表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/10

第10話 聖女

「ただいま」

「お帰り、パメラお姉ちゃん」

「はいこれ」

 そう言って私はサーベルウルフを倒した、お金の半分をソフィアちゃんに渡した。

「パメラお姉ちゃん、こ、こんなに」

「そうよ52万の半分だから26万よ」

「パメラ様、そんな大金を頂けません」

 お母さんのエリーナさんが、慌てている。


「いいのよ、これを出直す資金にしてね」

「しかし体が治っても、私は肉体労働が苦手で」

「じゃあ、簡単な料理はできる?」

「ええ、もちろん出来ます。主婦ですから」

 ドキ!パメラは全くできなかった。


「では教えるから、作ってみてね」

 パメラはストレージから、雑貨屋で買ってきた寸胴鍋を出した。

 そして海辺で拾ってきた昆布を、ストレージを使い時間を加速させ乾燥させた。

 時空間魔法のストレージは、時間を止めるだけではなく加速させることもできる。

 普段なら何の役にも立たない能力だけど、料理にはいいわね。


 まず寸胴鍋の中に昆布を切って入れた。

 その中に水魔法で水を入れ鍋に火を点ける。


 しばらくすると気泡が上がり、お湯が沸いて行く。

 そしてナイフで赤身魚の燻製を削っておく。

 鰹節だ。

 

 そして鰹節を入れる。

 沸騰した瞬間、昆布が開き鰹節が鍋の中で舞う。


 すぐに火から下ろし、それを別の鍋に濾す。

 これで出来上がり。



「これはな~に。パメラお姉ちゃん」

「昆布と鰹ダシよ」

「ダシ?」

「まあ、飲んでみて」

 ソフィアちゃんとエリーナさんは、鍋から汁をカップに入れる。

 一口飲むと

「美味しい~」

「美味しいわ!」

「これがダシと言うものです」

「こんなもので、こんな美味しいものが作れるなんて」

「材料は海辺で拾ってきた乾燥させた昆布。そして赤身の魚の燻製よ。昆布は無料、赤身の魚の燻製も、需要が無いからとても安いわ」

「そうですね」

「この中にタマネギなどの野菜をスライスして入れたり、原価の安い赤身魚を入れて低価格で販売するのよ。そうすればみんな飛びつくわ」

「そうかもしれませんね。屋台でやって行けるかもしれません」


「この寸胴鍋一式あげるわ。お子さんと2人頑張って生きてね」

「あ、ありがとうございます。パメラ様」





 それからエリーナ親子は屋台を出した。

 今まで捨てられることも多かった赤身の魚を使い、美味しいスープを作った。

 昆布や鰹節産業も拡大し、たくさんの人を呼び町は潤った。


 あれから15年。

 私は結婚し2児の母に。

 

 あの時、パメラお姉ちゃんに、助けてもらわなければ今の幸せも無かった。


「ねえ、お母さん。聖女様って、本当にいるの?」

 下の5歳の男の子が聞いてくる。


「いないよ。そんなの迷信よ」

 上の10歳の女の子が言う。


「いいえ、聖女様は居るわ。お母さんは10歳の時に、聖女様に助けられたの。でも聖女様は恥ずかしがり屋だから、自分の事を魔女て呼んでたわ。北の森の魔女てね」


 聖女様は『純潔』を失うと能力がなくなる、とそう言われている。

 パメラお姉ちゃんは既婚者だった。

 でも私にとっては、今でも『聖女様』よ。





「ただいま~ダーリン!」

「お帰りパメラ。今日は遅かったね。どこに行って来たんだい?」

「うん、それはね…」


 これからも私とダーリンとの甘い生活は続いて行く。

 読んで頂いてありがとうございました。

 最終話となります。


 またこんな話を書けたら良いなと、思っております。


 お付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂いてありがとうございます。
もし面白いと思って頂けたら、★マークを押して応援して頂けると今後の励みになり、とても嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ