詩を手放した
私にはボツ作品があった
人前では出せないほどの負の感情
悩み詰まっていた時に書いた作品で
人前に出せないから捨てたかった
捨てるには勿体ないよと
友人から声をかけられた
なら私がその詩を買います
彼女はそう言って笑った
勿論私は承諾した
捨てるだけだし黒歴史であれば
貴女に譲ってあげよう
別に譲るぐらいどうってことない
貴女の行動は速かった
私と別れた後に投稿した
早速読んでみた
私のボツ作品をわざわざ
確かに負の感情が詰まっていたよ
だけどだからこそ刺さる言葉に
共感という胸のズキュンが
駆け抜けた瞬間泣いた
自分の作品だから気づかなかった
他人の作品として見たらグサッと来た
一つ一つの昔の感情が
ああこう思っていたんだなって共感して
それでもボツ作品だった
私の負の感情貯めた物だった
だから私は手放して良かったのだろうか
だから貴女はこの詩を投稿できた
「共感しました」
そんな感想が書かれた瞬間
私は再び胸を射抜かれた
違った意味で射抜かれて
再び涙を流した
私がこの作品をもしも
投稿していたならば
貴方は感想をくれましたか?
もしももしも
私が手放さなければ
この詩は私の作品として
貴方の突き刺さりますか?
私が手放した理由
ボツ作品だったから
貴女が買った理由
共感する詩だから
──貴方は共感してくれましたか?
もしも
もしも
私が……
手放さなければ
なおここに書かれているのは事実ではありません。
心配しないで下さいね(笑)
貴女=私の友達
貴方=読んでくださった方