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不道徳教育のすゝめ  作者: 山内
7/16

運命のすゝめ

 私の手帳にこんなメモが残されておりました。


「運命とは必然的な出来事の総称なのか、偶発的な出来事の別称なのか」


 いつ書いたのかも判然としないし、本当に自分が書いたのかも定かではありませんが、なかなかいい言葉であると感心しました。今回は私なりに「運命」という物について考えてみようかと思います。


 自己啓発本だとかスピリチュアル本だとか、胡散臭い書物でよく見かける「運命」という文字でありますが、恐らくはペテンを生業とする人間が好む言葉なのでありましょう。


 私は「運命」という言葉が大嫌いであります。街で運命論者を見つける事があれば、不意をついて顔面を殴り飛ばして、奥の歯が無くなる運命を受け入れさせてやろうと企てております。それ程に「運命」を憎んでおりますし、運命に甘んじた人間を嫌悪しております。



 私は運命を憎む運命なのでしょうか?

 答えは否であります。



 運命という言葉を聞くと、将来の成り行きや未来についてを連想する方が大半でありましょうが、私の場合は全く違います。



§~○☞☆★†◇●◇†★☆☜○~§


運命とは過去に起きた出来事の詩的表現である。

運命とは事象の結果や現状を受動的に観測する為に使う言葉である。


§~○☞☆★†◇●◇†★☆☜○~§



 この文章を見て、読者諸賢の皆々様は何を思われたでしょうか?

 もしかすると、聡明な皆様には私が何を伝えたいかも解ったのではないでしょうか?



 辞書で「運命」と引けば、恐らくは未来を表す言葉と書かれているでありましょうが、私に言わせれば「運命」とは過去を表す言葉に思えてしまいます。


 私も「金持ちになる運命だ」等と言って、ポジティブな未来に胸を馳せたいですが、実際は「貧乏に生まれる運命だ」と悲惨な現状、あるいは過去を詩的表現する他ありません。未来の運命なんて、所詮は虚言でしかないのではないかと愚考いたします。


 やはり、私は運命という言葉に将来性を感じません。

 次は「運命」という言葉を、結果論として使っている事例を紹介致します。


「これ『は』運命だ」

「これ『も』運命だ」


 前者は突然の幸運に巡り合わせた事象を正当化する文章で、後者は不幸に見舞われた時の言い訳、あるいは諦めを意味するのではないでしょうか。これら二つの共通点は、どちらも前向きで受動的だという所です。


 運命という言葉は人を受け身にさせます。

 私はそれが気に食わないのです。


 能動的に何かを勝ち取った人間が、努力だけでは届き得なかったであろう事象を、運命という言葉で形容するパターンもあるでしょうが、それは「命」の部分を取り除くべきであります。ただ単に「運」が良かったと言うべきで、運命などと詩的に表現するべきではありません。



 碌でもないない駄文を長々と綴りましたが、私が言いたい事は一つだけであります。


『未来は運命で決まっていない』


 ありふれて使い古された文章ですので、恥ずかしくてなかなか言い出せませんでしたが、私が伝えたかったのはそれだけであります。可能性が広い未来を運命に託すのではなく、過去や現状を前向きに捉える言葉として運命を利用して頂きたく思います。


 かくいう私も「運命」という言葉に逃げたくなる時があります。しかし、未来を放棄してはいけません。運命に争う運命にすら争って頂きたい。何もかもを運命で終わらせてはいけないのであります。運命という言葉に甘えて未来の妄想に期待したり、不変的な現状を運命と形容して自己の責任を放棄するのは、絶対にあってはならない事でありましょう。人生を能動的に楽しみ、失敗から学ばず物事を楽天的に片付けない為には、運命などという訳の解らないものに逃げてはなりません。




 このままではタイトルと内容に相違が御座いますので、最後にこれだけ言わせて頂きたく存じます。


 貴方様がこの文章を読んだのは運命であります。

 そして、これからも私の書く文章を読み続ける運命です。

 貴方と私は運命の糸で結ばれているのですから。

 私達は運命共同体です。 


 どうやら私も胡散臭い文章を書く気色の悪い人間の一人らしい……

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