子高校生
特徴がないのが特徴と言ってもいいくらいの見た目だ。 身長は高いわけでも低いわけでもない。
髪型も特徴的では無い。これがこの物語の主人公だ。
今、この主人公はカップルが歩いているところの真ん中を突っ走ろうとしている。しかも同じ高校の生徒だ。
「うぉぉぉ道を開けろォォこのキモキモリア充カップルがァァァァ!」っと叫びながら猛スピードで自転車をこぐ主人公。
「うお!何だ?」
「キャァァ!」
っとお互いが驚いて、手を離したカップル。
その間をすかさず走り抜けた主人公。
この男。まぁまぁのクズなのかもしれない。
そしてカップルの目の前には自転車を止めて仁王立ちで立ちはだかる主人公。
「おい!君はなんなんだ!俺とマイハニーの朝の儀式を邪魔して!謝ってもらいたいね!」
っと言うイケメン男子。
「そうよ!謝ってよ!ダーリンと私に!」
っと顔をしかめるカワイイ女子。
「何がマイハニーだよ馬鹿馬鹿しい。君にはいったい何人のマイハニーがいるのかねぇ?」
っと煽るようにイケメン男子に向けて言った主人公。
カワイイ女子は「ん?」っと言った(๑°⌓°๑)ポカ-ン…っとした表情だ。
当のイケメン男子はと言うと。
「何を言っているのかさっぱり分からないな。」
っと何も知らない、涼しい顔だ。
「知らんぷりするつもりか。ねぇねぇ彼女さんこれあげるよ。見てみな」っとカワイイ女子に封筒を渡した主人公。
カワイイ女子はその封筒の中身を見た瞬間
「何?これ?」っと一瞬目が冷めて、声も掠れた。
続けて
「なんで、ダーリンが写真1枚1枚につき、1人の女性と一緒に、それも別々の女性といる写真が5枚もあるの?しかもその中の1枚は私なんだけど。」
「知らないよ。俺そんなの知らないよ」
と、しらばっくれるイケメン男子
「おいおい!しらばっくれるなんていう王道展開は求めてないぜ?」
っと言う主人公。主人公は続けてこう言った。
「もう言っちゃえよ。その子に。自分は五股野郎だってな!」ドヤ顔でそう言った。
イケメン男子の顔は、もう汗がダラダラだ。
修羅場だぁぁ!逃げてぇぇ!バックれてぇぇ
そう心の中で叫んでいる。
カワイイ女子の顔はもう真顔のまま。
「ねぇダーリン。これ本当なの?本当だったらもう私たちおしまいね。」っとドラマで聞きそうな別れの言葉を言った。
しかしそんなので諦めないのがこの五股男だ!
鼻水は出るわ、涙は流れ出るわ。元のイケメンなんてどこへやらな顔になって叫んだ。
「待ってくれぇぇ!もう、君だけにするからァァ!頼むよぉぉ、別れないでぐれェェェ!愛じでるがらァァァァ!」
5秒程の間があった。その後、カワイイ女子はこう言った。
「そう。やっぱりあなたは五股野郎だったのね。」
「・・・え?」っと泣き止んだ五股野郎。
「写真だけならまだ挽回の余地があったかもしれない。でもあなたはさっき自分でこう言った。」
ここで大きく息を吸ったカワイイ女子
「待ってくれぇぇ!もう、君だけにするからァァ!ってね。それって自分で認めたようなものでしょ。」
冷めた目で地面に頭をこすり始めた五股野郎を見た。
人間、人生がかかった瞬間、ボロが出るものだ。
「じゃあね。私以外の4人と仲良くしなさい。今までありがとう。さようなら。」っと五股野郎の右頬にビンタを食らわした。
そして、カワイイ女子は1人で学校へ向かった。
その後ろ姿を見るや否やもう何かを諦めたような声で五股野郎はこう言った。
「待ってくれよぉぅ。君と付き合いを続けるために、君の要求である、ダーリン、ハニー呼びをしてたんだぜぇ。そんなの理不尽だろうがよぅ。実はちょっと抵抗あったんだぜ。」( ´•ω•` )こんな顔をしている。
「いや!どこからツッコもうか!」
っとその五股男のあまりにも衝撃的な反省の色が見えない言葉に、主人公は驚きが隠せなかった。
てかまず( ´•ω•` )この顔何?笑笑
どうやってるんだろう。後で教えておう。っと心の中にこの言葉を閉じ込めている主人公。
まぁ元々は自分がまいた種だ。何とかしないと後味悪いな。っと思い、五股野郎にこう言った。
「おい、前を向け」
「え?」っと主人公の方を見た瞬間五股男の左頬に痛みが走った。
主人公が殴ったのだ。殴った衝撃で主人公の右手には
鼻水びちゃびゃ!涙が地面にポロポロと落ちた。
うわーやっちまった。汚いし。やりすぎたかなぁ?
なんかごめんね?と謎の罪悪感に包まれた主人公のこころ。
殴られた五股男の顔は、さっきのビンタのこともあって、両頬が腫れている。
( ・)Д(・) こんな感じの顔だ
「何をするんだよ。」っと言った5股男
主人公はすかさずこう言った。
「お前は!すげぇやつだ!彼女の1人失ったぐらいで何へこんでやがる!お前は5人の女性と付き合ってたんだよな!じゃあまた近いうちに彼女が出来るかもしれないじゃん!その子に5人分の愛を注ぎ込めよ!」っと熱のこもった力強さ
しかしそれじゃあこの五股男の心には通じない。
「そんなの当たり前じゃん別にすごくもなんともないよ」っとそっぽを向く。
主人公はすかさず言い返した。
「いいか?よーく聞け!僕はな、彼女が一度も出来たことないんだよ。それに対してお前は5人も作った。僕は0。お前は5。お前はな僕の5倍スゴイって言うことなんだよ。当たり前だと?ふざけんじゃねぇ!」
ここで呼吸を整える。ここがこの主人公の、この瞬間の決めポイントだから、しっかりと状態を整えた。
「てめぇの普通で、てめぇの物差しで勝手に僕を図るんじゃね。てめぇの物差しで僕という人間を図れると思うなよ。」
ここでドヤ顔o(`・ω´・+o) ドヤァ…!
五股野郎はポカーンとしている(゜д゜)
「ハハッなんかすげぇやお前。よく意味が分からなかったけど。なんか凄いって言うことだけ伝わった。
ちょっと頑張ってみるよ。」っと前を向き、立ち上がったイケメン。立ち直るのはや過ぎない?脳みそ情報処理するコンピュータでも入ってるの?と聞きたくなったが、面倒臭いしやめた。それを聞く代わりに、
「おうよ!」っと言う。謎の達成感に包まれた主人公。
「なぁ?最後にさ、お前がやってた顔芸のやり方教えてくんない?」っと言った主人公。
「顔芸?」っと首を傾げるイケメン。
「ほら、あれだよ、さっきお前がショボーンってしてた時の顔!」
「ああ!あれか任せろいくぞ!( ´•ω•` )どうだ!」
「その顔で何か言うのやめてくれよ。」っと笑う主人公。そして主人公は
( ´•ω•` )のやり方を習得した!!
じゃあな。っとお互いに別れの挨拶をすると、主人公が先に学校へ向かった。
清々しい気持ちになったイケメンは空を見てさっきの出来事を思い出していた。
なんかスッキリしたわ。っと思っている。
しかしふとこう思ってしまった。
あいつのおかげで清々しい気持ちになれたけど、あいつが来なかったら俺はあの子と別れなくてすんだんだよなぁ。
なんか嬉しいけどさみしい。複雑な気持ちだぁぁぁ。
まぁいいか!っと思った。
一方その頃の主人公はというと。
お前はな僕の5倍スゴイって言うことなんだよ。
てめぇの物差しで僕という人間を図れると思うなよ。
この2つの言葉を頭の中でリピートしていた。
あの時の僕はかっこよかったな。僕自身はぶっちゃけ深い関わり無かったけど、まぁいいや。あれは、五股したあいつが悪いな。写真は部活動でもらったものだしな。そう考えている。
あ!今思えば僕の5倍スゴイじゃなくて。僕は0人あいつは5人。僕のプラス5スゴイって言うべきだった?
よく分かんねぇや。まぁ瞬間的にあそこまで喋れたんだから上出来上出来。
脳内反省会の真っ最中だ。
この物語は非モテ非リアの主人公、影宮心太を中心とした物語である。