表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺にヒロインは訪れない  作者: 流風
23/25

22.火災の原因




「……龍太?」


 おかしい。ここにいるはずのない龍太がなぜ目の前に?

 起源町で、希星すばるの事を下僕のようにこき使っていた龍太。起源町一金持ちの息子である龍太が、何故ここに?



 龍太の背後にはモクモクと黒煙が上がり、その煙が風に乗って希星すばる達の方へと流れてきた。


ーーー きな臭い匂いが、漂ってきた。


 その火事を気にすることもなく、ニヤニヤと薄気味悪い笑みを見せながら、希星すばる達の行き先を塞ぐように龍太が立ち塞がっていた。


「龍太……?どうしてここに……?」


 ボソッと独り言のように呟いた希星すばるの声を聞き逃さなかった龍太が顔を顰め、眉根を寄せながら希星すばるへと罵声を浴びせた。


「あ?龍太様だろ?クズ希星すばる!下僕の分際で俺様を呼び捨てにしてんじゃねーよ!」


 思わず、体がビクッと反応してしまう希星すばるを背に庇うように櫻子が立ち塞がった。

 そして、ビシッと龍太に向かって指をさし言った。


「うるせえ、変態!! 変態の下僕って事は希星すばるはスーパー変態とでも言いたいのかっ!」


「いや、櫻子、今大事なのはそこじゃねぇ!」


 この大和の冷静なツッコミで月偉るいが会話の軌道修正を行う。


「変態は見た目でわかるからどうでもいい。それよりも、この火事はお前の仕業かっ?!」


「ほぅ。俺の仕業と見抜くとは……。貴様、なかなか鋭いな」


「いやいや、そんな見た目怪しいやつ、そうそういないから」


 龍太の服装は怪しいマスクとマント、黒い上下服という格好。まるでジャイアンが仮装しているかのような見た目の大男が、夜、火災現場を背に道を塞ぐように立っているのだ。


「ふっ……俺のこの服装に見惚れたのか?そうか。そうだろう。見目の良いお前達には、特別におれのこのカッコいい服装一式セットを……」


「「いらねえ」」


 大和と月偉るいに黒い上下服とマントに黒い仮面……?それはまるでセーラー○ーンにでてくるタキ○ード仮面様みたいなのではないか?


「お、いいな。見てみたい」


「ふざけんな」


 そんなやり取りをしていると、ふと大和が気づいた。


「何か、油の匂いがする?」


 周りの火災現場からか?


「臭うわね」


 いつのまにか、布で鼻と口を塞いでいる櫻子が希星すばるの横に来ていた。


「今頃気づいたか」


 龍太が笑う。


「閉店後の給油所へ忍び込み、水路へガソリンを流していたんだ」


 くつくつと笑う龍太を目の前に、月偉るいは青ざめた。


「水路に?この火事が多発してる中、町中に張り巡らされた水路に……」


 月偉るいのセリフは最後まで言えなかった。月偉るいの言葉をさえぎるよに、あたりの水路を走るように火が燃え広がっていったのだ。


「わーはっはっはっ!見よ!この俺様を讃えるように燃え広がる火を!」


「くっ……。龍太!どうしてこんな事を!」


「ん?知りたいか?それはな……俺の母親が、俺の大事な薄い本コレクションを全て燃やしたからだ!!」


「なにっ?!」


 龍太の顔は偉そうに笑っていた顔から一瞬にして怒りに歪み、鬼の形相で叫び始めた。


「薄い本?」


「あぁ…確かにそれは怒るかも。普通の本より手に入れるのが大変だからな」


「本のために火事?」


「おい!この放火と薄い本がどう関係するんだ?!」


「関係?!俺の大事な物が燃やされたんだ!この世の全てが燃えてしまっても仕方がないだろう!」


 まさか……まさか放火の理由がそれだとは思わなかった。


「くっ……、みんな、早く欲念珠を回収して鎮静化させないと」


 希星すばるの一言に、ニヤリと笑った龍太は、


「お前達が探しているのはこれだろ?」


 懐から、欲念珠を差し出して見せつけてきたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ