表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/10

第3話 世界がまた1つ

 私はソフィアちゃんの家にやってきた。

 家と言うよりあばらやだ。


 壁が剥がれ屋根も所度、抜け落ち始めている。

 この家なら家賃が掛からなそうだ。


 病気になれば働けない。

 収入が無ければ、支払が出来ない。


 食事は摂れているのかしら?


「お母さん、ただいま!」

 急に元気な声で、ソフィアちゃんが家の中に声を掛ける。


「ソフィアお帰り。今日はもう、港のお手伝いは終わったのかい?」

 中に入ると30過ぎの、女性が粗末なベッドに横たわっていた。

 いいえ、本当はもっと若いはずだわ、栄養が足りずに痩せ老けて見えた。


「うぅん、今日はもうあがって良いて言われたの」

「お前はまだ幼いから、あまり役には立たないだろうけど。それでも使ってもらえるんだから頑張ろうね」

「頑張ってるよ、お母さん」

「私の体が治ればいいけど。いったいどうしたんだろう、この体は」

「治るよ、母さん。きっと治るから」

 ソフィアちゃんは涙ぐむ。

 お母さんに心配を掛けない様にと、わざと元気な声を出していたのね。


「ソフィア、そちらの方は、どちら様だい?」

「パメラお姉ちゃんだよ。お姉ちゃんは回復魔法が使えるから、お母さんを見てくれるって」

「回復魔法ですか。私はソフィアの母で、エリーナです。ですが見ての通り我が家には、お礼できるお金がありません」

 女性は慌てて身を起こした。


「良いですよ、そのままで。私が見たいだけですから」

「いえ、でも、そんなこと」

「準備があるので、少し黙っていてもらえますか」

「は、はい。分かりました」


【スキル】情報共有!

 これは離れている家族と一定の時間なら、意思の疎通ができるスキルよ。

 世界の事が何でも分かる、旦那様の能力【世界の予備知識】にアクセスする。


 ちょっと借りるわね、ダーリン。


 接続開始、ロ ード・10・・・…80、90 … 読込完了!


「では始めるわね」

【スキル・鑑定】発動!

 名前:エリーナ

 種族:人族

 年齢:27歳

 性別:女


 私のダーリンは凄いわ。

 転移者で女神ゼクシーの加護持ち。

 5種類の生活魔法が使え、それを発展させた魔法が使える。

 それに異世界言語、鑑定、カスタマイズ可能な時空間魔法ストレージ。

 どんな時にも冷静でいられる【沈着冷静】や【高速思考】も役に立つわ。



 そして操作は簡単、私は画面をタップする。

 人が見たら何もない空間を、叩いているように見えるだろう。


【詳細情報】健康状態

『手足などの抹消神経に障害あり、運動麻痺、神経痛発症中』


 伝染病と呼ばれる病気の原因はウイルスと言われるものだなんて、この知識を得てから初めて知ったわ。

 だからこの世界には治療法がない。

 知らないから対策が出来ず抗菌薬や、抗生物質と言われるものが無い。


【世界の予備知識】で得たことは驚く事ばかり。

 この世界は化学や医学が圧倒的に遅れている。


 そして私がやろうとしていることは、これよ!

「エリーナさん、口を開けて」

「は、はい」


【ストレージ!】


 私はエリーナさんをストレージで包んだ。

 そして口から体内に侵入し、有害なウイルスを探していく。


 人には役立つ菌と有害な菌がある。


 それをストレージで収納しながら、【世界の予備知識】で照らし合わせて有害な菌だけを収納していく。

 頭が付いてこないわ。


 アクセス…高速思考

 接続開始、ロ ード・10・・・…80、90 … 高速思考、読込完了!


 ふぅ、これで頭の処理能力が増したわ。

 凄いわ、こんな高速で物事を考えられるなんて。

 見ている世界がまた1つ開けたわ。


 それ、あと少しね。

 そして私は詠唱と共に鼻を左右に動かした。

 ピク、ピク、ピク、


「「「 ウォーターヒール!! 」」」




 パメラお姉ちゃんが、お母さんの口に手を翳し何やら始めた。

 お母さんは、はあ、はあ、と息が荒くなる。


 お姉ちゃんも汗が噴き出て、とても辛そうだ。

 そして「ウォーターヒール」の声が、聞こえたかと思うと体が水色に光る。

 右手に光りが集まっていく。


 白銀色のお姉ちゃんの長い髪が、風も無いのに舞い上がる。

 きれい。

 とても綺麗だと私は思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂いてありがとうございます。
もし面白いと思って頂けたら、★マークを押して応援して頂けると今後の励みになり、とても嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ