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ーーーーーそれでも、緊張をおさえて私は水晶に手をかざした。
「「「、、、、、、、、」」」
けれど、水晶は光ったりもせず、何も起こらなかった。
「あれっ、おかしいわね。故障かしら??」
始めは、光らなかったりするのかなって思ったけど、違うみたいだ。
試しに、リサさんがやってみると、、、
ーーフワッ
水色と緑色の柔らかな光が水晶から放たれた。
「故障では、ないみたいね」
「リサさんは、水と風…ですかっ??」
故障かどうかの確認をしてくれているリサさんに私は、声をかけてしまった。色の説明は受けていなかったけど、なんとなく予想はつく。確認したい気持ちと、目の前の光景に興奮して、ちょっと語尾が跳ねてしまう。
「ええ、そうよ!よくわかったわね」
「クルミちゃん、知ってたの??」
「…勘、ですっ!!」
前世の知識からです。なんて、正直に言えるわけないから、ごまかしてしまった。でも、作品によって違ったから勘に頼ったところは、間違いではない。
「ロイドさんは、なんですか??」
話題を反らすように、ロイドさんに声をかけてみる。
「俺??俺はねぇ」
そういって、ロイドさんもやって見せてくれた
ーーッピカ!!!!!!
すると、先程よりもかなり強い赤い光が、放たれた。
「火、ですか??それにリサさんよりも、強い光ですねっ!!」
「そーだよ~。魔力量は、割と多い方だから」
「逆に、私は少ない方なの」
ロイドさんが得意気に答えてくれて、リサさんは、水晶の点検をしながら、答えてくれた。
「じゃあ、もう一度やってみましょうか」
「は、はい」
とにかく、故障ではないみたいなので、改めて私もやることになった。私だけ、なんで光らなかったのかわからないから、一回目のときよりも緊張が強い。
「さあ、どうぞ」
リサさんが声をかけてくれて、私は再び水晶に手をかざした。
でも、、、、、
水晶が、光を放つことはなかった。
「やっぱり、私には……」
水晶を見つめて、ポツリと言葉がこぼれた。前世を思い出して、一週間とちょっと。憧れだった世界でも、私は何も出来ないみたいだ。
かざしても変化のない水晶から手を離そうとしたとき、
ーーパリンッ!!!
私の目の前で、水晶が砕け散った。
「…へ??」
突然だった。私は水晶にかざしただけで、触っていない。ただ今の状況だと、私が水晶を割ろうとしたと言われても、おかしくはない。だから、水晶をわざと割ろうとした訳ではないと、二人に伝えなきゃって思って、二人の方を向くと、
二人は、口を開いたまま固まっていた。効果音をつけるなら、ぽかんって言葉が、ぴったりだって思うくらい。
「えっと、リサ、さん?ロイドさん?」
「っ!!」
二人に、おーいって声をかけてみると、リサさんのほうが、先に復活した。でも、まだちょっと完全ではないかも。少し、ふらっとしている。どうしたのかと思って、もう一度声をかけようとする。
「こんなことって…これは、本部に連絡しなきゃ!」
けど、リサさんは声をかけるより先に奥へと入っていってしまった。
「ロイドさん??」
追いかけることも出来ないので、とりあえず、まだ復活していないロイドさんに声をかける。
「っ、クルミちゃん!」
やっと復活したロイドさんが私の方を見てくれた。若干、まだ目の焦点が合ってない気もするけど、それより。
「ロイドさん、私ってどうなるんでしょうか?」
リサさんの様子だと、起こられることはないのかなって思ったから、まだ、ちょっと落ち着けている。だって、リサさんの顔、笑顔だったから。ただ、わかってる感じのロイドさんに確かめたくなるのは、仕方ないと思う。
ちょっと不安げに眉を寄せる私に、ロイドさんははっとしたように、
「大丈夫!全然、悪いことじゃないからっ!!」
顔の前で手をふって、笑顔で答えてくれた。とりあえず、ほっと息を吐き出した。
「クルミちゃんっ!!」
ちょうどその時、リサさんが奥から戻ってきた。