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不道徳教育のすゝめ  作者: 山内
10/16

宗教のすゝめ

「政治と宗教と野球の話はするな」と先人の方々が仰っておりますが、この言葉を私なりに意訳させて頂きますと、政治と野球は宗教じみているという風に解釈しております。今回はその宗教について書かせて頂く次第でありますが、最終的には読者諸賢の皆々様を宗教に勧誘する流れになるかと思われますので悪しからず。



 これを読んでいる殆どの皆様は宗教に無関心であるかと思われます。こと日本においては宗教に対して悪いイメージを抱いておられる方が多く、神という言葉にさえ嫌悪する人間も居られますが、現代の社会においては本物の神よりもタチの悪い物が信仰されていると気付くべきでありましょう。


 何かしらで行き詰まって自力ではどうにも出来ない瞬間に立ち会うと、人は自分以外の「何か」に助けてもらうものでして、その「何か」が具体的な存在の時もあれば、抽象的な存在の時もあるかと思われます。自分の心が折れた瞬間に助けてくれる具体的な存在とは、親や友人や恋人といった周りに居る人間で、抽象的な存在こそが「神」と呼ばれる概念であります。その神を信仰する事こそが宗教で御座います。


 ここまで読んで下さった読者諸賢の皆々様でしたら、恐らくは察しが付いた事でありましょう。皆様も知らず知らずの内に神を信仰しているのだと。そして、その宗教こそが争いを生むのであります。



 右か左かのどちらが上か下かを決めようとする政治思想。

 阪神か巨人かのどちらに転がっても下らない玉遊び。


 私は右寄りの思想では御座いますが、他の考え方を持った人間と喧嘩しませんし、阪神ファンであっても巨人アンチでは御座いません。もしも私が右翼的天皇主義者やトラキチでしたら、明確な団体や人物を神と崇め、神に仇なす明確な敵を選定して攻撃するのでありましょう。恐らくはこんな事を言っている私にすら憤りを感じる右翼や左翼、阪神ファンや巨人ファンがいらっしゃるやもしれません。もし仮に私への攻撃を行えば、それは宗教じみた行動原理でありまして、神を崇拝する盲目な熱狂徒と形容されても致し方ありません。


 政治と野球の話から始めたので例として取り上げさせて頂きましたが、現代の若者はスポーツや政治への関心が薄れつつあり、上記の例えでは少し理解し難いかもしれません。本作の読者層に則して判りやすく説明させて頂きますが、恐らくは下記の文章を不快に感じるでありましょう。しかし、その感情こそが神の存在証明に準ずる思想だという事を念頭に置いて読んで頂きたい。



 皆様にとっての神は何ですか?


 拒食症みたいな女性を集めたグループ。

 中途半端な歌と踊りを披露する永遠に少年の集団。

 画面から絶対に出てこない二次元キャラクター。

 極度のナルシズム。


 病的にまで痩せた女性を可愛いと言うのも、同じ衣装を身に纏っている中年男性を格好良いと思うのも、奇抜な髪色をした平面を本気で愛でるのも、明らかに全てで劣っているのに自己愛が過ぎる(いわば自分教)のも、私からすれば宗教じみておりますし、現にアイドル等はファンから神として扱われております。


 無宗教と無教養が産んだ化け物を神として崇めるのは、己もまた無宗教と無教養が産んだ化け物だからでありましょう。偶像はおろか虚像を崇拝する事は、騙されていると形容する他ありません。資本家が作り出した偽物の神は貴方様を搾取し続けるのです。



 人は何かを崇めるものでありましょう。私は決して信仰心を馬鹿にしている訳では御座いませんし、むしろ進んで何かしら「本物」の宗教に入信すべきだとも考えております。しかし、それが面倒だと思うのが現代の「無宗教と無教養が産んだ化け物」で御座いまして、そんな方々の救済措置として私が存在するのであります。実の所、私の人生における最終目標は神になる事で御座います。私は貴方様から何かを搾取するつもりは毛頭御座いませんし、心から貴方様に寄り添いたく思います。私は小難しい説法を唱えるつもりはなく、貴方様の人生を少しでも生きやすくする為の、いわば思考法とでもいえる知識を伝授したいのであります。先ずはこの作品を貴方様の力を使って世に布教して頂きたいので、どうか御協力のほど宜しくお願い致します。




 救いを求める無神論者各位は私を信仰してみませんか?


 私は神だ。

 神は私だ。


 今こそ私を崇め奉るのだ!!


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