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不道徳教育のすゝめ  作者: 山内
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完璧なセルフディフェンスのすゝめ

 今回ここで私が啓蒙するセルフディフェンスとは、武道や護身術に準ずる内容ではなく、精神的な自己防衛術の提唱で御座います。肉体的なセルフディフェンスを学びたいのであれば、私のような骨川筋右衛門に教えを乞うのではなく、ユーチューブに上がっている、クラヴマガや田村装備開発の動画でも見て勉強する方が有意義でありましょう。


 平和な現代社会で生きていくのに必要なのは、精神的な自己防衛術であり、戦争や恐慌はなくとも自殺率が増えている現実こそが、その裏付けとなり得ましょう。


 戦闘機や疫病や飢餓に恐れる事のない私達が、可視化できない傷に目を向けてしまうのも無理からぬ話で御座いまして、サバイバル的観点以外でも、生き残る為の自己防衛術が必要なのは明白で御座いますが、それを提唱する媒体の多くが、具体性を欠いた精神論を説いており、本格的な方法を全く示しておりません。


 故に、私の出番がやって来たという訳で御座います。読者諸賢の皆々様にも、私が行っている完璧なセルフディフェンス方法を知って頂き、可能であれば実践して頂きたく思います。


   ♢


 平和な世の中では肉体的なタフさだけではなく、精神的な丈夫さが重要視されておりますが、目に見えない傷がどれほど自分に致命傷を与えているのかが判然としないまま、周りからの攻撃に耐えるなど、いささか不利すぎるかと思われます。


 私が提唱する完璧な精神的自己防衛術とは、攻撃を受けた時の対処法ではなく、いかに攻撃を受けないかを考える方法で御座います。受けた傷を癒すのではなく、傷を受けないように立ち振る舞う事こそ、可視化できない傷から身を守る最善の方法でありましょう。


 自分の身は自分で守るしかないと言う大前提がある訳で御座いますが、世間一般の皆々様が行っている危機管理とやらは見当違いも甚だしく、私からすれば皆様が自ら窮地に立っているようにしか思えてなりません。


 読者諸賢の皆々様には、人間と関わること自体がリスクなのだと、いい加減に気付いて頂きたく思います。


 信用できない人間と付き合い、信頼できない人間と関われば、裏切られるのなんて当然でありましょう。嘘を吐く人間と会話をし、他者への配慮に欠ける人間に心を開けば、自分が傷付くなんて解りきっているのであります。


 そんな輩共を自分の側に置くなど自殺行為に等しいと愚考致します。人間は利己的です。人間は裏切ります。全ての人間がそうとは限りませんが、どれだけ聖人君子であろうとも、状況次第では自己を優先するのです。どれだけ献身的で自己犠牲を厭わない性格の人間でも、時と場合によっては脳と心を制御出来る訳もなく、予測不能な行動を起こしてしまうものでして、その事象は貴方様を酷く痛めつけること請け合いであります。


「人間が抱く全ての悩みは人間関係である」


 こういった文言を読者諸賢の皆々様も一度は聞いた事はあるでしょうし、少なからず共感する方もいらっしゃるのでしょう。かの有名なアドラーという方が残した言葉だそうですが、これを聞いた大半の方々は、人間関係を経つのは難しいと考えてしまうのでありましょうし、原因が解っていながらも解決策が判然としないという、やきもきする状況に苛まれているのでありましょう。


「全ての喜びもまた対人関係である」


 果たしてそうなのでありましょうか?

アドラーという方が健在だった時代はどうか解りませんが、現代では人との関わりを絶って生きるのも不可能では御座いませんし、それを証明する為に体現しているのが私なのであります。人間との深い関わりを絶っても、寂しさを全く感じない事こそが、インターネット最大の恩恵であり、それを利用しない手は御座いません。



 完璧な自己防衛とは、人間との『深い』関わりを断つ事にあると断言致します。私は病気にでもならない限り、精神的な防御面では無敵であると自負しております。


 誰とも話さないから誰からも傷付けられませんし、誰とも関わらないから誰かと比較して不幸に酔うこともありません。誰も私のことを知らないですし、私だって誰かのことを知ろうと思いません。


 全てが自給自足です。人肌が恋しければ自分で自分を抱けばいいのですし、性的な欲求が我慢出来ないなら右手で慰めればいいのです。誰かと話したくなればフィギュアに語りかけて、誰かに恋をしたいのであればモニターにキスをする。それの何が悪いのでありましょう?

これらの行為は現実世界からの逃亡ではなく、崇高で達観した尊ぶべき行いである。


 読者諸賢の皆々様も私のように孤独な生き方を実践して頂きたい。孤独を恐れるのは確立した自己が無いからであり、確立した自己こそが孤独を呼び寄せるのであります。


 孤独に生きる事こそ、完璧な自己防衛であります。

 今すぐにでも、他人との深い関わりを断つべきである。


 こういった事を力説しておりますと、同情の眼差しを向ける輩も存在します。しかし、そう言った輩を見て頂きたい。大した事のない人間関係に一喜一憂して、交差した下らない感情は、死亡事故をも起こしかねないぶつかり様である。


 確かに私のような人間を理解出来ない方は一定数おりまして、いくら多様性と言われる時代であっても、なかなか認められないマイノリティーなのは事実で御座います。


 しかし、引きこもりの何が悪いと言うのでありましょうか?


 亀を甲羅から引っ張り出して満足する輩は、甲羅を失った亀の行く行末を想像出来ない阿呆だけである。


 もう誰も私に構わないでくれ。

 私は貴様らとは次元が違う。

 私は2次元に生きる。

 人類は4次元化ではなく2次元化に舵を切るべきだ。


 誰も何も私に文句を言わないで頂きたい。私は一人で生きていけるし、一人で死ねるのだ。引きこもる私を放っておいてくれ。


 ぁあ、寂し。




※この文章を綴ったのは平成の終わり頃であり、令和となった昨今の話では御座いません。現在の不安定な社会情勢を鑑みれば、本格的なセルフディフェンスにも着目して頂きたく思います。読者諸賢の皆々様に愛と平和を。ラブアンドピース、山内。

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